おコメの摩訶不思議

稲作農業の将来展望を考えます。
メールはroughriceの後に@mail.goo.ne.jpです。

コシヒカリBL

2005年02月26日 | なんでも
新潟県のコシヒカリの話を以前に書きました。
意外に反響が高く、何本かのメールを頂きましたし、コメントもしてもらえました。
皆さんに、この場を借りてお礼申し上げます。

さて、メールの方ですが、私が風邪をひいたのと、相変わらず話が長いのとで、時間がかかり、全員に返信するまでに、数日かかってしまいました。
申し訳ありませんでした。

コシヒカリILについては、どうやらコシヒカリBLと書く方が適切であるようなので、これからはコシヒカリBLと書きたいと思います。
ご指摘頂きました方、ありがとうございます。

さて、この問題については、私自身、否定的な考え方を持っています。
その理由は、本日のコメントでも、少し触れましたが、
農家のリスクが高いからです。

高いリスクを取るのですから、
事前に充分なリサーチが必要です。
また、農家の理解を得るために、手順を踏まなければなりませんでした。
しかし、数人の方々から指摘がありましたが、そのようなリサーチもないようですし、手順も充分ではないようです。

BL導入によって、産地や年産までDNA鑑定で判別可能です。
しかし、新潟の実力は、いったいどの程度なのでしょうか?
偽の新潟が出回る背景は、いくつかあるようです。
一つは、安いお米が、高いお米として販売できるからです。
儲かりますもんねー^^

もう一つは、新潟県産の出来が悪いときに、
本当の新潟県産を納品すると、クレームがでるから、だそうです。
農産物ですから、年によって出来不出来があります。
そんなの、当然です。
でも、お客様は、問答無用だったりしますねー^^

これからは、新潟県産は、新潟県産として扱われます。
本当の実力が試されるという時もあるでしょう。

もし、新潟県の評価が低下した場合、
誰が責任を取るのでしょうか?

今回の件を発案した者は、責任をとれるのでしょうか?
たぶん、ムリです。
そのころ、発案者は、どこか別のところで、別の仕事をしてたりします。
関係ありませーん、ってなもんですかね^^
結局、責任は、新潟県産の評価低落→農家手取りの低下
という形で、農家が取るんです。

リスクは最終的には、農家に転化される仕組みですね。

BLの取組みがうまくいくといいのですが。
そしたら、他の産地もBLにするんでしょうか。
我が産地もマネするかも^^

マネされるっているのは、良いからなんです。
どんどんマネされるようなことをしましょうね。

米・先物取引導入へ

2005年02月21日 | なんでも
ブログの良いところは、トラバ(トラックバック)のできるところですね^^

ネタに困ったときには、他の人のネタをパクっちゃえばいいんです
しかも、ブログでは、どうぞパクって下さいっていう、トラックバック機能なるものが存在します。
すばらしいです(^^)v
まるしんさん、またパクらしてもらいます!!

で、タイトルの先物のお話。

早ければ今夏にも、東京穀物取引所で、コメの先物がスタートする(かもしれない)。
県内の米屋さんと、お話する機会が多いのですが、
「いったい先物って何やいね?」
と聞かれます。

先物=投機=博打
という感覚のようです。
個人的には、間違っているとは思えません。
というのも、どんな参加の仕方をするかで、
投機にもなりますし、ヘッジにもなりますし、博打にだってなります。
その人の立場や、考え方、知識。
こういったもので、先物の姿は、色々かわっていくようですね^^

先物が上場されたから、すぐにコメ業界が一変する。
なんてことはありません^^
変化というのは、まず水面下で生ずるものです。
目に見えて、変化を感ずるとすれば、それはすでに「変わってしまった」のです。

また、コメ業界は、先物以外にも、規制緩和によって、大きく変わろうとしている業界です。
すなわち、これからの変化は、先物による変化だけではなく、規制緩和そのものによって、変貌を遂げるでしょう。

先物っていうのは、その一側面にしかすぎません。
側面とは、市場の自由化ということです。

小売業界の自由化
これは、許可制から登録制、そして届け出制へと変わりました。
具体的には、許可を受けた(1500家庭に1件の米屋が認められていた)から、スーパー等が、新規参入してきました。これからは、生産者が小売業に参加してくるかもしれません。

卸売業の自由化
これまで、全国で300くらいしか卸売業の登録がありませんでした。
卸売業の登録は、全農から「自主流通米」を直接買える、というメリットがありました。
これもなくなっちゃいました。

集荷業者の自由化
集荷業者も届け出制になりました。
国のお墨付きなんていりません。
集荷をやります、という届け出を紙1枚提出すればいいんです。
カネさえあれば、だれでもやれます。

