蝦夷犬(エゾイヌ)

奥羽越列藩同盟の東北北海道さらに新潟県をテーマとして、地域の新聞から記事を選び、勝手なことを書きたいと思う。

白石温麺 変革なるか 「不仲」の地元有志が勉強会

2023-05-29 16:10:00 | 日記
河北新報電子版 朝刊
2023年5月29日 22/24

白石温麺(しろいしうーめん)は安物の麺。
江戸時代に素麺(そうめん)の産地だったが、突然に長さが半分の油を使わない製法の麺に変わった。
胃腸の弱い親に健康を取り戻して欲しいと願っていた息子が、ある日旅の僧侶が難儀をしているのを見兼ねて、一夜の宿を提供した。
その時に旅の僧侶が伝授した麺の製法を試したら、親の胃腸病がたちまち回復した。
これは素晴らしいと作られるようになったのが白石温麺である。

伝承はさておき、1867年フランスで行われたパリ万博。
そこで金賞を受賞したのが白石温麺である。
白石温麺は終戦後に安売り競走に巻き込まれた。
それまでは、細々とした家内工業的な製法だったので、それなりに美味しさも兼ね備えた食べ物だった。
大量生産、薄利多売に自ら打って出て、麺業界の優等生を目指したことが逆作用をもたらしたとも言える。

目玉商品と言うのは、一度安売りしたらまた値段勝負になる。
そしてラーメンブームが起きて、白石温麺は忘れられた素材になった。
それでも幾度となく、復活に夢を掛けて足掻き続けた。
時代は前後するが、温麺業界は血で血を洗う抗争が起きたこともあった。
白石と言う地域が、福島県郡山市と同様に、幹線道路の中間に位置し、鉄道も通り、電気も各地に送る主要な送電線のひとつが通っている。
とある数十メートル、数百メートルの距離のところを制圧したなら、東北の物流が途絶えて仕舞うような、重要な役割の地域である。

さらに遡れば、明治維新の前の戊辰戦争には、奥羽越列藩同盟の調印式が白石で行われ、事務方の要となる按擦府、外交の全権を処理する按察使(あぜち)の事務所が置かれたのは、例えれば仙台を首都として東北の政治を行おうとした時に、内務省と外務省の機能を持つ出先機関と言えるものを白石に置いた。
東北の全体を把握するには絶好の位置にあった。
古くから物流の拠点のような位置付けと言える。

だから、時代の変化に異様に敏感な点があった。
白石温麺は競争力が足りないから、価格で補うとして、我先に鉄道を利用して販売攻勢をかけようと躍起になってしまった。
売れずに返品されても、仙台という大市場で安売りすれば捌けてしまった。
食文化はそっちのけ、質もそっちのけ、提案型の魅力ある商品を自ら手放してしまった。

不幸にも、福島県も山形県も岩手県も蕎麦文化圏である。
温麺は白石という小さい地域の食べ物で、他の地域では蕎麦が食べられ、その温麺と言う特異な食べ物はより競争力が失われたと言っても過言ではない。

温麺はパスタとしても使える。
中華の中心素材としても大丈夫。
美味しい麺として、良い物を作れば、多様な料理に使うことが可能な食材である。
遅まきながら、品質の良い商品に仕上げて貰いたい。
そのためには、本格的な温麺専門店が出来て、適正価格で食べさせてくれることは、必要な要素の第一段階だろう。

地元企業ではない外部企業の傘下に入った数社が、声を上げてくれたいま、徹底的にこれまでの膿を出して、血を流しても、新しい時代に合う温麺という魅力ある商品を作ってください。


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