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チューリップス・シスター第13話

2016-09-03 08:15:00 | 小説チューリップス-シスター



チューリップス・シスター第13話 事件捜査の迷走

当時、美咲が大学病院へ入院した事は誰も真理には知らせる事はなかった。叔父夫婦は真理に知られると真理の生活観や価値観など人生のあり方が変わってしまうと考えていた。神父は伝える必要はないと考えていた何故かと言えば真理は海で真理は湖や海と湖は地下の水脈で繋がるのと同じで真理と美咲は繋がっていると考え真理は自らの能力で美咲が入院している事を知るだろうと思っていた。セラピストは美咲の事だけを考えていた。フリーランスの精神科医はある能力の持つ人物であり聞く事だけで人に話をする人物ではなかった。この人物は美咲だけではなく施設にいる子供達からも信頼のおける人物で名前はコナン・グレードと子供達からはコナンと呼ばれていた。
アメリカにいたインディアン民族の最後の男性は日本で日本女性と子供を授かったが婚姻届を出す事はなく内縁関係であり2人の間で産まれた子供がコナン・グレードである。日本女性には特別な能力がありインディアン民族の最後の男性を日本に導いていたようだ。コナン・グレードには日本女性の能力とインディアン民族の男性の霊能力が備わっていた。彼の父母はアメリカにインディアンの末裔がいる事、そしてカードトランプから差別を受けている事を知りインディアンの末裔を守る為に戦いの中で死んだ。そして彼はアメリカではなくイギリスの大学で学び精神科医となり大学付属病院で勤務していたのは半年、その後はコナン・グレードは自分自身の能力を日本人の母の最後の手紙で知った。個人的な関係で精神治療が可能である事に気付き病院の精神治療を受けたくないという富裕層の患者を診療するフリーランスの精神科医となっていた。コナンが精神治療をしていた患者の中には真理や美咲のような能力を持つ患者もいた。そして稀にある特異的な能力を持つ多くの患者を専門の精神科医として世界中を回りながら診療した体験があり日本で神父と出会っていた。
美咲の絵画の保管庫の天井には角と天使の羽を持つフェニックスの2頭が彫刻されていた。飛ぶ事が出来ない伝説の女神を乗せてフェニックスは空を自由に飛びまわるような彫刻だった。彫刻を施したのは、この頃には誰なのかはわからなかった。美咲の絵画の保管庫の壁から保管棚は離されていて全ての壁の彫刻が観れる様になっていた。神父とセラピストだけが扉を開け観る事が出来る保管庫であったが特異的な能力を持つ事がわかりフリーランスの精神科医で霊能力を持つコナングレードにも観てもらう事になる。刑事や警察官は家宅捜査の令状を見せ保管庫へも土足で一方的に強引に先入観で踏み入れた。神父とセラピストとコナンは美咲の真実を伝える事はなく令状もあり刑事や警察官の思うとおりに黙って従うしかなかった。保管庫は美咲にとっては聖域の場所であった、その為に入院している美咲は離れた場所で刑事や警察官の行動や考えている事を眼をつぶり黙り目を開けると怒り憎悪復讐の感情で刑事や警察官達の姿を絵画に残す。
唯一1年に1回の誕生日に美咲がいない事を聞く事もなかった。警察は美咲の様子を伺う様に週に1回病院へ足を運んでいた。美咲の絵は精神心理学によって分析をされていたが、どうしても答えは出てこない。心理学者や分析官は様々な症例や事例を調べてみるが、どの症例や事例にも当てはめて考える事が出来なかった。警察は過去の美咲を見た精神科医にも先入観で強引な事情聴取をおこなっていた。精神科医は過去の美咲の事や美咲と会った時の出来事を話していた。
「目の瞳に引き込まれる感じ?馬鹿な、そんな事があるわけはない」
「そうですよ、過去の調書の記録も本当かどうか不明ですから」
「そうだ、その通りだ、丸裸にして真実を突き止めよう、必ず、犯人はいるはずだ」
刑事や警察官達は精神科医の言葉を信じる事はなかったが一応事情聴取した事は調書には記載されていた。捜査線上には何人かの容疑者として浮かんでいた。何度も調査をするが決定的な裏ずける証拠すらなく事情聴取では何度も同じ内容が話され何も出ては来ない。警察が唯一決定的な証拠はナイフについた幾つかの指紋だけであった。その指紋でさえ前科者リストの中には一致するものはなかった。美咲の描いた横たわる男の上に乗しかかりナイフで刺している人物の姿の影は誰なのか男性か女性か。この3年の間、何度も美咲のもとへ足を運ぶ刑事や警察官の強引な姿があった。また何度も叔父の診療所にも訪問し先入観で強引な事情聴取をしていた。叔父夫婦が美咲が病院へ移ったのを真理に知らせたのは事件から3年後であった。真理は驚く事もなく冷静でまるで知っていたかのようだ、そして18歳になった真理は大学へ入学し医大生となった。当時15歳の時には叔父を尊敬していて内科医になる事を目標としていたが美咲が病院で治療を受けていると伝えられると精神科医を専攻した。それは美咲が求める事で真理に囁きながら精神科医になるよう導いていた。
叔父は最初は反対したのだが、もしかしたら美咲を真理は自分で治療する事を考えての事かもしれないと思っていた。
「神の言葉において、この時間の扉を開けよ」と神父の心の中に目に見えない姿なき声が囁き始めた。
神父は教会で祈りを奉げ続けていた。入院している美咲の症状は落ち着いているものの以前同様に言葉で表現する事はなかった。大学生の真理は夢を見る事が多くなってきたこの夢は真理と美咲に変化をもたらし始める、この世のものとは思えないものである。
「神の言葉において、この時間の扉を開けよ」
この言葉によってある能力が真理と美咲の心の扉が開きはじめた。
真理のみる夢は「炎の夢」 「太陽の夢」 「水が流れる夢」美咲は入院してからは農園に咲いている花の絵を描いていたが、理が夢をみると、その絵を描くようになる。真理の夢を描く美咲の絵は精神科医や看護師に恐怖感や不快感を持たせ、その絵は動いているかのように見えた。その絵を見つめていると、頭痛や吐き気や無気力といった症状を持たせるのだ。病院内では、それらの絵は美咲の病室の棚の引き出しの中ではなく神父が預かり美咲の保管庫に置く。真理と美咲は、どんなに離れていても同じ風景や人物を見る事が出来るようになり真理は眠れぬ日々を過ごす。その夢は真理を苦しめるものとなっていた。夢をみる真理と夢を現実のものにする美咲であり真理は幼き時から本当の自分を隠して生きていた。
