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還暦おやじの洋楽日記

I'm Alive / Jackson Browne

新型コロナウイルスが流行っていようと季節は着実に巡ってくる訳で、今年は春の訪れが早いなあ。でもこの時期ってうららかな陽気ばかりじゃなく気候も不安定だから、まだ心穏やかにはならない。自分の場合、そんな季節感にリンクして聴きたくなるアルバムのひとつが、1993年に発表されたジャクソン・ブラウンの「I'm Alive」。

1. I'm Alive
2. My Problem Is You
3. Everywhere I Go
4. I'll Do Anything
5. Miles Away
6. Too Many Angels
7. Take This Rain
8. Two of Me, Two of You
9. Sky Blue and Black
10.All Good Things

なにしろ前作「World In Motion」はメッセージ色が強すぎるし楽曲自体も魅力に乏しく、くすんだモノトーンのようなアルバムだった。僕は政治的なジャクソン君は好きではないのだ。だからこの意欲的な新作登場には喝采したものだ。
軽快なギターのイントロで始まる表題曲からして実に明るい。この曲は長年連れ添ったダリル・ハンナとの破局とそこからの再起を歌ったものらしいね。「World In Motion」のクレジットには、捧げる相手として彼の子供たちと並んで彼女の名前も記載されていた。(因みにダリル・ハンナは現在はニール・ヤングの奥さん)。但し、その破局を乗り越えてちゃんと吹っ切れたかは疑わしい。だって収録曲の歌詞には恋人との確執に悩み翻弄される心情が綴られたものが多く散見されるもの。「My Problem Is You」なんてタイトルからしてそのものズバリだし。
でもアルバム全体がカラフルで前向きな印象を受けるのは、バリエーションに富んだ曲が並んでいるから。カリプソ調の「Everywhere I Go」は彼のポップセンスが遺憾なく発揮された明るいナンバー。「Too Many Angels」は憂いと切なさを帯びたフォルクローレ。そして雄大な映像イメージを想起させ朗々と歌い上げられる「Sky Blue and Black」は初期のジャクソン節を彷彿とさせる。

この人は自分自身が満ち足りているよりも少しぐらい不幸があったほうが良い作品を生み出せるのかも知れないね。生活が充実していると関心が外に向かって政治的なことを生硬に語る「World In Motion」みたいなものを作ってしまう。彼の魅力はもっとパーソナルな題材で心の機微に触れるような歌なのだ。もっともご本人にとってはそれが良いことかどうかは知らないけど。

(かみ)
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