紅(あか)ひげ公の城

2006-01-19 16:22:20 | Weblog
第一幕

棉(いと)の群集が襲ってくる
その向こうには紅(あか)の旗が舞う
整列したコンクリートの兵隊さん
どすり
ぼくもまた背伸びしてみるが
たらりらり たらりらり

第二幕

おひさまの紅(あか)のため息が
ゆっくりとこちらに届く
いいたい事の語尾が少し照れている
ぼくは思いっ切り笑ってみせる

月はいつからそこにいたの
ちらっと目が合い、逸らした
何もいわずただこちらを見ているだけ
ぼくは小さくなって穴に戻った

おひさまはちょっと元気を取り戻し
みんなに礼儀正しく会釈する
ぼくはそれを背に歩幅を広げた

月はけして強さを忘れない
黒く殺(そ)がれた身体(からだ)でゆるしを乞う
ぼくは目を瞑ってあなたに会いにゆこう

第三幕

あなたの切実はナニ
待ち人はダレ
大きな声で叫ばないと
固体と固体が融合することはない

ぼくの渇望はコレ
ほしいものはすぐ目の前
大きな深呼吸をして
ノーベル賞級の大発見にとりかかる

※補足
ガラスの向こうに地平線が見える。
ある一点をを中心にして、
不規則にゆれている。
天稟のように左右にぶれさせているのは
私自身だし、
空と地に一線を引いたのも私。
あなたにはガラスさえないのかもしれない。

いま、
雲のように自由に。
雲のように柔らかに。
雲のように高く白く。
雲のようなスケールで。
ときには猛スピードで。
雲のように、
でも 雲を掴むのだ。

永青