おコメの摩訶不思議

稲作農業の将来展望を考えます。
メールはroughriceの後に@mail.goo.ne.jpです。

政府買入

2007年10月30日 | 米穀
党主導で決定されたようですが、政府買入数量を上積みするようです(^^;

今年度の需給がこれで締まるかどうかは、よーわかりませんが、
1年棚上げし、来年11月から解禁になるようですと、後の因果となりはしませんか?

そもそも、政府買入は、現在では、
備蓄機能だけに限定されていたはずで、今回は、政治主導で無理矢理政府買入数量を上積みした格好です^^

かつての、政府買入は、需給調整機能も持ち合わせており、余剰分を政府が買入れ、市場隔離していました。ですが、これは後の生産調整面積を増大させ、生産数量を絞るようにすることとセットになっていました。
ですが、生産調整面積も限界に来ており、また財政的な事情もあり、第三者委員会みたいなので、政府買入れは備蓄目的に限定しようとなったはずです。
で、名称も政府米から備蓄米に変更されました。

もちろん、建前とホンネは別で、これまでも備蓄米が需給調整に活用されてきた側面はあります。

ですが、今回は露骨で、しかも、かつてのように政府買入の上積みの代償として、生産数量を絞り込むような措置も取り得ず、後の供給過剰が懸念されます。
政治家の皆さんは、来年再来年の凶作でも期待されるのでしょうか?
あるいは、援助米にでもしますか(^^;

報道では、後の需給緩和懸念に対する対策は、示されておらず、やり方としては、今さえ良ければ全て良し、ですか。
いや、換言すると、来年の出来秋までもってくれれば、衆院選は終わってるだろうってのが本音なんでしょうか(汗)

変わるときは一気に変わらねばならず、ダラダラ、ズルズル変わるようで変わらない、ということですと、真綿で首を絞める、あるいは安楽死、いや以前述べたような茹でガエル状態ですか。

私には、政治家が本気で農業を良くしようと考えているとは、到底思えない対応策です。

全国一律内金方式

2007年08月09日 | 米穀
タイトルが、業界紙の記事として掲載された日、当地の集荷業者や販売業者から電話をいくつか頂きました。

皆さん、想定外のことで、一様にショックを受けられたご様子で、
安すぎる
今年の米価水準が下がるのでは
買取価格あるいは販売価格の目安がなくなる
などのご意見でした。

生産者の立場からすると、
出来秋で7,000円の内金ですと、首が回らない、となります。

そもそも、米が収穫される前の7月には、前渡し金として3,000円をすでに頂いている農家が多く、結局のところ、秋には残り4、000円しか手元にありません。

もしかすると、当地では独自加算などあるかもしれませんが、そんなことすると内金の意味が無くなりはしませんか?という感じです。

で、今年の状況をよーく考えてみると、
本年は、集落営農の乱立している年でもあります。
ほとんどが、品目横断対策として、補填金の受け皿目的で、JA主導で立ち上がりました。

本年、設立の集落営農は、初年度で、資金がなく、7月に前渡し金をもらい、肥料代や品目横断のナラシ対策の拠出金を支払っている状況です。

で、秋には、前渡し金を差し引いた1俵4,000円しか、集落営農の通帳には残らない、となります。

おそらく、JAは資金繰りについて、何らかの対策を講じるでしょうが、こんなのやってられねーとお考えになる生産者の米がJA以外に流れるのではと考えるのが、一般的だと思われます。

なので、皆さん、価格が下がる=安く買える、とお考えなのだと思います。
また、全農も負担が減りますな^^

で、問題はいくらで買えばいいの?ってことで、
これまで、JA仮渡金の500円増しとかって言って買い集めていたのが、通用しなくなります。

ですので、ここら辺も知恵の出しどころで、一部集荷業者は電話の向こうで、チャーンスと言って、笑っておられましたぞ(^^)

近隣の地域で、数年前に仮渡金方式から内金方式へ転換した経済連がありましたが、私の印象では、米価は下がっていると思われ、その地域の卸さんは、私の地域の米価は、高くて買えねーよ、と仰っていたのを思い出します。

