おコメの摩訶不思議

稲作農業の将来展望を考えます。
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茹で蛙

2007年05月14日 | なんでも
タイトルの話は何度も書いていますし、いろんな方も同様の主旨で述べておられますが、非常に本質的なことですので、何度でも書いてみたいと思います。

今更、説明するまでもないでしょうが、
沸きあがったお湯の中に蛙を入れると、蛙はその熱さに驚いて、鍋から飛び出てしまいます。
ところが、水の状態で蛙を鍋に入れ、とろ火でゆっくり加熱すると、いつの間にか茹で蛙が出来上がっている、というお話です。

実際に茹で蛙が出来上がるかどうかは別にして、茹で蛙のような事例は、私たちの周りに数え切れないほど存在しているようです。

平成6年をピークとして、
米価は、断続的に下落しています。

具体的に見てみますと、
平成6年産の米価は、新潟コシヒカリで約2万4,500円、北海道きらら397で約1万7,300円でした。

一方、平成18年産の直近価格は、新潟コシヒカリが約1万8,300円、北海道きらら397が1万4,900円となっています。

下落幅は、新潟コシヒカリで約6,200円(▲約25%)、北海道きらら397で約2,400円(▲約16%)です。
なお、北海道きらら397の最安値は17年産の約1万2,800円で、約4,500(▲25%)の下落でした。

この間、平成10年、平成15年などは、不作によって米価は一時戻してはいますが、これは一時的なもので、すぐに安値の水準に落ち込んでいます。


平成6年産の価格から、約1/4の下落幅ですが、下落期間は約10年です。
これが長いか短いかは、人によって様々な評価があるでしょうが、私は長い期間にわたって、少しずつ下落した、と感じています。
加えて、平成8年だったでしょうか、稲経という補填制度が導入され、米価下落が生産者に実感しにくい体制が確立しました。

つまり、稲作農家は、ゆっくりと、しかし確実に体力を奪われ、大多数は(というよりJAは)政策に救いを求めてきた、という印象を私は持っています。
いや、政策に救いを求めず、自力で対応しておられる農家もいらっしゃいますが、圧倒的多数はそうではない、と考えています。

気がつけば、状況は著しく悪化しており、疲弊した状況の中で、「あとは自分でなんとかしろよ」と行政から三行半を突きつけられているのでは、と感じられます。

それなら、体力のあるうちに放り出して欲しかった、と思うのが人情でしょうが、後の祭りです。

今後、数年間、さらに断続的に米価は下落することにでもなれば、茹で蛙の一丁上がり、です。
その責任は、行政がとるわけではなく、ましてやJAがとるわけでもありません。
稲作農家の破綻という形で、農家自身が責任をとることになります。

ここで、大切な教訓を学ぶことができます。
最終的に責任を取りえない者(つまり、行政やJA)に、依存してはならない。
自立しろと。

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