S&R shudo's life

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真冬の狂想曲24-3

2009-05-06 13:38:59 | 真冬の狂想曲
 俺達は5分程時間をずらしてコーヒーラウンジを出た。外で待っていた韓国人2人の姿はもうない。松達の姿も見えない。俺は松に電話をしようと携帯電話をポケットから出したが、思い直して携帯電話をポケットに突っ込んだ。これからどう動くかも分からないし、ヘタに動く訳にもいかないから、とりあえず俺はノブをホテルの部屋に戻し、さっきノブの話で聞いた地下1階にある駐車場へ行く事にした。エレベーターは使わず階段で地下1階まで下りた。
ただっぴろく音の響く地下駐車場を出来るだけ音を音をたてずに松達を探した。一番奥の隅の駐車スペースに止まっている車の周りに松達が立っていた。坂本の姿は見えない。俺はもう一度周りをよく見渡した。あの車から10台程離れた場所に停まっているワンボックスの陰に、坂本とパクがあの車に乗っている人間から見えないようにたっていた。視線を「わナンバー」のあの車に戻すと、ちょうど松とスモールパクが両側から中村を挟むように乗り込むところだった。もう一人の韓国人はゆっくりと運転席のドアを開けた。その韓国人が運転席に滑り込むより少し前に後部座席のドアは閉まっていた。
視線を坂本とパクに戻した。二人は松達に背を向けて、エレベーターの方に歩き出した。松達の車に近づくわけもいかないので、俺は二人について行く事にした。二人の乗ったエレベーターのドアが閉まりかけたとき、俺は出来るだけ音をたてずに階段まで走っていき、階段を駆け上がった。腹に差している道具が邪魔で走りにくかったし、寒さと疲れのせいで肺と心臓が悲鳴を上げていた。
急いでエレベーターホールに行ったが二人の姿はもう無かった。俺は慌てて辺りを探した。ホテルと駅とをつなぐ連絡通路があるほうのホテルのドアの向こうに二人の姿があった。俺は息を整えゆっくりと二人の後を追った。雪はもうやんでいたが、寒さは相変わらずだった。

坂本は小倉駅新幹線口に消えていった。それを見届けてるパクが振り返るのを待って俺は声をかけた。
「いったい、どうなってるの?」
いろいろ聞きたかったが、口をついた精一杯のセリフがこれだった。
「サカモトはスジ通したから、もう帰っても大丈夫よ。ナカムラはこれからだね。今からキョーダイのところ戻るけど、シュドさんはどうするね?一緒に行くか?」
 俺はもう行きたくなかったけど、この先どうなるかが気になっていた。ここまできたらもうついでだ。一緒に行く事にした。
 パクと一緒に歩いていると、道往く人達の視線が集まっているのが分かった。そらそうよな、誰が見ても本職にしか見えないもんな。さしづめ俺は借金か何かでヤクザに連れて行かれてるクソに見えてるんだろうか。無性に腹の道具を出して何もかも撃ち放したい衝動に駆られる。なんで俺が今この時ここにいるんだろう。本当だったら家でコタツに入ってゲームのコントローラーでも握り締めてるのに。

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