その反対に美咲は自分に正直に生きてきた自分自身の感情のままに怒り、憎悪、復讐の感情である。。神イエスは真理には苦しみと苦痛を与え試練を乗り越えるよう導いていた。美咲は真理に素直で正直に生きられるよう真理の心の中に囁き始めるが真理は美咲の囁きの意味がわからずにいた。何度も何度も美咲は真理に伝え続ける。咲は花の絵を描きながら小さな声で囁いていたが真理の心の中の夢が現実となる様、真理の中にある能力を与えはじめる。真理はその能力を持つ事を心の中で拒み続け苦しんでいたのだ。この変化は誰も気づく事はなく真理と美咲が共有する能力がある事を誰も知る事はなかった。神イエスや聖母マリアに神父の祈りは真理の苦しみを軽減するためのものであった。真理と美咲の周辺にいる人達は普通の生活を送り笑顔が絶えなかったが刑事と警察官によって変わってしまうが病院にいる美咲はその光景を思い浮かべていた。捜査の進展はなく捜査の方向性に間違いあり八方塞がりとなっていた為、最初に戻る殺人事件の捜査となった。美咲への気遣いはいらない事、決して関わってはならない事を伝えた約束は私服の刑事達と制服の警察官達は考えた末、神父達との約束を放棄した。私服の刑事達と制服の警察官達は過去の奇妙で不思議な未解決事件があった事を知りながら真理と美咲の容疑ははれたが疑惑という先入観から離れる事が出来なかった。
「俺達は犠牲者になる事はない、疑惑がある限り、捜査は続けなければならない、真実を追求するのは俺達だ、過去の未解決事件も含めてだ」
真理と美咲の周辺で事件は起きていると疑い深く先入観のある刑事達と警察官達であった。何度か約束をした事をもう一度考えてもらいたい思いを伝えたが無理だった為、今後この刑事達と警察官達が、どのようになるのか見極める事を考えていた。神父の祈りは届く事はなくフリーランスの精神科医が伝えた事への疑問もあり思いは届く事はなかった。
施設の外へ出る事のない美咲がどうして絵を描き続けるのか、1つの疑問があり警察の方ではフリーランスの精神科医ではなく日本で大学病院の専門の精神科医とも相談していた。美咲の状態について相談を受けた専門の精神科医は警察へ美咲の入院治療の必要性を話し措置入院をすすめたのだが、なかなか対応が出来ずにいた。
「少しだけいいです、協力してもらえませんか」
神父達に協力求める刑事達の中には数人の刑事や警察官はいた。それは何故か過去の未解決事件の調書を読んで不審な死で自殺なのか殺人なのかと考えると不安感と恐怖感があった為である。今後どうなるのか全く解らない事である為、良く考え相談をして神父とセラピストやフリーランスの精神科医は協力する事は出来ないと数人の刑事や警察官に話す。
「私の邪魔をしないで、悪の邪気は消えてしまえ!」病院に入院中の美咲の怒り・憎悪・復讐心から感情の囁きである。美咲に声をかけた刑事達や警察官達は美咲の心の囁きによって耳鳴りや頭痛、眩暈、立ちくらみ、頭への強い圧迫感を持つようになり説得は不可能となった。
それでも先入観から離れられない警察は捜査の進展はなく捜査の方向性に間違いありと決めつけ八方塞がりとなっていた為、最初に戻り殺人事件の再捜査を開始する。刑事達に異変はあるが、ただの体調不良と考える私服の刑事達と制服の警察官達であった。神父や叔父夫婦、セラピスト、フリーランスの精神科医へ真理と美咲への疑惑を解く鍵を見つける事を互いに確認し合いをして強引になっても事情聴取を取る事を決めた。美咲からの信頼関係のあるセラピストとコナングレードは疑惑という先入観から離れられない警察からの事情聴取は断っていた。
先入観のある警察官達は強引でしつこく神父や叔父夫婦、美咲にも同じであり過去の事件に関係する人物全て真理や修道僧、施設の職員に事情聴取をする。警察、一時的なものではなく強引で執拗、神父や叔父夫婦へ何度も同じ質問をし過去の聴取内容を変え現実的な内容にしようと事情聴取をしていたのかもしれない。しかしどんなに質問内容を変えても過去当時の聴取内容は決して変わる事はなかった。
美咲の3つの感情は警察官達に向けられる。先入観を持つ警察官達らは辞表を出すよう脳内で何かしらの音声誘導され事件の記憶を消されホームレスの人生を歩む事になる。ホームレスになったもと警察官は常に罪悪感の中で耳鳴りと音声送信で苦しみながら生きていく運命となった。過去のように現実の世界で全てを消された犠牲者を増やさない為にも神父は心の中の神に祈りコナングレードは願っていた事で死や現実の世界から消える犠牲者はいなかった。ただ生きながら罪悪感に苦しみの中で生きていく運命にされたというのは報われず日々何度も生と死を考え残酷な運命に違いない。先入観から見る視点が変えられなかった警察官達らはホームレスになったが世捨て人のようになりホームレス同士の交流はなくなり孤独感にさいなまれ神イエスによって真理と美咲の父母と同じ苦しみを与えられ棘のある茨(いばら)の道へと導かれたのだろう。思い込みが激しく先入観を持たなければ普通の人生を送り幸せな人生を送れたのかもしれない。捜査の迷走は時が流れると未解決事件となった。
ホームレスになり世捨て人のようになった元警察官達は他人と関わりを持つ事はない。組織の中で人生を歩いたはずだが孤独の中での人生を送る事になる。美咲の3つの感情の予兆の能力で元警察官達は動かされていた。怒り、憎悪、復讐の感情が元警察家の心の中に植えつけられ警察官の正義ではなくそれぞれ一人で動き強盗や強盗殺人を犯すよう導く事になる。ホームレスは公園や河川敷などで住まいを作り住みかになるが世捨て人となると人間関係は全くなくなり事件犯行後に住まいは常に違う場所へと移動し生きていく。そして世捨て人になった元警察官達の犯した事件は未解決事件や先入観から誤認逮捕となる。未解決事件や誤認逮捕は美咲だけの予兆の能力だけではない、神イエスと聖霊と天使が導き、死神が元警察官の心の中に宿ってしまったのだ。元警察官達の世捨て人達は罪の意識もなく強盗殺人を犯し事件は次々と起きる、そして未解決事件や誤認逮捕は増えていく。


