「人生はメビウスの輪」(大原敬子著)
テープをひとひねりして結ぶと、メビウスの輪が出来上がります。
メビウスの輪は途中から裏に変わり、また表に戻ります。オレンジ色が表面で裏が白とすると、最初はオレンジであったのに、その色にそっていくといつの間にか白に変化しています。
メビウスの輪はうつろいやすい人の心を端的に物語っています。オレンジ色の道を歩いていると思っていたのに、気づくと白色の道になっている。白の上を歩いていると思っていたら、途中からオレンジ色の道に。
自分は絶対、この生き方をしていると考えていても、いつの間にか違う生き方になっている。これが人生です。
「悩み」「苦しみ」は色が変わる境目で起きます。環境の変化、状況の変化に対応できない時に、悩みや苦しみに襲われるのです。
人生は我慢して歩いても必ず変化に遭遇します。とすれば、一定の時期が過ぎれば変化がやってくる、そういうリズムで成り立っていると割り切って生きることです。そう思えば、越えられない壁はありません。
どんな人生にしろ、ただひたすら虚心坦懐(きょしんたんかい)になって歩いていく。ひたすら自分の足で歩いていけば、結果的に自分らしい人生が送れます。
あれこれ考えず、歩くことに専念する。これが禅で言う「空」(くう)ではないでしょうか。
人生には山もあれば谷もあります。しかし、結局はメビウスの輪と同様、同じところをグルグルと回っている。これが人生です。
しかも、本人は往々にしてどこを歩いているのか気づいていません。平らな道を歩いていると思っても、第三者から見ると、曲がりくねった坂道を上っているようにしか見えないこともあれば、本人は近道をしていると考えていても、えらく遠回りをしている場合もあります。
幸せだと思っていても、本当は不幸だった。不幸だと思っていても、実は幸せだった。そういったこともしばしば起こります。
一ヵ所にデンと座っていれば、不幸も幸せもわかりません。人生という道のりを歩いていくから、不幸もあれば、幸せもやって来るのです。
物事にはすべて二面性があります。光があれば陰がある。+(陽)と-(陰)で成り立っています。+がわかれば、-もわかるようになります。陰と陽の接点がわかれば、中間の居心地のよさがわかるようになります。
なんて不幸だろうと思う人は、逆に言えば人生の楽しさを知っている人です。なんて楽しいんだろうと感じられる人は、不幸がよくわかっている人です。
ずっと同じであれば、なんの楽しみもありません。不幸があるから幸せがある。幸せがあるから不幸があるのです。
人生グルグルと回っているというゆえんです。ならば、良いも悪いもあるがままに受け止めなければならないということなのでしょう。
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年を重ねて良かったと、ここ数年よく思います。容姿の衰えは良かったとは言えませんが(笑)色々な経験(良いことも悪いことも)が、私の人生観を豊(笑)にしてくれたと思います^^;。上手に休みながら心地よく暮す。あとはあるがままに受け止める。。。