ある凪いだ釣り日和。6時半に祝島港をでて漁へ。
船頭さんがアンカーをおろすと、いそいそとわたしは釣り糸を垂らす。
糸をもつ右手の指先に感覚を集中させて水面をみつめる。
この日、3度めの漁にして初めて「潮(しお)」がわかった。
漁師さんのいう通り、なるほど確かに、潮は目でみえるのだ。
ならば、ときどき海面にあらわれる窪みはひょっとして「潮の目」?
勢いこんで尋ねると、「そうよ」と船頭さん。
なんでそんなことで騒ぐかね、とでも言いたげな様子。
「これが潮の目なのか!」嬉々としてわたしが写真を撮りはじめると
「写真に写るかねェ?」と、いぶかしげ。
・・・撮れましたとも!
しかも、こんどはこのとおり、くっきり、はっきり。
「潮の目」をデジタル大辞泉で引くと、
「異なった二つの潮流の境目。海峡や寒流と暖流との交差点で見られる。
多くよい漁場となる」とあった。
なるほど納得。
この日ははじめて、大きなメバルを、それも数尾、釣りあげたし、
漁場よし船頭よしで、
祝島の釣り日和は、いつもご機嫌さん。