チューリップス・シスター第12話

2016-08-29 07:40:46 | 小説チューリップス-シスター



チューリップス・シスター第12話 美咲の入院

美咲の2枚の絵画は横たわる人物にのしかかりナイフで刺そうとしている人物の影、その周りには一面に菜の花と赤いチューリップが咲いている絵画と倉庫の中で砂の地面から自然とはいていた赤いチューリップがあり、その中には白い椅子が倒れている人物の姿はない人物の影だけのある絵画である。2枚の美咲の絵画を捜査資料として制服の警察官は持っていく。美咲は自然の風景画を描く事無く事件当時の絵と風景画を書かなくなった花と影の絵の2枚である。叔父と神父は、なぜ美咲が描いた絵を燃やそうとしなかったのか。
「どうして私の絵を捨てちゃうの」と、美咲の部屋にいる一緒にいるセラピストに言った。
セラピストは美咲の言葉で神父に合い美咲の言葉を伝えると神父と叔父は顔を合わせ神父は冷静で叔父は驚いていた。それは美咲は絵が無くなるのを離れた場所で考えていた事を何故か知ってしまう事を神父が叔父に話したが理解するには時間がかかった。過去の体験で美咲が修道院の施設に入ってから、しばらくしてから絵を描いていたが他の児童にその絵を持ち出され破かれ燃やされた事があり知らない場所に捨てられた事があった。次の日には、そこで破く児童の姿、火をつける姿を絵にしていたのだ。盗む姿、絵を持ち出す姿、そして破き火をつける姿を鮮明に3枚の絵にしていた事があった。誰が悪戯をしたか鮮明に描かれた児童は2度と美咲の部屋へ入る事はしなかった。神父は絵がなくなれば美咲の心は傷つくのだろうと思っていた。他の児童に悪戯されないよう描いた絵は、ある場所に隠そうとした、その場所が美咲の絵画の壁や天井に彫刻がある保管庫になった。この保管庫は開かずの間と呼ばれていたが、美咲の為に解放したのである。
真理にはない能力を美咲は持ちあわせていたのだが真理の能力は後に知る事になる。美咲にとって今の生活が一番幸せなのだと神父は思っていた。しかし美咲の運命という扉が開き突如動き出した。
「フォメオ・ス・タンシス・・・」
神父の心に美咲の心の神は語りかける。美咲の鼓動の高鳴り囁く声は、神父の心を透し動かされ、ある者へ美咲の声が届けられる。美咲の運命の赤い糸の繋がりは、神父ではなく、世界を回り能力を発揮される事が出来ていた神父の甥にあった。神父の心の中の神は、甥の能力と神父の能力は本当の美咲の能力を知る事と気づく事から始まっていた。美咲の能力はまだ予兆の能力であり、まだ完璧なものではなかったが神父の心の神は甥からの伝令を受け止めていた。神父の頭の中では薄っすらとしたイメージから鮮明に成りつつイメージが浮かんでいた。美咲が唯一の信頼関係を保つ事が出来たの神父とセラピストとフリーランスの精神科医であり先入観を持たず美咲と接する事が出来る。保護者身元保証人の内科医の叔父と看護師の叔母には、まだ美咲の能力の事は伝える事が出来なかった。叔父夫婦は真理に対しても育ての親という事で真理をしっかりとした人間に育て上げる役割があり美咲の能力を知るのは負担が多すぎるという理由だった。神父と甥との交信が続く事で美咲の能力は真理の能力よりも先に予兆の段階を進み歩いている。神イエスや聖霊と天使は予兆の段階を踏む真理と美咲の能力の開化のバランスをはかり双子の運命を導いていたのだ。
施設の外へ出る事のない美咲がどうして絵を描き続けるのか1つの疑問があり警察の方ではフリーランスの精神科医ではなく大学病院の専門の精神科医とも相談していた。そして警察署では美咲の絵画の分析がはじまった。心理学を中心に、美咲の人格、性格、全ての心理分析をはじめ美咲の姿を見た事もない心理学に関わる大学で勤務する第3者に任せる。美咲とは関わった事のない他の臨床心理士、心理分析官、精神科医は美咲の描いた絵を見た時に驚きを隠せなかったようだ。まるで、その場にいて見て描いたように鮮明に描かれていた。知的障害を持っていた場合、絵を描く時は切り絵や点描などの絵画技術で鮮明に表す事が稀にあるが、その絵はまるで生きている絵と言えた。
「その場所にいなければ、それだけの絵は描く事は出来ないだろう」と分析する第3者は思っていた
しかし美咲の絵は離れた場所で何も見る事なく想像イメージだけでなく予兆のある能力で描いていたのだ。この時の美咲自身は当たり前の事で予兆の能力とは思う事も気づく事もなく怒り・憎悪・復讐の3つの感情を制御する為の能力だった。美咲の予兆の能力の開化は進行し小さな火花から小さな雷に変わるが、まだ本当の能力は未知なるものである。
臨床心理士と分析官は、科学的にその絵をみていた。2枚の絵は科学的にみても心理分析は不可能であった。美咲の事情聴取をとろうにも警察官では困難となった。いったん成長した美咲を大学病院へ移すという事になる。神父は以前に病院治療を試みたが拒否反応を示した過去があった事を警察官に話していた。しかし、突然、美咲は微笑を浮かべ顔をあげて神父の瞳を見たのだ。美咲は言葉はなく手を伸ばし膝をつく神父の肩に手をかけた。いよいよ美咲の予兆の能力が段階を経て少しずつ動きはじめた時だったのかもしれない。神父が見た美咲の瞳は一瞬だけであったが輝いたように感じた。
警察の方で美咲を受け入れてくれた大学病院の手配をし警察官と共に病院へ行く事となる。措置入院を進められ本来は頑なに拒否する美咲、しかしこの時の素直に美咲は自らの思いで入院していた。美咲の思いは神父とセラピスト、フリーランスの精神科医は気付いていたが先入観を持つ人物達は誰も気付く事はなかった。それは予兆の能力を試す為だった。病院への入院、美咲は素直で規則正しい生活を送るが美咲が何をしようとしているのか病院では勤務する職員は誰も知らず気付く事はなかった。入院を進められ素直に美咲は自らの思いで入院し、それは予兆の能力を試す為だった。
その大学病院は後に真理が勤める事になる病院であった。大学病院へ着くと医師と看護婦が美咲を待っていた。そして、ゆっくりと病室へ向かう美咲は自分の入る病室を知っていたのか医師と看護師の先頭を歩っていく。通常は隔離室だが隔離室ではなく美咲の為だけに用意された個室だったが鍵付きの部屋である。美咲は病院へ入ると自ら歩き始め医師と看護婦は、ただ黙って美咲についていった。
「先生、なぜ病室を知ってるのですか?」
「いや、わからない、とにかく今は、刺激を与えないようにする事だ」
「先生は、彼女の事を知っているんですか?」
「彼女の小さい頃に会った事がある、彼女の眼を出来るだけ見ないようにしたほうがいい」
美咲が3歳の時に、この精神科医は彼女を診ていたが診断をする事が出来なかった。
「まず、彼女の行動をしっかり診ておく事が大切だ、以前とは違う気がするが、念のためにね」
美咲に薬物療法と精神療法を試みるが過去の状況から美咲は心で受け入れる事はなかった。
美咲にはカメラを取り付けられた部屋が用意されていた。カメラを取り付け、まず美咲の行動を知る事からはじまった。
入院から3年間、精神症状は進行せず精神治療という治療は出来ず見守る事と常に美咲の様子の記録をとるだけであった。美咲の能力は年事に開化に近づいていく段階を歩いているのは精神症状ではなく見えないものである事は病院のスタッフ達は知る事はない。美咲は入院してから一切言葉はなく目立った行動をする事はなかったスケッチブックとクレヨンを置いていたが入院当時の美咲は絵を描く事がなかった。時には病院の屋上で気分転換を看護師と共にするくらいである。美咲が入院した大学病院は教会から30キロ離れた場所であり美咲にとっての聖域ではなかった。美咲の聖域は教会を中心に半径5キロ圏内であり聖域から離れる事で病院内である不思議な出来事が続く事があった。それは神父の甥からの伝令が美咲にもあった為、甥の伝令が美咲の能力を導いていた。神父の甥は、この時は世界中を回り、甥自身で能力を高める段階であった為、神父の脳を借りて美咲を導いていた。しかし美咲の能力は怒り、憎悪、復讐の3つで生きている為、病院の中で美咲の能力が、どんな反応をするかわからなかった。病院に入院している美咲の心にあるものとは小さな火花と大きな暴風雨のようなものだった。ニュースの天気予報を見ても当らない美咲が入院してからだった。時折、天候が晴れでも曇りや雨の日が続いたりしたが、それが美咲の心の囁きだとは病院のスタッフは知る事も気づく事もない。
美咲が絵を描くようになってから病院では暴風雨とカミナリで停電が起きていた。非常用発電機と非常灯で何とか外来診療や入院診療をやり過ごしてきた。聖域内では美咲の能力を遅らせ制御するようになっていたが聖域外になると美咲の予兆の能力が働いてしまう。美咲は天候を操りながら部屋の中で絵を描き過ごしていた。
神父とセラピストは面会に行くが常に早朝起床時に教会の中で神イエスと聖母マリアに美咲への思い願い祈りを捧げていた。フリーランスの精神科医は病院内で美咲の診療ではなく美咲を見守り部屋の中で少し離れた場所で椅子に座り病院の精神科医には理解できない事で感じるものを記録に残していた。