いやはや、大変なことになるのかもしれませんが、不思議なことに生産者からは不安の声は聞こえてはまいりませんな(^^)

要は名義

2007年05月23日 | 米穀
品目横断の加入に際して、結局、名義がネックになっていると考えられます。

品目の加入要件は、基本は認定農業者で4haです。
この要件を満たしているかどうかを、行政は、農業委員会の農地基本台帳のコピーで、確認します。

コピーは、生産者自身が農業委員会からもらってくるのが原則です。
JAが代行してくれるところもあるようですね。

台帳のコピーをもらってくるタイミングですが、
8月か9月の日付が入っているものでなくてはなりませんので、
この2ヶ月間にもらってこないといけません。

繰り返しますが、台帳のコピーの面積を合計して、要件を満たしているかどうかチェックします。

このとき、全ての農地が、自分自身の名義なら問題ありません。

ですが、借りている農地がある場合や、家族名義の農地がある場合、利用権の設定か、特定農作業受委託ってやつを結ばないといけなくなります。

つまり、なんらかの形で、自分自身の名義と、農地所有者の名義を結び付けなければならないのです。

まだ、利用権設定をしていないのであれば、遅くとも7月に設定しないと、農業委員会にはかったり、台帳に反映する事務があったりと、一定の期間を要しますので、9月に間に合いません。

利用権の設定がダメなら、特定農作業受委託を結びましょう。
その様式は、以下のPDFファイルの68ページにある様式38というヤツです。
http://www.maff.go.jp/ninaite/menu8/youshiki.pdf

今の時期は、品目の加入手続きと併せて、他の手続きも必要となります。
たとえば、ナラシ対策の積み立て申請が必要です。

積み立てさせてね、って書類で申請するわけですね。

上のファイルの24ページの様式14号です。
ここに、好きなだけ面積を書けばいいんですが、
ナラシ対策で交付されるお金には上限が設けられています。

6月15日付けで、JAとかから通知される、生産調整確定数量がそれです。

この数量を、標準反収で割ると、面積に換算されますが、その面積が上限になります。

請負している人は、請け負っている田んぼの分は、ちゃんとJAなどから通知されないと、足切りされちゃうかもしれません。

ここまで書いて、さすがに疲れました(^^;
細かいルールです。

税金が投入されるわけですから、
ちゃんとしないといけないのはわかりますが、
もうちょっと何とかならんのですかねー。

麦・大豆を作っておられたり、
集落営農の方々は、さらに書類の数が増えるのであった(^_^)

生産の自由化は、流通に何をもたらすか

2007年01月10日 | 米穀
お米の世界を、縦に分類すると、
(1) 川下 → 小売
(2) 川中 → 卸売・集荷業
(3) 川上 → 農家
と概ね3つくらいになるでしょうか。

この3つは、
川下から順に自由化されてきました。

まず最初に、規制緩和が行われたのは、小売でした。
それまで、コメを販売するには、許可が必要でしたが、
許可制から登録制に移行し、誰でもコメを販売できるようになりました。
現在では、届出制へと移行しています。

次は、卸売・集荷業で規制緩和がなされ、新規参入が容易になりました。
というより、今日では、小売業者、卸売業者、集荷業者という分類そのものが、無意味なものになっているように感じます。

そして、これからは、生産の現場で規制緩和が具体化します。
その象徴が、国が生産調整から手を引く、ということでしょう。
また、農地法にも規制緩和は及んでいきます。

さて、問題は、このことにどんな意味があって、
今後、川下、川中にどう影響するか、です。

(つづく)

コメ価格センターの入札取引

2006年10月08日 | 米穀
新米の時期となりましたが、コメ価格センターの入札取引は、落札残が著しく多いように見受けられます。

これまでの入札回数は6回
(1) 上場数量の単純累計が約4万トン。
(2) このうち、落札数量が、約1割の約4000トン。
(3) したがって、落札残は、全体の9割にものぼります。

