幸福論

2006-06-26 00:21:01 | Weblog
「情熱大陸」という番組で画家奈良美智さんの特集をやっていた。
無作為にチャンネルを回してたとき、
彼の絵に向かう姿がパッと目に留まりリモコンを動かす手も停まった。
そのコンセントレーションが電波を通して瞬間に伝わってきた。
彼は言う。絵をかくことを仕事に選んだわけではない、ただ単にかきたいんだと。
ひたすら純粋に必死に絵に向かう姿はとてもうつくしかった。
自分の欲望をただ単に満たすということではけしてない。
自分が本当に何をしたいのかを知ることは難しいことで、
それをちゃんと分かっていることは自分自身を明晰に理解していることであり、
現代のこの場所において幸福であると私は思う。
彼の姿、生き様、生み出す作品はみる者にヒントや刺激を与え、
やがて幸福は伝染する。うつくしい連鎖。

一緒に番組を観ていた母が何気なく彼の作品を観て言った。
風景とかを描くよりいつも同じ人を描くほうが難しそうだねと。
彼は喜怒哀楽がさまざまな少女の肖像が有名だが、今までに沢山の
風景画、抽象画、肖像画を描いてきただろう、でもいつしか
色んな要素が削ぎ落とされて少女の姿だけが残った。。
その少女もまた昔描いていたどこか憎悪がこもったものから
変化している。今描いているものを昔は描けなかったし、
今はもう昔と同様には描けないと彼は言っていた。
変化が良いかどうかなんて誰にも分からないが、彼が変化していることを
絵は表している。シンプルに真っすぐなものには伝える力がある。伝わる。
だからもちろん難しいかどうかということではない。
それはそれでしかないように、物事はもっとシンプルで真っすぐであることが
幸福なのかな・・・。