チューリップス・シスター第11話

2016-08-23 14:07:43 | 小説チューリップス-シスター



チューリップス・シスター第11話 事件の容疑者

真理と美咲の周囲で、また謎の殺人事件が起きるが、それは真理と美咲への神イエスからの試練なのかもしれない。自分達を理解出来ない魔性世界の魔物や呪い邪悪なの邪気という外敵との戦い、その戦いに勝利し真理と美咲は自分達の能力の開化の為には犠牲者が必要だったのか?
姉妹の能力を追いかけるように、神イエス、精霊、天使からの導きで、残酷な出来事が動き始まったのかもしれない。しかし事件は未解決、生きているのかどうかも分からない、現実の世界で記憶消された人達は現実の世界で生きて、姿を消した人達は次元の違う別の世界に導かれたのか。事件が続く事に神父の心の神は、神イエスと精霊や天使からの導きではないと神父に伝えていた。
「いったい何が、誰が導いたのだろうか」
神父は心で思いながら、教会の中で常に神イエスと聖母マリア像を目の前にして両手を合わせ膝をつき祈りを続けていく。教会での祈りを続けや誓いをした事で、神父の寿命は長くなる。真理と美咲の今後の能力の開化の為に必要と判断した、神イエス、精霊、天使からの神父の寿命の導きであった。神父が祈りを続け誓いを唱えると、薄らと動く影が脳裏を過ぎり、その影はある言葉を呟いていたが、光を透す波長(光透波)で、言葉や文字で表す事が出来ないものだった。
しかし、神父の心の中では残酷な何かが動き始めていた、そして、ふと浮かんでくるのは成人となり神イエスに認められた能力を持つ神父の甥の姿だった。
「もしかするとトランシルバニアにいる私の甥が導いているのかもしれない、甥の能力とは何だろうか」
神父には甥の能力について神父には何も伝心はなかった、神父の後を継ぐ者の神父以上の能力を知る必要もなかった。
神父には真理と美咲を魔性世界の魔物や呪い邪悪なの邪気という外敵から守るという役割、その後の真理と美咲の能力を開化させながら共に生きていくのが甥の役割である為だ。眼に見えない世界が見える甥の神父以上の能力を知る事は、神父も同じ能力はあったが甥の本当の能力を知る事で寿命が短くなる為でもあった。真理と美咲が住んでいたチューリップを育て出荷する農園跡地には古ぼけた3つの建物があった。一つは自宅、一つは機械置き場の大きな倉庫、一つは農作業に使う農機具を置いてある小さな倉庫だ。機械置き場の大きな倉庫には、中二階(ロフト)があった。真理と美咲の父の直継は、この小さな倉庫で首つり自殺し命を落としたのだが不審な死でもあった。自殺か殺人事件か判断したのは警察での判断だった、神父は強い憤りや叔父夫婦は自殺と判断された事で警察に若干の不信感を感じている。15歳の誕生日の1ヶ月前、真理と美咲が3才まで過ごした、あのチューリップ農園跡地で殺人事件が起きたのである。
銀行の支店長代理、山口四郎52才、場所は農園跡地のチューリップ畑の中であった。刃渡り10cmのナイフで、胸部に2ヶ所、腹部に2ヶ所、刺された痕跡があった。何故か死体のまわりには赤いチューリップが咲き誇っていた。当時、真理と美咲の父母が育てていたものだろう。警察や鑑識の見立ては、複数の刺し傷、正面から指されている事から、知人、友人、恨みを持つ人物の犯行であると推測された。山口四郎の周辺の聞き込みでは特に恨みをかう事もなく銀行に来るお客からも印象の良い支店長であったようだ。警察は過去にまでさかのぼって調査を始めるが、捜査が進まない事に苛立ちを抱いていた。。過去の捜査でわかった事は、支店長になる以前の山口四郎は過去5年間は融資係で「融資お断り役」であった。山口四郎は、お断り役ではあったが融資サービスがあった為20%を融資する事で、直継と融資をすすめていたようだ。しかし、融資お断り役で2年目頃から苦情が良くあったという事から、融資を断られた人物ではないかと推測をした。その頃、断られた人物を探すに当り過去の真実での捜査で容疑者は多く存在していたが捜査が進むにつれて、真理と美咲の父と母に辿り着く。
しかし、真理と美咲の父の直継は自殺で亡くなり母の高子は行方不明として扱われているが、直継の死亡原因に問題があり事件性があれば未解決事件となるかもしれない。当時の死亡原因は自殺だったが、今回の殺人事件との関わりがあれば、再度、警察は捜査する事になる。死体の発見現場も農園跡地のチューリップ畑の中という不自然な場所でもあり、死体の周囲だけに赤いチューリップが咲き乱れ、離れた他の場所にはバラバラに赤と白、黄色のチューリップが咲いている光景を見て、警察の捜査は混乱していく。
警察の捜査が進むにつれて過去の出来事で徐々に容疑者になる人物像が浮かび上がり、山口四郎に融資を断られた人物を探し出す事になる。ピックアップされた中に、多くの容疑者が浮かび上がり、真理と美咲の父親の名前もあった。捜査線上、唯一容疑者で浮かび上がったのは真理と美咲の両親であったが、この時には父の直継は自殺で亡くなり母の高子は行方不明で両親と会う事は出来ない。
「話が違う、融資枠はあると信じていたのに何故だ、理由はなんだ」と言い続けた直継は、山口四郎に何度も合っていた事から死亡していても容疑がかけられる。そして直継の周囲の人物から捜査は始まる。当時の真理と美咲の父、直継は20%の融資枠で進められていたが、突然、山口四郎に融資を何度も合うたびに断られ続けられるようになる。山口四郎は、銀行側で強引に決められた事を、直継に伝える事が出来なかったのだ。そして山口四郎と直継の間で色々な問題があった。銀行側は赤字の個人企業では融資枠サービスは取り消され銀行側の一方的な決定で融資を断られていた。他にも多くの容疑者はいたが、山口四郎が紹介し別の銀行からの融資を受けられる様になっていた。
しかし直継には紹介する事はなくチューリップだけでは経営困難と判断していた為、コンサルタントしてアドバイスをしていたが農園の敷地を売る事を進めたりした事で直継は苛立ちトラブルとなっていたのだ。農園の敷地の面積は、通常の農家の数十倍あり、敷地を売る事を進めていたようだったが、祖父から大切に何十年と持っていた敷地を売る事を直継は納得出来なかったのだ。しかし直継の存在は亡くなり死亡診断書が出され直継ぐと合う事は出来ない女性でも殺人は出来るという考えで直継の次に容疑者として行方不明の妻の高子の存在であった。
