8年まえは雪のなかにあった友だちの家につくと、
白樺におおわれ、まるで別世界のよう。
冬の白い景色もよかったけれど、夏の緑の風景もかなりいい。
タクシーから降りると、気配をさっして玄関の扉がひらく。
ひと足先に到着していたシッポのないムーミンが
満面の笑みで出迎えてくれた。
懐かしい部屋にはいると、ムーミンのお友だち、
トゥーティッキとヘムレンさんとニョロニョロの姿も。
わたしは初対面のはずなのに、なぜか懐かしい感じ。
再会を祝い、まずは乾杯。
思いがけないことに、ムーミンとわたしだけだったら
望むべくもなかった極上のシャンパンで。
トゥーティッキありがとう。
ムーミンが特製スープをよそってくれた。
材料はグリーンピースと玉ねぎと燻製のハム、そして人参も少々。
ただし今回はハムの代わりにトナカイの肉をつかったとか。
どうしてトナカイかというと、
ひと夏のあいだ留守にする、この家の主はベジタリアン。
例外的に食べるのが野生が基本のトナカイの肉、
つまり、この家にあるのはトナカイ肉だけだから。
これは、フィンランドの学校の人気給食メニューのひとつ。
日本で言えばカレーのような存在かも。
もちろん学校給食だけでなく会社でも家でも食べるらしいけれど。
ちなみに、マスタードをたっぷりかけて食べるのがお勧めという。
ヘムレンさんがエストニアのタリンで仕入れてきてくれた
キャビアまである。
なんと2000円しなかったというから驚く。
湘南の自宅の近くのスーパーでは確か7800円していたのに。
EU加盟前ほどではないというけれど、それでも
エストニアは今もフィンランドより物価が安いようだ。
スメタナというクリームと紫玉ねぎとともに食す。
スメタナは、ボルシチにもいれる、サワークリームに似た品。
下の写真は、ムーミンお勧めの焼チーズ。
見た目はむしろ焼き豆腐だけど、味はしっかりチーズだった。
噛むとコキュコキュと音がする、不思議な食感だ。
これはニョロニョロのお気に召したよう。
ムーミンはリンゴンベリーのスープもつくってくれていた。
本当はイチゴでつくるものらしいけれど、
この家の畑のイチゴはまだ紅くならないので代わりにリンゴンベリーで。
フキに似た姿のルバーブをそれに加えてスープにし、
ポテトスターチでとろみをつけている。
アップにすると、こんな感じ。
丸い形状のものがリンゴンベリーで、繊維状のものがルバーブだ。
熱くてもよし、冷めてもよし。
こころ尽くしのフィンランドの食で、再会のよろこび倍増。
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