つまり、コメ価格センターは、これまでのところ機能していない、ということです。

その原因は、全農の指し値水準が、他よりも高いためです。
「他」と述べましたが、全農が卸に対して供給するルートは、コメ価格センターだけではなく、むしろ殆どが相対で販売しています。

同じ銘柄の玉でも、
コメ価格センターで応札するよりも、
相対の特定契約で仕入れた方が、安くなる、
というのが実態のようです。

特定契約は、要件は厳しいようですが、反面、契約規模により建値から数百円のディスカウントされるとのこと。
全農から仕入れるのであれば、
やむを得ない事情が無い限り、
安い相対で、となるのが当然でしょう。

私の言葉で、言い換えますと、
全農は、コメ価格センターで、玉を捌くつもりはなく、
見かけ上の価格は、センターで一定価格を維持しているように見せかけ、
その実、相対で値引き販売しているわけです。

このような方法は、売り手にとっても、また、一部の買い手にとっても、メリットのあるやり方となっているようです。

例年、この時期は、
センターでの応札意欲は低いようですから、
今後は、少しずつ、落札数量は増えるのでしょう。

コメの業界に限らず、
他の業界であっても、
見かけ上の価格を高く見せ、
実行上は、値引き販売する。
なんてことは、よくあることですので、特段、目くじらたてるほどのことはありませんが、問題は、価格センターは、いったい何のために存在しているのか、です。

先物の取引所で、上場が現実味を帯びている中、
センターの位置づけを高くしようという取組が行われてきましたが、
センターの仕組みを変えたとたんに、落札残が大きくなった、では洒落になりません(笑い)。

もっと、売り手、買い手、双方に魅力のある仕組みにしなければなりませんが、残念ながら、今の構造ですと、そりゃ出来ない相談、となります(爆)



作況指数

2006年09月29日 | 米穀
9月15日現在の全国作況は97とのことです。
都道府県別で100を超えたのは北海道の105と富山の102くらいでしょうか。
低い地域は、九州、次いで関東といった印象です。

全国作況が100以下でしたので、
集荷円滑化対策は発動されないのでしょうね。
確か、全国作況で100を超えた場合に、100を超えた都道府県に対し発動される仕組みだったと記憶しています。

青刈り面積を含む作付面積は、169万2,000haで、前年産比1万7,000ha(約1%)の減だそうです。

これだけ書くと、
供給は不足するのか、という印象ですが、
作付面積が多く、供給は過剰です。



生産調整

2006年05月14日 | 米穀
やっぱり、たまにはお米のお話もしないといけないですね(^^)

件名については、関係者は気になるところでしょう。

現在、稲作は、大規模な生産調整が実施されています。
ネガからポジへ、配分方法が転換され、数年が経過しました。
今後は、行政主導から民間主導へと益々移行されていきます。
民間主導とはわかりにくですが、JA主導ということです。

現在、生産調整の都道府県別配分方法は、ポジ配分となっています。
作ってはいけない面積を各県へ配分するのではなく、
作っても良い数量を各県へ配分しているわけです。

これまで述べてきたように、
ポジ配分は、構造的に、ネガ配分よりも実効性が低いと考えられます。
要は、ポジ配分になったら、多目の面積が作付けされて、需給が緩和するということです。

したがって、現状のままでも、需給は常に緩和状態にある、と思われます。

では、今後についてはどうでしょうか?
生産調整が、これまでどおり順調(?)に実施されていくためには、
WTOの関税水準次第と考えます。

端的に申し上げて、
関税が低水準ですと、生産調整を実施する意味がなくなってしまう、
と考える方々が増加します。
その水準がどの程度かは、適正な試算が難しいと思いますが、
より多くの方々が、
「減反なんてやってられるか」とお感じになる水準でしょう。

そして、関税水準が決定するころには、
行政は生産調整から手を引いて、民間主導になっています。
その後は、生産者自らの問題として、生産調整は位置づけられ、実効性の確保などおぼつかなくなる可能性も考えられます。

将来的には、米価水準がもう一段低い。
このようなことも、想定しておく必要がありそうです。