あらゆる角度からの捜査で、まず高子の失踪届の記録の確認、戸籍謄本等から高子の実家を割りだし、同じ誕生日の双子の姉妹がいる事が判明した。ここで1つの疑問がある、何故だろうか、高子の失踪届が出された当時は、家族構成や出生元等を調べる事をしなかったのだろうか、神イエスからの誘導か導き、いや違う制服を着た警察官が担当していたからだ。当時は、高子との付き合いのあった人物達を調査しただけだった。
「高子さんの行方に心当たりがあれば警察署に連絡を下さい」と警察官は伝えただけで、すぐに見つかるだろうと思っていたようだ。結局、情報提供はないまま捜査をしていたが担当の警察官は他の警察署へ異動となり捜査は中断され、高子の存在は薄れていく。
私服の刑事達は、高子の実家へ向かう、もしかしたら高子は実家にいる京子という人物から情報が得られると考え高子の実家へ向かい訪問した。誕生日が同じ双子という先入観からだった。写真を見ると似てはいるが別人の顔だと見て冷静さはあったが驚きを隠せない刑事達だった。
刑事と京子との会話
「高子さんについて、お話を聞きたいのですが宜しいでしょうか?」と警察手帳を見せて一人の刑事は声をかけた。
「はい、でも、高子に何かあったのでしょうか?」と京子は答える。
「ちょっと今は言えないのですが、お二人は双子でしたね」
「はい、その通りですが、二卵生の双子で私が長女ですが、それが何か?」
「そうでしたか、一つ確認できました、ありがとうございます」
「高子さんの居場所は、わかりますかね」
「さあ、どうでしょう、結婚式後から全く合っていないので」
この後は、刑事達は高子の出来事からこれまでの事を話し高子の行方など聞き出そうとしていたが京子は首をひねり何の事か分からなかった。結局、無駄足になってしまったと思う刑事達であったが、ただ双子の姉であるという事から直継と高子には一卵性の双子の姉妹がいた事に気付いた。そして双子の姉妹について調査をすると違和感という感覚を抱く。何故なら真理と美咲の姉妹の周囲で色々な出来事が起きている事に気付いたのである。5人の精神科医の失踪届けが出されたが破棄され存在がない、失踪届を出しだ人物達も世に存在した痕跡もない。これは、制服の警察官が当時に書かれた調書の内容から、刑事達は事件としてではないが不自然な出来事だと気付いたようだ。
「何だこの事情調書の内容は、信じられない、これを書いた警察官は、今何処にいるんだ」
事情調書を書いた警察官は、すでに警察官ではなくなり異動した勤務地だった警察署でも何処にいるのか全く分からずじまいだった。調書を書いた警察官達は自ら辞表を出し姿を消していた為、刑事達は調書を何度も読みながら当時の出来事について慎重に考えた。そして12年前の復讐という先入観によって姉妹による殺人事件として容疑の矛先は真理と美咲にも向けられた。当時、真理と美咲の父は自殺、母は失踪、内科医の叔父によって失踪届けが出されたのは、姉妹は当時3才まじかの頃である。現在、成長した真理と美咲は成長し15歳、学校へ通う事なく過ごしていた事で殺人容疑をかけられたのだ。
叔父夫婦と神父やセラピストは刑事達の先入観から真理と美咲を守らなければならないと強い思いを抱く。刑事達は叔父夫婦に当時の話を聞き15歳になる真理と美咲にも事情聴取をおこなう事になる。真理は叔父夫婦宅に引きとられ生活をして事件当夜のアリバイはあった。内科医の叔父は美咲については「引きこもり自閉症」と診断されていると騙すつもりはなかったが嘘をつき美咲を守ろうとした。真理は素直に事情聴取に応じられるが、美咲は真理とは違っていたからだ。
また美咲の心の叫びが、私服の刑事達を巻き込むのではないかという思いもあり、これまで以上の犠牲者は出させてはならないと思いもあった。
「私服警官達を守るためにも、美咲に合わせてはいけない」
内科医の叔父と神父とセラピストは同じ思いを抱きながら持っていた。
美咲は施設に引きとられ、引きこもり自閉症という事で事情聴取は出来ず捜査は混乱していくのか。しかし美咲は事件前に山口四郎らしき男性の殺人事件の風景を鮮明に描いていたのである。神父は刑事達を美咲に合わせようとはなかったが美咲の描いたスケッチブックの絵を刑事達に見せた。その絵を見た刑事達は驚いていた、そして美咲は刑事達の姿を見ると自分自身からスケッチブックから切り離し刑事達へ素直に表情は変えずに渡したのだ。なぜ美咲は、自ら刑事達に渡したのだろうか、神父の瞳に映る現在の美咲の姿は美咲自身が成長した姿だったのか。今後の美咲に何かが降りかかる予兆を神父は感じていたが、美咲を束縛する事なく自由にさせてみようと神父は思った。
横たわる人物にのしかかりナイフで刺そうとしている、その周りには一面に菜の花とチューリップが咲いている絵画である。神父は美咲のアリバイを刑事達に証言していた。絵を見た刑事達は疑わずにはいられなかったのだろう。しかし刑事達がいくら声をかけても、いつものように美咲から返答はない。黙々と下を向き顔を上げる事すらない、ただ絵を描くだけだった。刑事達は真理と美咲のアリバイは成立していた為、美咲に焦点を当て精神治療の事を神父に話す。神父は以前、精神科医に見てもらった事を刑事達に話をした。
刑事達は、美咲の様子を見ながら何度か声をかけるが、美咲は何事もなかったように平然としていた。入院も治療も出来ないままの美咲に、刑事達が声をかけようが、美咲の行動は同じ、聞こうにも聞ける状態ではなかった。3才から14才まで同じ行動しかしない美咲に刑事達は疑問を持っていた。子供の成長という面で何らかの変化があってもおかしくないと考えていたのだろう。どうする事も出来ない美咲に対して事情聴取は困難であった。過去に診てもらった精神科医にも刑事達は真理と美咲の事情聴取を取っていたが神父の言う事を信じるより他なかった。真理と美咲への容疑はなくなったはずだった。
事件後、何故か美咲は風評画と風景画や動物の絵画だけではなく花の絵を描くようになっていた。その変化に気づいた神父は叔父夫婦にその絵を見せ相談をした。叔父夫婦では、どうして良いか分からず以前診断してくれたフリーランスの精神科医に相談を持ちかける。美咲は人には見えないものの現実の絵を描いていた。精神科医は美咲の変化を知ってもらう為には、その絵を刑事達に見せた方が良いとの事であった。しかし美咲を知る叔父夫婦と神父は、その絵を隠そうとしていたが、その絵の存在を知り制服の警察官が再度施設へ訪れたのだった。フリーランスの精神科医は警察署へ連絡をしていた、何故かと言えば美咲の真実を知らせる為、美咲への気遣いはいらない事、決して関わってはならない事を伝える為だった。過去のように犠牲者を増やさない為にも、神父は心の中の神に祈り、フリーランスの精神科医は願っていた。