市場の自由化
これまで、コメの公設市場は、入札センターが唯一でした。
これからは、そうではありません。
先物の取引所も、参入できる世界です。
したがって、価格の目安が、複数できることになります。
いったい、どの価格を参考にすればいいんでしょうね(^^;

以前は、コメは入札価格を用いた建値制でした。
建値っていうのは、売り手が定価をつけるのです。
コメの場合は、売り手の全農が、入札センターの価格で、手持ちのコメを売ります、という制度でした。だから、一種の建値だったのです。

この建値制度もなくなりました。
建値制度がなくなったということは、
全農は、別に入札価格と連動しなくても、コメを売っていいのです。
最近では、年間を通じて同じ価格で、販売する場合もでてきました。
買い手の方も、その方がメリットがある場合があるようです。

このように、より自由になったことで、多様性が生じてきました。
価格も多様性があるのです。
現物の価格だけではなく、先物の価格もあります。

先物をどう利用するかは、個々人が決めます。
別に利用しなくても良い自由をもっています。
自由というのはすばらしいです。
法の範疇で、何やってもいいですし、何もならなくてもいいっ!
でも、これが一番困るって感じもしますね。

よく、今晩何が食べたい、と聞かれて、
「何でもいいよ」
と答えると、
「それが一番こまるのよねー」
と言われます。

要は、何でも良くなっていくわけですね(^^)v

女性タレントの窃盗

2005年02月19日 | なんでも
日本テレビのカミングダウトという番組で、
女性タレントのあびる優という方が、
以前に、窃盗をはたらいた、ということをクイズの中で告白してました。

ちょうどこの番組を見てたのですが、
正直、びっくりです。

ネットでは話題になっているようなので、興味のある方は、検索なさって下さい。

ただ、番組上、ある程度の脚色があったとしても、犯罪は許されることではありません。
もちろん、万引きでも犯罪です。
(コシヒカリILという品種を、コシヒカリとして販売するのは違法ではないんですよ←やっぱりしつこいですよね^^;)

面白ければ、なんでもいいやっていうのもあるんでしょうが、
一方で、被害者がいることを忘れるべきではないと思います。

やったもん勝ちじゃぁ、被害者が報われないです。

ちゃんと、被害者に謝罪して、弁償なんかもして、
さらに被害者の気が晴れるようにしなくちゃいけないですね。

もちろん、日テレは、犯罪行為を知った時点で、警察に届けるなどの対応をしなければならないのです。

野暮なこと書くようですが、犯罪行為を容認することは、
私たちの生活や経済行為の根幹部分に関わることですから。

最近の研究では、
小さな犯罪を容認すると、
大きな犯罪に発展するんだそうな。


ライブドアによるニッポン放送株買収の是非

2005年02月18日 | なんでも
ライブドアの堀江社長は、叩かれてますね^^

ライブドアは、ニッポン放送の株を、時間外取引で取得しました。
これが、どうもよろしくないようです。

もともと、場外で、発行株式の3分の1を取得するような場合は、
事前にオープンにしなければなりません。
市場で買い付けるのであれば、オープンな場ですから問題ないのですが、
市場外で大量買い付けすると、手続き上透明性がなくなるからだそうです。

これをTOB規制というそうです。

で、ライブドアは、時間外であっても、市場内で買い付けしてますから、
法的には問題がないのです。

法的には、問題がないのですが、
各方面から、これに対して、批判がでています。
政治家も複数批判してますねー。

でも、これっていったい誰が悪いのでしょうか?
ライブドアの堀江もんが悪いんでしょうか?
堀江もんがやらなくても、そのうち誰かがやるでしょうね。

つまり、問題の本質は、
仮に、時間外で大量買い付けしたことで、悪い影響があると言うのであれば、
なぜ、当局はこれを放置していたのか
ということなのです。

きっと当局は、想定していない事態だった、とかって言うのでしょう。
そんなわけないように思いますが。
ほったらかしにしたヤツが、一番悪いんですよ。

敵対的買収が、日本の風土に合わない、という議論もありますが、
なら、上場しなければいいのです。
乗っ取りが怖いのなら、株式市場から資金調達などしなければいいのです。
上場してメリットを享受した以上、その企業は買収のリスクに晒されています。

こんなの当たり前のことです。
日本の風土に合わないって言いますが、
なら、株式を上場して資金調達すること自体が日本の風土に合わないのです。

資本主義の悪い面が出てきた、と言う人もいますが、
あんた共産主義者ですか?
乗っ取りって、資本主義そのものでないの?
資本があれば、企業だって買えるんです。
お金で、ほとんどのものが買えるんです。
カネで買えるって、そんなに悪いことでしょうか。
資本主義のメリットを享受しておいて、
デメリットは悪だと言う。
日本の風土の問題ではなくて、あなたのメンタリティの問題なのです。

批判する人は、
心のどこかで、若造がカネを持ってるんで、ねたんでるんではないですか?
でも、そんなことあからさまに口に出せないから、
ここぞとばかりに批判してるんではないですか?

