もう何年も前のこととであったと思う。降格後、久しくJ1の舞台から遠ざかっていた湘南が地道に、そして真摯に取り組んでいる活動の記事がサッカー誌に掲載されていた。
地域貢献活動は無論のこととして、重視していたのが下部組織の充実であったという。
慧眼というほかない。
記事の詳細は-今となっては-定かではないが、クラブとして存在意義を自問自答した故ではないか、と推察している。
そして、我らがカターレ富山。
株式会社カターレ富山はクラブの理念、ビジョン、存在意義を語ることが出来るであろうか。
何故、「Jクラブ」でなければならないか、との問いに答えることが出来るであろうか。しかし、これは我々サポーターにも突きつけられることであろう。
我々、「サポーター」と名乗る人々。
何故、サポーターなのか。その言葉に足るものを常に問われているとも考えている。
試合への反応もその一例と考えている。
判断基準は「勝敗」のみというのもあるだろう。
しかし、選手個々人の能力、クラブの伝統や物理的な条件の優劣、千変万化する試合内容を無視して、勝敗のみに拘泥するのであれば、選手の信頼を得ることは叶うまい。また、クラブを支持する人々の理解あるいは賛同を得ることも難しいだろう。
今のカターレのサッカーは一般の人々の目にどう映っているのでだろうか。
クラブ側に「サッカーに詳しくないと良さは理解できない」などとは語って欲しくはない。
万一、そのような言を吐くのであれば、その「サッカーの良さ」を理解してもらう努力を払っているのか、スポンサーやチケット代を得る興業として正しい姿勢なのか、と非難されるのは当然であろう。
また、失点したあとの選手の姿勢-下を向くより、早くキックオフしようとするか-、レフリーへの無意味な抗議、など観衆は意外と見ているものである。このことをフロント・監督はもっと意識すべきだと感じている。
現在は「残留」という極めて分かり易い目標があるので、カターレ富山はまとまっているようにも見える。
しかし、その内実は脆いのではないか、との危惧を抱いている。
緩く、風化しやすい、脆い繋がりではなく、勝敗に一喜一憂することなく、確固たるビジョンを共有できるのであれば、今季に至る時間は決して無駄ではななかったと考えている。
そして、そうでなければ、クラブの存続自体が危ういであろう。
そして、残されている時間はそう多くない。そう思っている。
今季残留したとしても。
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