チューリップス・シスター第10話

2016-08-18 07:00:38 | 小説チューリップス-シスター



チューリップス・シスター第10話 謎の未解決事件

直継はキリスト教徒で高子も同じ真理と美咲も同じ親類親戚も家族でキリスト教徒だった。12歳の真理と美咲は教会の運営する小学から高等学校まである学校へ通っていたが中学生になってから他の生徒とは違いがあった為、美咲は1か月後、真理は3か月後から学校へ通学する事はなかった。神イエスは、理と美咲に学校で学ぶ事は許さず、後の真理と美咲には役割があり必要なものは、て精霊と天使から学ぶよう導いていた。真理は叔父夫婦の元で美咲は施設の部屋で以前の様に過ごす事になる。5人の精神科医達は現実の世界から完全に抹消された。
メンタルクリニック5軒は閉鎖、廃墟となり連続放火によって建物は全滅した。容疑者から犯罪者となった連続放火犯として警察では日本中に指名手配したが、何も情報がなく生きているか死んでいるのかも全く分からず、殺人容疑もあったが未解決事件となる。海外逃亡も考えたが、早い段階で空港への指名手配をした為、海外逃亡はなしと判断。容疑者の住んでいたアパートは教会中心とした半径5km圏内にあった。容疑者から犯罪者になったのは、アパートを捜索中、覚せい剤とガソリンタンクがありガソリンの成分を調べると同じ成分と判明、そのガソリンスタンドを調べると防犯カメラで確認、写真もアパートにあった。壁には多くの殺人予告の様な紙が貼られたが、その中に鮮明に書かれた5つの診療所だけを狙う殺人ルートが書かれた紙があり犯人と判断した。5人の精神科医達の遺体はなかった為、警察署へ失踪届が出されるが家族ではなく5人の親戚達の人からの届け出であった。警察官は確認する為に家族の自宅へ訪問すると、その家族達は自宅にいた。
「実は旦那さんの失踪届が出されているのですが」と警察官は冷静に家族に聞いた。
「えっ、そうなんですか、失踪届を出したのは誰ですか?」と家族も何事もなかった様子である。
「それはちょっと言えないのですが、旦那さんは、どちらでしょ」と警察官は聞いた。
「実は離婚届を出していまして、これから引越しをするのです」と家族は答える。
「そうでしたか、確認しましたので、幸せになってください」
警察官は何故失踪届が出されたのか考えながら、その家族に言葉を選びながら言った。
「ありがとうございます」と家族は言いながら笑っていた。
5軒とも警察官は事情聴取し離婚届が出されていた事を確認し記録を照らし合わせると、5人の精神科医達の家族は、同じような事を言っていた事であったが警察官達は何故か不思議な事だとは思わなかった様だ。
「失踪届は破棄されました」と警察署では5人の親戚の人達伝えていた。
「そんな事は、ありえない、遺体は何処にあるんだ」何度も足を運ぶ5人の親戚の人達だった。
何度も繰り返される出来事で警察署相談員から5人の親戚の人達の家族へ病院へという事をすすめていた。病院では相談員からの話を聞き取り結局、高齢の方々だったので入院をする事になるが、その後病院から姿を消した。亡くなったのか失踪したのか全てが不明だが誰も気にする事はなかった。奇妙で不思議な出来事ではあるが病院側と親戚の家族は何事もなかったように現実の世界で過ごしていた。
5人の親戚の人達も現実の世界から完全に抹消されたが5人の親戚の家族達は失踪届を出す事はなく何事もなかったように過ごしていた。役所でも住んでいた形跡もなく、まるで5人の親戚の人達がこの世に産まれ人生を歩む事すら存在して居なかったかのように持ち物も全て消えていた。神イエスは精霊と天使に伝令し事件に関わる人物の記憶を全て消すよう導いていた。誰も知る事も気付く事もないが、神父は何かを感じ取り気づいていた。真理と美咲の周囲では信じられない出来事が起きている事は神イエスが動き始め真理と美咲を悪へ導く邪悪な邪気の存在を現実から全てを消し去ろうとしていた。それは双子の姉妹の能力を開化させる為に犠牲が必要だったのかもしれない。しかし、現実の世界から眼に見えない次元の違う世界へ導いていたのかもしれない。それは、闇の炎の死の世界、死神の世界、輝き華やかな世界、地獄の世界、天国の世界、次元の違う現実や幻想の世界なのかは誰にもわからない。
真実を知る者は神イエス、精霊、天使、古代からの能力者(エクソシストやシャーマン等)だけだった。真理の能力と美咲の能力を神父の心に新たに宿る神は双子の導き方を念じていた。神父の心の神とは1体ではなく真理と美咲の成長と共に試練を乗り越え進化をしながら変わっていく。全ての人類が瞳で見えるものではない人間の記憶能力と同じようなものだ。人間は当たり前に過去を持ち脳の中で記憶されていくが邪悪な邪気によって全ての消されたり曖昧にされたり新しい画像や映像が脳内で置き換えられる事もある。そして脳内の記憶が新しく創られ邪悪な邪気は後悔や罪悪感の悪へと導き、神イエスから精霊と天使によって善へと良き事へと導く事が出来る。直継と高子の間で出産前から真理と美咲の能力は神イエスが選別し認めたからこそ与えられたものであった。この事は神父は気付き知っていたが直継と高子へ告げる事はなかった。神イエスからのおぼし召しは、人間として聖なる者への伝令で、直継と高子が聖なる者になれるかどうかであった。直継と高子は聖なる者になったのかは真理と美咲に能力があるという事は真実であり聖なる者へと導かれ成れたのかもしれない。
神父の心と瞳の奥にある神イエスと風景や試練を直継と高子は乗り越えて生きていた記憶が鮮明に残り、他の教徒とは違って見えていた事で聖なる者へ導かれていたと神父は考えていた。6年前の双子の母の高子の失踪事件も未解決のまま、父の直継(なおつぐ)の遺書はなく事件性がある事から疑いは銀行員だったが捜査後、警察では最終的に倉庫での首つり自殺と判断されていた。
「直継さんは不審な死を遂げた、本当に自殺だったのだろうか?高子さんも同じなのか、神のおぼしめしは、なかったのだろうか?」
事件当時の神父の頭によぎったもの心の中での思いだった。
「それに何故、育児放棄と警察官は判断したのか警察官も何かに誘導されていたのか?ただの育児放棄ではないアルバムだけで判断できる事でもない」
ふと過去を思い出した神父は過去の言葉の会話を思い出していた。真理と美咲の能力の開化する為の事件だったのか、そして犠牲者となったのだろうか。しばらくして2人の精神科医と2人の臨床心理士の診断ではなく感想的な判断を聞いてセラピストと内科医の叔父と看護師の叔母や神父は驚いた。
「診断は出来ないのですか?」
「もう少し時間がかかりそうです」
何かを別な刺激を与えなければ、そのままの真理と美咲の生活は特に変わらないという判断であった。精神科医達の言うとおり外的からの刺激を与えなければ真理と美咲の生活は変わりなく過ぎていく。しかし美咲は部屋に引きこもったまま絵を描くだけであったが真理は違っていた。年月が過ぎる事に美咲と真理は心と体は成長していき神イエスからの予兆の能力が徐々に近づいて来る。毎年の6月29日の誕生日を迎えながら年は過ぎていく。そして、8年の月日が過ぎた真理と美咲は14歳もあと1ヶ月を残して、ある重大な出来事が起きる。
その出来事には真理や美咲の心の中で抱き描かれ目覚めてしまった2人だけに宿る能力が関係していた。まだ不完全な能力だが、これは完全に開化する第1段階での予兆の可能性もある。もし、あの時期に予兆だけの能力を持つ事がなければ、謎めいた出来事は起きる事はなかったであろう。能力を持ってしまった事で未知たるものが真理と美咲に苦難を与えはじめたのだ。真理と美咲は2人だけの共有するもの、まだ不完全な能力を感じてしまった様だった。
この頃は能力の存在を真理と美咲は感じる事はあった、しかし気付く事はなかった次元の扉を開け未知たる様々な世界が同じように見え隠れしはじめていた。エクソシスト、シャーマン、魔術師、錬金術師、陰陽師、伝説、神話、文明、未来には太陽の変化による電磁パルスや放射線による人類の進化するミュータント、真理と美咲の脳裏に浮かぶものがあった。小さな蛍が飛ぶように淡い緑色と赤色に輝くものの存在を真理と美咲は何となく感じてしまう。しかし、まだ予兆の段階の1歩踏み始めたばかりである為まだ14歳の真理と美咲は感じているものの、それが何かとは解らなかった。
「学校に通わずに良かった、もし学校で教育を受けると真理と美咲の能力は失っていたかもしれない」
神イエスと聖母マリアに教会の中で一人で神父は祈りを捧げる、それから自分自身の心の神にも祈りと誓いという覚悟を更に強く持った。