あるいは、フジの味方をしてるんではないですか?
(なんでか知らんけど)

人の批判する前に、自分自身を省みてはいかがですか?
ご自分はそんなに立派な方なんですか?

ライブドアの堀江社長は、
結果として、失敗するかもしれません。

それでも、自らリスクをとって、闘っています。
制度の欠陥をついて、攻め込んでいます。
それでも、違法ではないのですよ。
(もちろん「コシヒカリIL」を「コシヒカリ」とするのも違法ではありませんよ←しつこい?^^)

堀江社長は、個人的にはそんなに好きではありませんが、
したり顔で、批判する政治家の顔は醜悪に感じました。
なんかフェアじゃねーよ。

新潟コシヒカリIL

2005年02月17日 | なんでも
(注)以下について、事実と異なる場合は、
コメントに記載するか、roughrice@goo.jpまでメールをして、
ご指摘頂けるとありがたいです。
訂正すべきところは、訂正致します。

さて、本題に入ります。
コシヒカリIL、コシヒカリBLという品種は、遺伝的にはコシヒカリとは異なります。

しかしながら、
新潟では、コシヒカリILを県下全域で作付けし、
これを「コシヒカリ」として販売する取組みを行うとのことです。

これだけを端的に書くと、それって違法じゃないの?
という素朴な疑問が湧いてしまいます。

ところが、遺伝的にコシヒカリと異なっていても、
行政が、これをコシヒカリですよ、と認めてしまうと、
「こしひかり」と袋に表示して販売しても良いという制度になっています。

したがって、これは食品の表示を定めた法律の一つであるJAS法上、違法ではありません。


物事は、すべて、良い面と悪い面の両面を併せ持っています。
新潟のコシヒカリIL問題も、例外ではありません。

まず、良い面から考えてみましょう。
いもち病に強い、コシヒカリILという品種は、
田んぼで作る際に、農薬を減らすことができます。
病気に強いのですから、あえていもち病に効果のある農薬を散布しなくても良いからです。
使う農薬を減らすってことは、人間にも環境にも良いことですよね(^^)

もう一つ良い面があります。
「コシヒカリ」と「コシヒカリIL」は、遺伝的には異なります。
新潟では、これを「コシヒカリ」として販売するわけです。
(↑違法ではありませんからね)

言うまでもなく、新潟産は偽物が出るほど、人気の産地です。
しかし、残念なことに、偽物を判別するDNA鑑定という技術は、
品種の判別はできるのですが、産地までは特定できません。

そこで、コシヒカリILが、本格的に新潟で普及すれば、
新潟産と、それ以外の産地のコシヒカリが、DNA鑑定で区別できることになります。

一気に、偽の新潟コシヒカリを排除できるわけです。



でも、これって一種のパラドックスだと私は思います。

例えば、
ここに、「新潟産コシヒカリ」と「産地を偽装した新潟産コシヒカリ」があるとします。

「新潟産コシヒカリ」は、
確かに、新潟で獲れたお米ですが、品種は遺伝的にはコシヒカリILです。

一方、「産地を偽装した新潟産コシヒカリ」は、
産地は偽装されていますが、品種は確かにコシヒカリです。

前者は、適法で、
後者は、当然、違法です。

遺伝的な観点から、上記を言い換えると、
新潟という「産地」のブランドを偽物から守るため、
「品種」を遺伝的に、コシヒカリと異なるものにしたのです。

コシヒカリとコシヒカリILとが、食味的に同一なのか、あるいは異なるのかは、
私は食べたことがありませんので、わかりません。

このことの是非は、マーケットが決めるのでしょうね^^

もしかしたら、
コシヒカリILは、「コシヒカリIL」として表示した方が良いのでは、とも思います。
ILなら、農薬が少ない、というのが認知されれば、逆に付加価値が付いたりして。
そんなに甘くない??

