還暦おやじの洋楽日記

続)中国語のK音の変化について

昨年このブログに「中国語のK音の変化について」という駄文(中国語の音韻の変化についての自分用のおぼえがき)を書いたのだが、最近になってまた新しい知見を得たので続編として記しておく。

前回、中国語のK音がQ音(チ)J音(ジ)X音(シ)に変化した原因が、清朝を興した満州族がK音を発音できなかったことに由来することを突き止めたのだが、日本語ではK音の漢字がH音に変化した原因については依然謎が残った。
例)華 hua(ホア) 海 hai(ハイ) 回 hui(ホイ)漢 han(ハン) 湖 hu(フ)

先日刊行された中公新書「日本語の発音はどう変わってきたか」(釘貫亨著)を読んだところ、意外な方向でその謎が解けてしまった。この本は、万葉仮名から古代の発音を推定したプロセスから始まって、かな文字が生まれた平安時代を経て中世~近世~近代までの音韻学の歴史を解説したもので、たぶんその方面の入門書にあたるのだろう。素人にはなかなか難しい内容ではあるが、発音という記録に残りにくいものを先人たちが苦心して解明して学問として整理していく過程は興味深かった。

それによると奈良時代の日本人は「ハヒフヘホ」(H音)を「パピプペポ」(P音)と発音していたとのこと。そのため、中国語のH音をそのまま発音することができず、代わりにK音で発音することになったのだそうな。つまり、当時の日本人は「ハヒフヘホ」(H音)を使っていなかったので、中国語のH音が「カキクケコ」(K音)に聞こえたらしい。従って上記の例に挙げたような漢字は、中国では昔からH音であって、当時の日本人が聞き違えて勝手にK音に転訛してしまったということらしい。

えー、ホンマかいなー、いくらなんでも「ハヒフヘホ」を「カキクケコ」に聞き違えるなんて、にわかに信じ難いや。でもそれが学術的な見解であるならば、きっとそうなのだろう。ちょっとモヤモヤした気分は残るもののこれで一件落着、、、なのかなあ。

(かみ)

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