チューリップス・シスター第9話

2016-08-13 07:00:14 | 小説チューリップス-シスター



チューリップス・シスター第9話 双子の共有感情

2人の精神科医達は治療が必要である事は理解していたが単なる精神治療や薬物治療ではない。ただ美咲の思いを受け止める事、しっかりと見守りながら時には美咲に声をかける事だった。美咲との信頼関係を作り出す事が最優先の対症療法であった。
しかしメンタルクリニックの5人の精神科医は病院内での話し合いでは入院させて、もう一度、同じ治療をして叫ぶかどうか、それが本当かどうか確認してみたいという思いが強くあった。経験豊富な精神科医は話し合いを聞きながら精神科医と病院側だけで話す事ではないと思い教会で皆さんで話し合いをした方が良いかもしれませんと提案をしたが却下された。特異的稀な美咲の能力を持っていると見抜いていたかもしれない。
この時は仮説の段階であった為、フリーランスの精神科医は強く言う事は出来なかった。神父との話し合いでの会話から、仮説ではあるが可能性を秘めていると考えたのだろう。神父も病院内での話し合いに同席していたが、次元の違う世界という事は出来なかった。結局、病院勤務ではない5人の精神科医の言うとおりに確認の為と神父は思い従う事にした。この時の神父には、美咲の事はイエスとの誓いで良く理解していた、何が起きるのか気づいていたのかもしれない。
美咲との関わり方で、5人の精神科医の人生と運命的な出来事が起こる事が、神父の脳裏にはあったが確信出来るものではなかった。
病院内での全ての会話は、自然の中にいる精霊と空を舞う天使が美咲の耳に流していた。2人の精神科医は、この先メンタルクリニックを運営する5人の精神科医にイエスからの罰が与えられるとは知るよしもなかった。2人の医師とは、病院に勤務する精神科医と世界を回り診療に経験豊富なフリーランスの精神科医である。美咲との信頼関係を作り出す事が最優先の対症療法とする意見交換の中で判断をしていた。専門の精神科病院内で、2人の判断で強く話す事が出来れば、彼らの判断が優先される可能性もあった。現実の世界では5対2では何を言っても無駄、多数決なのが現実なのだ。
「話し合いの場所を変えませんか、教会の中で、もう一度だけ話し合いを持ち考えてはもらえませんか」
多数決で決められる事で、神父は少し考えた末に精神科医達に言った。
教会を中心として半径5kmの範囲内には、専門の精神科病院1軒、総合病院が1軒、個人で運営するメンタルクリニックが5軒、総合医の内科外科を標榜する診療所が2軒あった。障害者施設は2軒、障害者と言ってもそれは見た目で判断された者達である。障害者達の中には真理や美咲のように将来に特異的な能力を持つ者達もいたが能力は開化するのは先の話である。精神科医達は神父に精神科専門病院で入院の準備を進めていく事を話している時にある出来事が起ころうとしていた。とりあえず精神科医達は神父の提案により再度教会での話し合いをする事になる。精神科医が、何故か神父の提案を受け止めたのか?それは神父の心の中にいる精霊と天使が動かした。病院では現実の世界しかないが教会の中では現実の世界だけではなく心に宿る神イエスと聖母マリアからの導きがある。神父は教会の中で神による導きに精神科医達が導かれる事を祈っていた。教会の中で再び話し合いを始めようとした頃、美咲に変化があった。
「話し合いをする必要はない、聖域に訪れれば、すぐに導かれる」
神イエスと聖母マリアから伝令があり神父は瞳を閉じて十字架を握り心の中で伝令に祈りを捧げた。精霊と天使の導きそれは、美咲の部屋から教会の中まで聞こえてきた、美咲の叫ぶ声であった。神父達は、急いで美咲の部屋へ向かった。
「どういうことですか」
「申し訳ない、何もわからないんだ」
精神科医達には、いったいどういう事なのか理解する事は出来ず、ただ漠然と立っているだけだった。今まで、ずっと言葉すらなかった美咲が、正座をして扉を向きながら叫んでいるのだ。美咲の部屋から教会までは50m程の距離があったが、呼子笛を吹くように美咲の叫び声は聞こえていた。美咲は治療をすすめる医師らの言葉を心の声で聞いていた。
「私の邪魔をしないで、悪の邪気は消えてしまえ!」
話の内容を心で受け止めると5人の精神科医達に怒りの感情が生まれ1度目では怒りの声を叫んだが2度目は教会の中にいる精神科医の脳と全身、そして精神科医の心の奥深く中へ侵入し怒りの声を叫んでいた。この怒りの声は教会の中にいる5人の精神科医達にしか聞こえない美咲の感情と美咲の怒りの声であった。この怒りは自分自身で外敵から身を守ろうとする美咲の感情である。その声によって精神科医達は脳への強い圧迫により異変があり眼の瞳孔が開き顔の皮膚が引きつり膝をつき頭や顔をおさえる。何故か神父とセラピストと臨床心理士には、りを覚えた美咲の姿が脳裏に映し出されただけで脳や体には異変はなかった。
「この導きは神イエスではなく聖母マリアでもなく、もしかしたら真理が守ってくれたのではないか」
神父は一瞬だけだったが真理の姿を思い浮かべた事で感じるものだった。
「大丈夫ですか?」と精神科医達に何度も声をかけるセラピストだった。セラピストが体をさすると、精神科医達は教会の椅子に座り何度か息切れがあり深呼吸をしていた。
「何が起きたのか、わかりますか?」
