実施日;2010-4-8
徒歩;約4時間半(日本寺境内と休憩時間を除く)
天気;晴れ
○青春18切符が1枚余っていたので、単独行。
電車;往;鎌ヶ谷(5:22)→(7:32)浜金谷
復;浜金谷(15:39)→鎌ヶ谷
【鋸山の各コース】
先ず、観光地としての鋸山とハイキングコースで言う鋸山を区別する必要がある。前者は日本寺境内の「地獄のぞき」隣りの「山頂展望台」周辺を指す。これに対して、後者は大仏拝観料とは無縁の地域にあって、標高329.5m三角点のある山である。観光客の来ないこの領域は、小鳥の囀り以外は静寂で、人の気配も無い。標高とは裏腹に、奥深く静かな山歩きが楽しめる。
私が山中の見晴台ピークで昼食のパンを出していると、(多分、30代の)女性3名のグループが登ってきた。八街から来たそうだが、この3名を除いて、当日は山中では誰一人とも遇っていない。
さて、登山対象の鋸山は、幾つものコースがあることが分かった。以下に述べるが、これ以外にもありそうだ。登りと下りの組み合わせで、如何ようにも変化する。
(A) 車力道コース
(B) 観月台コース
(C) 安兵衛井戸コース
(D) 金谷川・林道口コース
(E) 保田・林道口コース
(F) ロープウエイ・観光コース
(F)は別として、日本寺の大仏を拝観するとしたら、一筆書きとはいかない。どのコースも、どこかのポイントを往復せねばならない。私が出会った3人組は、(A)を登ってきて、私がパンを食べたピークに辿りつき、そこから下って三角点の鋸山まで往復し、石切場に戻ってから大仏に行くようだった。
(A)と(B)が一般的であろうが、決して楽なコースではない。(D)と(E)はひたすら歩かされ、登りだけでも3時間は覚悟せねばならないだろう。
でも、山好きの者には(D)は面白そうだ。
(C)の沢コースは初心者には薦められない。東の肩分岐点から沢との出会いまで勾配が激しく、危険箇所には、(数箇所なんてものではなく)やたらと転落防止用のロープが張り巡らされていて、雨の翌日など、メッチャ歩きづらい。
【今回のコースタイム
浜金谷駅(7:50)→観月コース入口→(8:20)観月台(8:25)→(8:30)海抜150m鞍部(8:50)→休憩所→(9:00)石切場(9:30)→(9:50)日本寺北口ゲート→百尺観音→(10:00)地獄のぞき・山頂展望台(10:15)→(10:20)西国観音→(10:30)大仏(11:00)→東口ゲート(11:20)→(11:30)西国観音→
(11:35)[立入禁止(板)]登山道入口→山道→(11:45)見晴台[昼食]
(12:15)→(12:40)[329.5m]鋸山(12:50)→(13:10)東の肩分岐点→
(13:40)沢と出合う→(14:00)安兵衛井戸→(14:05)トンネル→(14:30)高速道下→(14:45)浜金谷駅
※下の各地図で隠れている部分は、最下段のバーを右にスライドすれば出てきます。地図はカシミール3DにM-241からGPSを読み込ませ、それに、ソフト「ペイント」で上書きして作成しました。
浜金谷駅を出たが、M-241が動いていない。止むを得ず、電池を取り替えた。最初が肝心なのでしばらく戻り、改めて出発。そのため、かなり時間をロスした。標識に導かれて金谷川を渡る。上の地図では赤の軌跡が2本あるが、上が沢道からの帰りで、下が観月台への軌跡であろう。JRのガードを潜って右に行くのが観月台コース。右折せず上への道は「安兵衛井戸コース」であろう。帰りの軌跡を見ると、観月台登山口の所から上に進んでいる。沢道を外さなければ、どちらでもよいのかも知れない。
観月台まで急な階段が続いている。地図上の黒い破線と赤のGPSは「かなりずれている」が、遠い宇宙の彼方からのものだから、この程度の誤差は止むを得ないのかもしれない。それで、実際歩いた道を、地図上に紫の線で上書きした。
観月台は休憩所になっていて、小高いピークであった。月見にふさわしい場所なのであろう。桜が咲いていた。ここから少し下った鞍部が海抜150mだそうで、トイレがあった。そこを過ぎると再び登りが始まり、やがて休憩所が現れる。石切場まで300mとある。
