8月下旬のある日、和歌山県の日高町でひらかれた
とある合宿に、わたしも参加させていただいた。
和歌山といえば、原発の計画が県内5か所にありながら、
いずれの計画も押しもどした土地。
5カ所のひとつだった日高町の小浦(おうら)を、
ちかくの浜に暮らす漁師さんが船で案内してくださった。
上の写真が、日高原発の予定地だった小浦(おうら)。
「田ノ浦(たのうら)と似てるね」と、友人とおもわず話す。
田ノ浦とは、山口県の上関原発の予定地のこと
(東電の原発事故をうけ、2011年3月から上関原発の工事は中断中)。
浜へもどり、紀伊水道にしずむ夕陽をながめた。
珠洲(すず)原発の予定地だった高屋町の、
小浦出(こうらで)あたりから眺める夕陽に似ていて、これまた驚く。
合宿では、
今中哲二さんから福島とチェルノブイリの現状を、
川野眞治さんから深層防護の現実を、
小出裕章さんから東電の福島第一原発の汚染水の問題を、
聞かせていただいた。
「福島の人たちは、自分たちが住んでいたところを追いだされ、そこに住めない、
ということが、いちばん大変じゃないかな。
もちろん被ばくの問題もあるけれど、子どもにとっては、
仮設住宅に住んでいる、住まざるを得ない、ということや、
それにともなうメンタル的・社会的なことのほうが大きいんじゃないか」
という今中さんの言葉が心に残った。
ここでは、飯館村放射能エコロジー研究会(IISORA)のURLをご紹介させていただく。
東電の福島第一原発で完全に破たんした原発の「五重の壁」(ご参考はこちら)
すなわち「深層防護」は、実際には機能していなかった、
なぜなら日本では
国際原子力事象評価尺度(INES)のレベル3までしか対象にしてこなかったから、
という川野さんのお話には、
「なんだったんだ…」の念が、改めてこみあげた。
汚染水問題についての小出さんのお話は、
9月6日発売の『世界』10月号の特集「イチエフ 未収束の危機――
汚染水・高線量との苦闘」で読めるので、ぜひ一読をお勧めしたい。
「東電は倒産させる必要がある、そうでないと、
原発の責任は電力会社がとらなくていい、というメッセージになってしまう」
という小出さんの言葉は、とても説得力があった。
今回の合宿のテーマは、「子どもたちに何を残せるのか」。
会場の民宿でいただいたお食事はどれもおいしく、
差しいれの舟盛りにいたっては、感動的なほど。
この海の恵みは、
当時の大人たちが黙っていたら、こうして現在まで、のこされることはなかった。
ひるがえって、いまの大人のひとりであるわたしは、何ができるだろう。