S&R shudo's life

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真冬の狂想曲24-4

2009-10-05 15:31:09 | 真冬の狂想曲
 リーガロイヤルに着き、今度はパクと一緒にエレベーターに乗り駐車場まで下りた。パクはまっすぐに松達が中村を押し込んでいる車に向かった。少し気後れしだしていた俺は3m程後ろからついていった。
 パクが車まで辿り着くと、代わりに松が車から降りてきた。二人は少し言葉を交わしたあと、パクが車に乗り込み、松は俺の方に歩いてきた。松はそのまま俺の肩に手を回し、駐車場の出口のほうに歩き出した。片手にはけっこう重そうなバッグを持っていた。坂本から受け取ったバッグだった。
「やっちゃん、とりあえずホテル戻ろうや。あとはそれからやね」
あとはそれからって、この後まだ何かあるのかよって思いながらも俺は松と一緒にホテルに戻る事にした。一瞬後ろを振り返って車の中を見たら、中村は真っ青な顔をしていた。あいつはこれからどうなるんだろうか?

 ホテルの部屋に戻ると、ノブ、平井、そして佐々木がそこにはいた。どうやら松に言われてこの1211号室に来て待ってたらしい。佐々木は平井の前だからかバツが悪そうにしていた。それはそうだよな、佐々木が松に尻尾振らなければ、平井も俺達に捕まることもなかったんだから。

松はゆっくりとした動作で煙草をくわえ火をつけてから、口を開いた。
「平井、お前の思いもいろいろあるやろうけど、これからは佐々木とまた仲良くして俺のために働け。坂本とは話つけとるけ」
「分かりました…」
 平井は唇の端を痙攣させながら短く返事をした。それを見て佐々木が笑いかけたが、平井は視線を外した。
 俺は松に中村がどうなるかを聞こうとしたが、言葉を飲み込んだ。俺には関係無いことだし、だいたいの想像はついてた。しかし平井がその事を松に聞いた。
「中村の事はパクの兄弟に任せたけ、平井、お前なら兄弟がどうするか解るやろうが」
そう言って松は少し口元を緩ませた。平井はそれ以上聞かなかった。たぶん俺と同じことを想像してるんだろう。

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