散り桜の道を登ると標識があり、石切場と日本寺の分岐点だ。
石切場に向かう。途中で、「ここか?」と思った場所から更に奥へ進むと素晴らしい場所に到着した。昔、石を切り出した道具や手押し車が、錆び付いて放置されている。天を仰ぐと圧倒的な岩盤群。
まあ、写した写真を見てください。
石切場から分岐点まで戻り、日本寺北ゲートに向かう。着いてみると、管理人がいない。拝観料600円とあったが、そのまま入る。本日は、ここまで誰にも遇っていない。
百尺観音を通過し、鋸山展望台への階段を登る。やっと着いた。見晴らしが良い。天空に突き出た「地獄のぞき」は眼がくらむので敬遠した。最近、年齢のせいか三半規管の故障で、平衡感覚が異常になっている。山には行くが、吊橋や岩場では、眩暈がするようになって怖い。
ハイキング道を探しているうちに、先ほど登っていた石段下に降りてしまった。間違いと気づき、また展望台へと登り返し。
千五百羅漢像へ下る道は分かりにくい。さて、そろそろ左手に「ハイキングコースへと抜ける道」があるはずだと下っていると、それらしきものがあった。でも、ロープが張られて「立入禁止」の札が立っていた。それで、そのまま下ると「西国観音」に出た。「もう少し先かな?」と思いつつ左手を注意して見ながら行くうちに、大仏広場に出てしまった。
「まあ、いいか」と、大仏の写真を撮りまくった。さすがに、此処には観光客はいる。トイレのある階段を下りてみた。あっという間に「東口ゲート」。下の駐車場にバス停があった。見ると、「ばんや」へ行く循環バスの時刻表だ。12:05分と13:15/14:25がある。だが、時計を見ると、バスは行ったばかり。
東口ゲートに戻り、600円を払いながら、「ここでは、鋸山登山を禁止しているのですか」と訊いた。この日は、人間が珍しかったので、いろいろと会話。やがて、西国観音の先の「立入禁止」が山道への入口と知った。山道へ入る許可を得て、そこまで登り返すのに大汗をかいた。
張られたロープを跨ぎ、ようやく本来の山道に入る。またまた、静寂の世界だ。
ようやくピークに着いた。360度、視界を遮るものは無い。周囲の山々の名を書いた説明版もある。今日は「ばんや」で昼食の予定だったので、菓子パンしかない。それを取り出していると、女性の声がして、下から三十代とおぼしき3名のグループが登ってきた。珍しいので少し会話を交わした。八街から来たとのこと。「車力道」を登って来たらしい。盛んな頃、鋸山から切り出した石を荷車で運んだ道だそうだ。車力という運び屋が女性だったとは驚いた。
ピークからの視界↑(保田港方面)↓(地獄のぞき、展望台)
彼女たちは先に来た道を降りて行った。鋸山の往復をするのだと言う。その後で、石切り場と大仏見物に廻るのだそうだ。
三角点のある鋸山までは、思ったより距離がある。山は深いが千葉テレビの巡視路として、要所要所には、局の標識がある。途中、中継局の塔へと上る道があるが、そちらではなく、そのまま下るように巻いて行くと鋸山へ到達する。せっかく辿り着いたのに、東京湾側しか、視界がない。あとは、樹木が茂っていた。昼食場所としては、先ほどのピークが良い。
鋸山で彼女たちと再会後、10分といないで、右左に分かれ、私は尾根道を進んだ。林道口と沢道の分岐点で少し考えた。どちらが良いか、である。面白そうなので、沢道を下ることにした。これが大変な道で、雨の翌日だったから、大いに閉口した。
下の場所で 初めて沢と出会う。稜線上の「東の肩」からここまで、始めに(C)の「沢コース」で書いたように、ロープ連続の荒れた下りだ。
この脇に小さな沢が流れていた。昔はここから水を汲んだのであろう。
この辺りから、沢沿いの普通の山道になり、やっと歩きやすくなった。
奥多摩や丹沢の山と異なり、千葉県の山は、水源と河口の距離が短く、高低さもない。だから、しぶきを上げ、木霊して山中を流れ落ちない。谷と言っても、渓谷とはほど遠く、ゆっくりと静かに流れる。
だから、変化に富んだ沢道ではなかった。僅かな沢音と小鳥の囀りだけを友にして、歩き下りたのだった。
この谷も静かな水の流れだ。
浜金谷の駅に着いたら電車は出たばかりであった。