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還暦おやじの洋楽日記

Stills (孤高の世界)/ Stephen Stills

1970年代のスティーブン・スティルスの活動は実にめまぐるしい。
まず、CSN&Yの瓦解と前後してソロ活動を始め2枚のソロアルバムを制作、その後マナサスを結成してこれも2枚のアルバムを発表。1974年のCSN&Y再編ツアーを経て、再びソロアルバムを2枚、ニール・ヤングとスティルス・ヤング・バンド名義でアルバム1枚、今度はCS&Nを再結成してアルバム1枚、またソロに戻ってアルバム1枚、という具合。
結局、スティルスにとっての70年代は、CSN&Yという金看板の復活とソロ活動への欲求の狭間で翻弄され続けた10年間だったのだろう。いや、彼自身が周囲を翻弄したとも言えるが。
このアルバムは二度目のソロ活動期にあたる1975年に発表された、ソロとしてのサードアルバム。もともとは「As I Come Of Age」というタイトルで企画制作されていたが、それがお流れになり、コロムビアレコードへの移籍第一弾として新たにリリースされたもの。

1. Turn Back The Pages
2. My Favorite Changes
3. My Angel
4. In The Way
5. Love Story
6. To Mama From Christopher And The Old Man
7. First Things First
8. New Mama
9. As I Come Of Age
10. Shuffle Just As Bad
11. Cold Cold World
12. Myth Of Sisyphus

参加ミュージシャンは多彩。前述の「As I Come Of Age」から流用されたナンバーが含まれているからだろうが、クロスビー&ナッシュ、ラス・カンケル、リー・スクラー、更にはリンゴ・スター、この稿を書くのにライナーノーツを読み直したらスリードッグナイトのダニー・ハットンなんかも参加していた。また、ドニー・デイカスがスティルスとギターパートを分け合っていて、次作「Illegal Stills」ではリードボーカルも担当した彼は、ルックスも良い若手ギタリストとして当時のスティルスバンドの看板スターだったのだろう。その後、デイカスはテリー・キャスの後釜としてシカゴに引き抜かれるが2作で馘になる。
「Love Story」「Myth Of Sisyphus」のちょっとヨーロピアンな曲調は、フレンチポップの美人シンガーであるヴェロニク・サンソンと結婚した影響だろうか(彼女は日本でも一時期紹介されたが、売れる前にスティルスと結婚してしまった)。「To Mama From Christopher And The Old Man」のChristopherは今から思えば息子のクリス・スティルスのことだったんだね。
スティルスは度々ニール・ヤングの曲を取り上げているが「New Mama」はその嚆矢となった曲。「Cold Cold World」はこのアルバムの中でいち押しの傑作。僕はスティルスのこういうブルージーなナンバーが好きなので。

CSN&Yやマナサス向きでなかったため封印していた曲をお蔵だししたものも結構あると思う。だからという訳ではないだろうが、アルバムとしては散漫な印象。当時CBSソニーがつけた邦題は「孤高の世界」だったが、確かに悪くはないけれど、華やかさに欠け、寂しいイメージを与えてしまうアルバムだ。このあたりから、僕の中では「やっぱりスティルスはソロではなくバンドの人」という評価になってしまった。
そう言えば、ザ・ライズは一昨年にアルバムを出したきりで、もう活動やめちゃったのかな。本当はあの路線で頑張ってほしいのだけど。

(かみ)
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