“初めて愛した人はなかなか忘れられない”
アンジェラ・アキの『ダリア』の出だしのフレーズである。
ダリアを聴くたびに初恋の相手をふと思い出す。
どれだけの長い片想いだっただろうか?
そのどこまでも純粋で強烈な恋心が実ることはなかったけど、
自分の中ではとても綺麗で、とてもいい思い出として記憶に残っている。
なんとなくパソコンのメールを整理していると、昔彼からもらったメールを見つけた。
その文章を読みながら、初めて彼のメールをもらったときの嬉しさと、
初めて彼にメールを送ったときの緊張を思い出す。
しかし、自分にはもう必要のないものだ。
彼との交流が完全に途絶えて、様々な出会いを経験した。
そしてその中から“この人だ”と思える人を見つけ、
恋人として付き合うこともあった。
いまもまた、心に決めた人と幸せな人生を歩んでいる。
そんな自分に、昔好きだった人からのメールなんて必要ない。
そう思って彼からのメールを削除しようとするも、
チェックボックスにチェックを入れることができなかった。
元彼たちのメールは何の迷いもなく消せたのに、
実ることのなかった恋の相手のメールを消すことができなかった。
初めて愛した人はなかなか忘れられない。
確かにそうだ。
初めて愛した人は自分の中で特別なのだ。
未練とはまた違う。
たぶんこの先もずっと、思い出として自分の中に生き続けるのだろう。
確か彼は去年大学を卒業したはずだ。
いったいどうしているのだろうか?
元気でやっているといい。結婚なんしていたら、少しだけ嫉妬してしまうな。
残念ながらいまの俺には彼のいまを知る手段はないが。
だがある日、俺は偶然にも彼と繋がりのある人と出会った。
本当に偶然だった。偶然を通り越して奇跡と言ってしまいたいくらいの偶然だ。
その人は彼と大学の同級生だったらしく、いまも仲良くしているらしい。
彼はいま厳しい世の中に揉まれてはいるが、元気にしているそうだ。
その人に取り付ければ、彼と会うこともできるだろう。
しかし、俺は彼と会うことを選択しなかった。
会いたくないわけじゃない。どんなふうになったのか、見てみたいという思いはある。
だが、彼とはそこまで親しいわけじゃなかったので気まずくなるのが目に見えている。
きっと彼のほうも俺に対して同じことを思っているだろうけど。
もう一生のうちに彼と顔を合わせることなどないかもしれない。
でも、それでいいんだ。
時々思い出すことはあるだろうけど、アルバムを捲るのときの気持ちとなんら変わらない。
“この世界のどこかであなたは暮らしている
私のこともたまに思い出すのかな”
ダリアの中でもう一つ印象に残っているフレーズを噛み締めながら、
俺は彼が幸せに生きていることを願っている。
アンジェラ・アキの『ダリア』の出だしのフレーズである。
ダリアを聴くたびに初恋の相手をふと思い出す。
どれだけの長い片想いだっただろうか?
そのどこまでも純粋で強烈な恋心が実ることはなかったけど、
自分の中ではとても綺麗で、とてもいい思い出として記憶に残っている。
なんとなくパソコンのメールを整理していると、昔彼からもらったメールを見つけた。
その文章を読みながら、初めて彼のメールをもらったときの嬉しさと、
初めて彼にメールを送ったときの緊張を思い出す。
しかし、自分にはもう必要のないものだ。
彼との交流が完全に途絶えて、様々な出会いを経験した。
そしてその中から“この人だ”と思える人を見つけ、
恋人として付き合うこともあった。
いまもまた、心に決めた人と幸せな人生を歩んでいる。
そんな自分に、昔好きだった人からのメールなんて必要ない。
そう思って彼からのメールを削除しようとするも、
チェックボックスにチェックを入れることができなかった。
元彼たちのメールは何の迷いもなく消せたのに、
実ることのなかった恋の相手のメールを消すことができなかった。
初めて愛した人はなかなか忘れられない。
確かにそうだ。
初めて愛した人は自分の中で特別なのだ。
未練とはまた違う。
たぶんこの先もずっと、思い出として自分の中に生き続けるのだろう。
確か彼は去年大学を卒業したはずだ。
いったいどうしているのだろうか?
元気でやっているといい。結婚なんしていたら、少しだけ嫉妬してしまうな。
残念ながらいまの俺には彼のいまを知る手段はないが。
だがある日、俺は偶然にも彼と繋がりのある人と出会った。
本当に偶然だった。偶然を通り越して奇跡と言ってしまいたいくらいの偶然だ。
その人は彼と大学の同級生だったらしく、いまも仲良くしているらしい。
彼はいま厳しい世の中に揉まれてはいるが、元気にしているそうだ。
その人に取り付ければ、彼と会うこともできるだろう。
しかし、俺は彼と会うことを選択しなかった。
会いたくないわけじゃない。どんなふうになったのか、見てみたいという思いはある。
だが、彼とはそこまで親しいわけじゃなかったので気まずくなるのが目に見えている。
きっと彼のほうも俺に対して同じことを思っているだろうけど。
もう一生のうちに彼と顔を合わせることなどないかもしれない。
でも、それでいいんだ。
時々思い出すことはあるだろうけど、アルバムを捲るのときの気持ちとなんら変わらない。
“この世界のどこかであなたは暮らしている
私のこともたまに思い出すのかな”
ダリアの中でもう一つ印象に残っているフレーズを噛み締めながら、
俺は彼が幸せに生きていることを願っている。