S&R shudo's life

ロック、旅、小説、なんでもありだ!
人生はバクチだぜ!!!!

真冬の狂想曲18-1

2006-10-20 17:16:29 | 真冬の狂想曲
 俺のいない間にどんな話になっているかは解らないが、松はいつもとは違う携帯電話で中村に電話をかけた。
「中村さん、今日も昨日話した件やけど、金さえ返してくれたら後は何もせんけ、黙って金返したらどうなんか。おたくのケツ持っとる人にも相談してみい」
 かすかだが携帯電話の向こうの声が聞こえる。
「松崎さん、昨日も話した通り、松崎さん達の金は平井が全部持ってるんですよ。私は一銭も貰ってませんし、何でこうなってるのか分かりません」
「ほう、じゃー平井はこっちで捕まえてもいいんやな?」
「…はい、私も平井がどこにいるのか分かりませんから。さっきも言ったように、私は何も分かりませんので」
「そうか、分かった。アンタも平井に連絡取れたら、俺に電話するように言ってくれ」
「はい、分かりました。連絡取れたら必ず連絡させます。」
 松は電話を切った。
「平井、今の話、聞こえたか?」
「はい、聞こえました」
「中村のヤツ、お前売って自分等は助かろうと思ってるぞ」
 平井は明らかに落胆している。その落胆した表情にみるみる怒りの色が広がっていく。人を騙して飯を食っている詐欺師でも、人に裏切られたら頭にくるらしい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 真冬の狂想曲17-7 | トップ | 真冬の狂想曲18-2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

真冬の狂想曲」カテゴリの最新記事