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還暦おやじの洋楽日記

M-DISC生産中止の報に接して

M-DISCとは耐久性を高めたDVDやブルーレイディスクの規格名。従来の書き込み用光ディスクが色素層の化学変化を利用して記録するのに対し、金属層に物理的に凹凸を生成して書き込むことによって、耐光性・耐熱性・耐湿性に優れ、経年劣化に強く「数百年に亘って保存が可能!」というのが売り。2010年代後半あたりからメディアとそれに対応したドライブが市場に出ていた。
そのM-DISCを生産していたメーカーが昨年末に生産中止を発表していた。その理由は、価格が高くてあまり売れずに採算が取れなかったかららしい。M-DISCには期待していたので非常に残念なニュースだった。

僕が初めて個人用に購入したPCはWindows3.1マシンだった。今から30年前のことだが、それ以来色んな作業をPCで行なって様々なデータを作成してきた。特に近年は断捨離の目的もあり、書類や写真を片っ端からスキャナーでデジタルデータ化している。だから自分が作成したデータを如何に安全に保管できるか、ということには常に関心を持ち続けてきた。だってHDDにせよSSDにせよ、いつ何時突然死するかも知れず永久に使い続けられる訳ではない。もしこれらのデータが一瞬にしてなくなってしまったら一生立ち直れないかも。
自分の場合、データバックアップを取る目的って大きく二種類あって、ひとつはハードディスクが壊れたときに直前の状態に戻すためのバックアップ。現在はNASに個人データを保存し、ミラーリングして更に外付けHDDに週一回バックアップ処理をスケジューリングして万一の事態に備えている。この場合の記録媒体はハードディスクで問題ない。
もうひとつはある時点のデータの内容を保存しておくこと。これについては年一回程度、外部記録媒体にコピーしており、使うメディアも当初はフロッピーディスクから始まってZIP、CD-R、DVD-R、BD-Rとデータ容量の肥大化に伴なって進化してきた。・・・こう書くとバックアップ依存症の変態人間のように思われるかも知れないが、30年の間に何度か痛い目に遭った結果なのだ。
そんなことを繰り返すうちに、データも内容が今後も更新されうるものと金輪際更新する可能性がないものに層別できることに気付き、後者については第三の目的として「永久保存するため」というのが浮上したのだった。まあ昔の写真とかデジタル化できる思い出の品々が主な対象です。

そんなバックアップ人生を過ごしてきたものだからM-DISCには期待した。別に数百年も保存が可能でなくても構わないが(そもそも本当に数百年保存できるのか実証もできないし、仮にそれが本当だったとしても自分で確かめることはできない)、少なくともハードディスク・SSD・USBメモリー・SDカードなんて媒体は信用できない。比較的耐久性が高いと言われる光ディスク(DVDやBD)だって10年後はともかく20年後は心許ない。そのM-DISCの存在を知った数年前、ちょうどその頃パイオニアの経営が危なくなってきたというニュースが流れてきて、パイオニア製のM-DISC対応ポータブルドライブを慌てて購入したのだった。でもメディアについては、まだ永久保存するためのファイルの整理が済んでいないので悠長に構えていたところ、生産中止の報を知ってつい先日もっと慌ててメディアを購入した次第。おそらくM-DISCメディアは早晩在庫切れになってしまうだろうが、とりあえず多少なりとも確保したのでおいおい永久保存版バックアップメディアを作成しようと思う。

ここに至るまでにM-DISC関連のネット記事をあれこれ調べたところ、ここ数年、光ディスクの需要が急激に落ち込んでいることも知った。パナソニックは昨年に撤退、そしてソニーもつい先日撤退することを表明している。光ディスクの需要の多くはTV番組の録画に支えられていただろうから、これだけサブスクやネット視聴のサービスが普及したので敢えて光ディスクに録画しようなんて人が少なくなったことは想像に難くない。また光ディスクの容量についても今やSDなどのメモリ媒体が安価で大容量化したのでアドバンテージが薄れてしまった。ネット記事に寄せられたコメントを見ても「もっと大容量で手軽な記録媒体があるから光ディスクなんてなくなっても仕方がない」なんていう論調が多い。確かに一過性の記録ならばその通りだが、そういうことを言っている人達は10年後に突如使えなくなるかも知れないリスクを考えないのかなあ。(あ、クラウドサーバーに保存するのは自分にとっては論外です。GAFAやマイクロソフトに大事なデータを預けたくないし、そのうえ毎月上納金を納めるなんて真っ平御免だ)

だけどね、こうも思うんだ。M-DISCが期待通り数十年先までデータ保存できたとしても、そのときにドライブがなければどうしようもない。現にフロッピーディスクやMOのドライブはとっくの昔に生産されなくなっている。光ディスクのドライブはそれらより市場が大きいけれど、だからと言って未来永劫存続することはない。あれこれ手を尽くしても結局、紙で保管することに如かず、なのかなあ。

余談だが、1970年代後半に打ち上げられた宇宙探査機ボイジャー号に搭載された宇宙人宛てのレコードの話。初めて聞いたときは「ロマンティックだよな」と感じ入ったけれど、いくら高度な文明を持った宇宙人でもメディアから類推して読み取り装置を製作し再生するなんて絶対に無理だろうな。

(かみ)
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