いずれにしても異様な光景を見てしまった。まさかかつてのオイルショックのトイレットペーパー買い占めのような狂騒が21世紀の日本で再び起きるとは。
1973年に起きたオイルショック騒ぎを実体験したのはもう還暦を越えている人達。中東戦争のあおりで原油価格が高騰し、物価が一気に上がった。トイレットペーパーや洗剤がなくなるというので皆こぞって店に押しかけて買い占めたり、信用金庫で取り付け騒ぎがあったり、日本中が不安で浮き足立って集団ヒステリー状態になったものだ。もっとも当時中学生だった僕にとっての最大の関心事はレコードの値上げ。1枚2000円だったLPレコードが年明けに200~300円値上げされることになったため73年の年末はなけなしの小遣いを絞り出してLPを買い漁った記憶がある。
やがて騒ぎが終わってみればトイレットペーパーや洗剤の買い占めも取り付け騒ぎも、デマに踊らされただけだった。それはまだ信憑性のないデマに簡単に騙されるほど国民の民度が低かった昭和の時代の笑い話、の筈だったのに。
新型ウイルスに関しては政府が情報を出し渋り場当たり的な対応をして世間を疑心暗鬼にさせた人災的な側面がある。ウソやごまかしばかりしている政府首脳の言うことなど信用できないのも確かであるものの、本日の行列を見て日本人の民度なんて47年前から全然上がっていないことを知ってしまった。不安に駆られた群集心理の怖さ。この程度でこんな反応ならば、関東大震災の朝鮮人虐殺みたいなとんでもないことが二度と起きないなんて誰も言えないだろう。
情報化がいくら進んでもSNSなどは悪質なデマの温床になって却ってタチが悪いし、そもそも皆あまり深く物事を考えなくなってしまったんじゃないか。なんて書くとそれこそ年寄りの冷や水になってしまうが、1973年の馬鹿げた騒ぎを知っている身としては愚かな歴史が繰り返されたことに暗澹たる気持ちになったので、記憶にとどめるべく書きとめた次第。
(かみ)
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