ポジ配分の意味

2005年02月15日 | なんでも
先日は、
今の制度では、需給は緩和傾向が常態となること
その理由は、ポジ配分にあること
などを書きました。

なぜ、ポジ配分は、需給を緩和させるのか?
今日は、少し技術的な話しになりますが、
ポジ配分が、需給を緩和させるメカニズムについて、整理してみます。

まず、制度を改正する前の、生産調整面積の配分方法(ネガ配分)に触れてから、
現在の生産数量の配分方法(ポジ配分)について、お話します。

*** *** *** ***

<<<ネガ配分>>>

生産調整、俗に減反と呼んでいますが、
かつては、お米を作らない田んぼの面積を、各生産者に割り当てる方式でした。
作らない面積を配分するので、「ネガ配分」なんて呼ばれます。
ネガっていうのは、ネガティブのことみたいです。


<<<ポジ配分>>>

現在、配分方式は、お米を作る量を配分しています。
作らない面積配分から、作る量の配分へ変わったわけです。

かつては、作らない面積を配分していたので、
減反の制度が、ちゃんと機能している場合には、
作付け面積は、当初の計画通りに抑えられます。

一方、作る量を配分するとどんな現象が生ずるのでしょうか?
実際に、ポジ配分をやってみて、明らかになったことは、
用いる反収によって、作付け面積が変わるということです。

作る数量の配分は、
(1)国が、日本全体の数量を決める
(2)都道府県に配分する
(3)都道府県は、各市町村へ配分する
(4)各市町村は、各生産者へ配分する

という4段階で、配分します。

問題は、(4)の生産者への配分の段階です。

都道府県から、市町村へ配分する時には、数量で配分します。
○○村は、1000トン作れます。
という具合です。

市町村は、この数量を各生産者へ割り当てますが、
割り当てる時には、数量ではなくて、面積で割り当てています。
ここで、数量配分から、面積配分へと置き換えが行われるのです。

数量から面積へ置き換える時には、反収をどれだけで見るか、が重要です。
1000トンの配分を受けた市町村は、
反収で割って、面積換算します。

仮に反収500キロなら、
1000トン÷500キロ=200haとなります。

用いる反収には、共済反収と統計反収の2種類があります。
どちらを使っても良いルールなのです。
ここがミソですね(^^;

実は、共済反収と統計反収とでは、結構、数字が違うのです。
私の住む地域で、共済反収と統計反収とを比較すると、約30キロも違います。

つまり、10アール当たりで収穫できる量が、
500キロと、530キロと、2種類の数字があり、
そのどちらを使っても良いことになります。

1000トンの生産量を配分された市町村が、
530キロの反収を用いた場合には、189haの面積を作れることになります。
500キロの反収を用いた場合には、200haの面積を作れることになります。

結局、どこの市町村も、たくさんの面積が作れるように、有利な反収を用いることになります。

全国、すべての市町村が、こういうことをすれば、
その積み上げ数量は、かなりの量になります。

その結果、当初計画していたよりも、多くの面積でコメが作付けされることになります。
それが、需給を緩和させる原因の一つです。

小さなルールなのですが、
全体の需給に影響を与える大きな意味を持っているのです。

すでに、ご紹介したように、H16年産米では、
作況98であるにもかかわらず、
作付け面積が、計画よりも大きくなり、
需給は、数字上、均衡してしまうことになるのです。

制度の改革が需給を緩和する

2005年02月14日 | なんでも
米政策改革大綱というのは、米の需給という観点から、大きな変革をもたらす仕組みです。
端的に申し上げれば、需給は緩和していく、ということです。

本来、需給というのは、作況が100の場合に、はじめて均衡します。
具体的には、需要量と供給量が一致する、ということです。

ところが、新しい制度では、作況100では、需給が均衡しません。
作況100では、緩和するのです。
つまり、需要量よりも、供給量の方が、大きくなるのです。

      *** *** *** *** *** ***

実際に、平成16年産米では、需給はどのような状況にあるのでしょう?

平成16年産米の作況は、98でした。
通常、これで需給は若干タイトになるはずでした。
ところが、実は、作況98なのに、現在需給はちょうど均衡していると公式には認識されています。

というのも、作付け面積が、当初の計画よりも、約3万7000ha多く作付けされてしまったのです。
3万7000haは、数量にすると20万トン弱です。
作況ポイントに換算すれば、2ポイントに相当します。

したがって、作況98ポイント+計画を上回る面積分2ポイント=作況100
となり、ちょうど需給は、計算上で均衡しているのです。

結局、作付け面積が、当初の計画よりも多く作付けされてしまったために、
その分、需給が緩和する傾向に働くのです。

では、このようなことは、平成16年産米だけに見られる傾向なのでしょうか?
私は、この傾向は、昨年だけではなく、「ポジ配分」が続く限り、今後も生じる現象であると考えています。

次回は、ポジ配分が、なぜ需給を緩和傾向に引っ張ってしまうか?
というお話をしたいと思います。