セラピストは精神科医達に声をかけたが何が起きたか記憶にはなかったようだ。セラピストは、美咲と長期間接していた事で、美咲と同類の精霊と天使が心の中にいた。美咲はセラピストには心を開いていた、そして美咲はセラピストの心の中に同類の精霊と天使を宿していたのだ。セラピストと美咲は精霊によって信頼関係を持つ事が出来た。神父は美咲にとって自分の部屋が自分の居場所であり聖地なのかもしれないと思った。そして教会内での出来事は真理と美咲の共有する能力で完成されたものではないかと考える神父だった。
「病院では無理かもしれません美咲さんの部屋でお願いできませんか美咲さんの居場所はこの部屋なんです」
神父は精神科医達に声をかけた。
「美咲の部屋で見守り信頼関係をつくり、それから美咲を理解し自由の中で対症療法だけで良いのか考えればいい」
神イエスからの神父へ伝令があった神イエスからの伝令は神父を新たな道へと導いていく。美咲の叫びは、美咲自信が叫んでいたのではなかった。開化する予兆の段階の能力が働き美咲を導く方向を変えようとする精霊と天使の言霊によって5人の精神科医達に向けられたものであった。
美咲の叫びは、美咲の心の奥底にある開化に近づく為の能力である。5人の精神科医達は、まだ表に出してはならない美咲の能力の一部を引き出してしまったのだ。今の美咲の状態から特に自殺まで進行する事は考えにくいと判断し美咲への精神治療は一時的に諦める事にした。神父と5人の精神科医は、姉である真理にも会い話をしようとしたが話すまでもなく、神父からの伝えられていた事で更に驚くばかりであり信じられない様子であった。言葉にする事が出来なくなっていた精神科医達である。
双子しかも一卵双生児で全く正反対の姿を見るのは極稀な事であったが2人の精神科医や2人の臨床心理士は真理と美咲の見えない心の中では深い繋がりがある事を感じていた。2人の精神科医や2人の臨床心理士は神父から真理と美咲の全ての環境や状態を聞いていた。真理の瞳は輝き会話上手で冷静な判断ができる真理は微笑みながら挨拶を交わす。ただ精神科医達と臨床心理士は真理の瞳に吸いこまれるような自分の存在が消えそうになる何かを感じていた。精神科医達と臨床心理士が美咲の瞳を見た時と同じ感覚であった。約30分程、精神科医達は真理と内科を標榜する診療所の別室で話をして臨床心理士は静かに真理の話の記録を取る。
真理の笑う声や会話をする声は扉や壁を通り抜け待合室まで聞こえていた。叔父夫婦は、真理の声が聞こえ、少し心配げに患者の診療をしていた。
「先生、楽しそうだね真理ちゃんの声はいいね可愛い声で気分が楽になるよ」
「そうだよね、待ち時間が長く感じないよ」
待合室で診察を待つ患者さんからも言われるくらい患者達にも聞こえていたようで苦笑いをする内科医の叔父と看護師の叔母であった。5人の精神科医達の診断というよりは感想に近い判断をした真理も美咲も何故か診断と判断させようとはしなかった。2人の精神科医は、双子の姉妹に何かを感じていたが、それを5人の精神科医達に伝える事はない、信じられないと言われれば話は終わってしまうからだ。姉妹に会って奇妙で不思議な感覚になり感じた結果を話すべきか考えたが、5人の精神科医達は叔父夫婦と神父に診断は困難と伝える。
この時の神父は生きる環境の違いによって表面的表現に違いはあるが双子の姉妹が同様に持っているものは、もしかすると「憎悪」もしくは「殺意」ではないかという思いであった。生活環境や表現の仕方も違う姉妹の共通点は二人の瞳の奥にあった。セラピストと一緒にいる美咲の瞳は素直で正直に見せてくれていたが真理は笑顔を作るが瞳を隠すかの微笑みのようだった。そして真理と美咲に変化が見られた真理と美咲の表す表情が逆になっていたのだ。神父は「憎悪」「殺意」とはどういうものか、行方しれずの母親の現在と父親の自殺について精神科医達に聞くと7人の精神科医達と2人の臨床心理士は気にしていた。
生活環境だけではなく過去にある感覚と感情は薄れていくが生きてく環境や出会いによって過去を振り返ってしまうトラウマやフラッシュバックという現実がある。
特に真理の表現する笑顔の奥には美咲の部屋で感じたものがあった。真理と美咲は瞳に移されるものは違うものの「怒り」をあらわにするものは共有され同様の行動である。5人の精神科医達によって真理は教育の中で能力を目覚めさせ美咲は教会での話を聞き「叫び」と共に眠っていた双子の能力だったが、双子の将来に予兆の段階で開化される能力を目覚めさせるきっかけを作ってしまった。
「美咲と真理に備わっている能力の共通点は、明暗・陰と陽・太陽と月ではないか」
神父は思い考えながら甥からの手紙の内容を思い出していた。それぞれに共に持って抱くものとしては、この時期の真理には「憂い・歓喜・慈悲」美咲には「怒り・憎悪・復讐」という全く正反対の感情があった。感情とは生まれ育ち方や人との出会い、そして日常生活の環境、社会環境によって変わるもの。真理と美咲の場合も同じ、出逢いや環境だけではなく父母への思いが双子の運命を変えているのかもしれない。しかし、その能力は年を取る事に真理と美咲の抱く感情は同化し「憂い・歓喜・慈悲・怒り・憎悪・復讐」6つの感情をバランスをとりコントロールするのではないか。
神父の心情として心の神イエス、聖母マリア、精霊、天使達によって導かれる事を祈り続ける事になる。
「真理と美咲は、この能力によって、新たな未知たる人生を生きる事になるのだろうか」
神父が常に思う事であり真理と美咲と同じように神父自身も変わらなければならなかった。
真理と美咲が抱く「憂い・歓喜・慈悲・怒り・憎悪・復讐」6つの感情に寄り添う者になる事が神父の役割でもある。