
さて最近UXの試乗記を書きましたが、本日は私の愛車、NX300“F SPORT”を支える「走りのテクノロジー」について書いてみたいと思います。
NX300ですが、STIと比べるとクロスオーバーということもあり、そこまで走りにガンガンに振った車では無いのですが、それでも運転の楽しさ、ドライブの楽しさを十分感じられる車です。
言うなれば「気合いを入れずに肩の力を抜いて運転を楽しめる車」という感じでしょうか。
そんなNXの特長はかなりハイテク技術が使われているということ。
以前、“I package”を試乗したことがありますが、これらの装備の有無によりドライバビリティ、さらに言えば運転の楽しさが変わってくるんだなと驚いたことがあります。
今回はエンジン等よりそういった装備に焦点を当ててみたいと思います。
1つ目がNAVI・AI-AVS。
via:https://kanagawatoyota.com/lineup/crownmajesta/performance
こちらは他の車の説明図ですが、概ねこのような制御が行われています。
ナビ協調機能付き減衰力制御サスペンション。
ナビ協調AT制御と電子制御減衰力可変サスペンション(AVS)を組み合わせたもので、
ナビゲーションの道路コーナ情報に基づき、旋回直前にショック・アブソーバの減衰力を高めて
コーナリング性能を向上させるコーナー・プレビュー制御機能を備えている。
センサが感知した路面の段差などの情報を地図に記録し、次から同じルートを走る際には、
そのデータを参照することもできる段差学習制御機能も有している。
出典:『最新版 自動車用語辞典』(株式会社精文館)
そのままネットの情報を引用してきましたが、早い話「ナビと連動してショックアブソーバーの減衰力を調節している」ということです。
ショックアブソーバーの減衰力は高ければコーナリングなどでロールが少なくなりますが、乗り心地が硬くなります。
逆に低くすれば乗り心地が良くなりますが、今度はコーナリングなどでロールが大きくなり、また揺れが収まりにくくなってしまいます。
まさに「こちらを立てるとあちらが立たず」。
それを電子制御により走行状況に応じて減衰力を変化させ、
自動的に最適化するシステムがAVSになります。
AVS:Adaptive Variable Suspension System(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)
そしてそれを進化させ、カーナビから予めコーナーの情報を得て、予め最適な減衰力にセットしておくのが、NAVI・AI-AVSという技術です。
因みにNXも当初から装備されていましたが、マイナーチェンジでここがパワーアップされ、よりきめ細かい減衰力の制御がされるようになっています。
個人的に納車前、「そんなに違いがあるんだろうか?」と半信半疑でしたが、結論から言えばかなり違いがあります。
詳しくはまとめて後述したいと思います。
2つ目は走行シーンに合わせて、最大5つの走行モードが選択可能なドライブモードセレクト。
(カタログより抜粋)
キビキビ走りたいときは「Sport S」、気合いを入れたい時(?)は「Sport S+」、普通に走りたい時は「Normal」、穏やかに走りたいときは「Eco」、更には自分で走りをカスタマイズしたいときには「Custom」。
ちなみにドライブモードはNX全てに標準装備ですが、「SPORT S+」はNAVI・AI-AVS装着車のみです。
どのような制御をしているか、ISのHPに詳しく記載がありましたので引用します。
via:https://lexus.jp/
少しモードの名称表記が異なりますが、中身はよく似たものだと思います。
個人的に一番よく使うのが、「Normal」と「Sport S」。
普通に街中を走る時は「Normal」で、高速道路を走るときは「Sport S」という使い分けです。
「Sport S+」を使ったことが無いのは、正直「Sport S」で十分過ぎるというのが大きな理由です。
「Normal」ではハンドリングもまったり、加速も必要十分でダンパーも少し柔らかめという感じですが、「Sport S」にするとこれらが一変。
全般的に硬く遊びが少なくなり、かなりシャキシャキとした運転特性に変化します。
これでも結構過激(?)に変化するので、「Sport S+」だとどうなるのか・・・
またそのうち試してみようと思っています。
そして最後はパフォーマンスダンパー。
(カタログより抜粋)
パフォーマンスダンパーについてはこちらに詳しく載っています。
車体粘性(減衰要素)の追加による上質な車体挙動が下記のような優れた効果をもたらします。
操縦安定性の向上
・ハンドリング性能(正確かつ安定オーバーシュートのない挙動)
・走行安定性(漂い感の無い直進性)
快適性の向上
・乗り心地(ふわつきの解消、ハーシュネスの改善)
・上質感、真の剛性感(振動、騒音の低減)
その他の効果
・ドア閉め音の上質化
・オーディオの音質向上
・駆動系ロス感の低減
「車体粘性」は、高性能で上質な自動車づくりに不可欠な基本要素と言えます。
(ヤマハのHPより引用)
要するにボディ全体の変形を少なくし、様々な効果を上げるというもの。
こちらはNXでは“F SPORT”のみに装備されており、他グレードではオプションでも装着できません。
(レクサスの他の車種ではディーラーオプションで装着できる車種もあります。)
個人的に主にこの3つの装備が走行性能アップ、そして運転を楽しさに大きく寄与していると思っています。
ではありなしでどのような差が出るのか?
以前これらが装備されていないNXに試乗する機会がありましたので、もう一度振り返ってみたいと思います。
このとき試乗したグレードは、NX300h“I package”。
L texシート、三眼フルLEDヘッドランプなど人気の装備を装備したグレードです。
こちらはハイブリッドでしたが、今回ターボエンジンとハイブリッドの違いは割愛して、主に乗り味の違いについて書いてみたいと思います。
前回のブログとも重複する点がありますが、それも含めてお読み頂けたらと思います。
まず結論から言うとまるで別車種のような違いがありました。
全体的に“F SPORT”はシャッキリとした乗り味、“I package”はゆったりとした乗り味です。
良くも悪くもクロスオーバーっぽいのは“I package”の方。
まず大きな違いから言うとハンドリング。
“F SPORT”はかなり俊敏でハンドルに対する車体の反応がとても良い。
背の高い車にあるハンドルを切った後にボディがついてくるという事が無く、ハンドルを切ったら切っただけ思いのままに車体が反応します。
背の高いクロスオーバーに乗っているということを忘れてしまいます。
反面、クロスオーバーとしてはちょっと敏感すぎると感じる人もいるかもしれません。
その点“I package”はゆったりとしたハンドリング、で穏やかです。
ただハンドルを切ると少しだけ遅れて車体が動くような感触があり、スポーティーな感じは流石に“F SPORT”の上でした。
背は高いけどハンドリングには妥協したく無いのではあれば“F SPORT”、逆に背の高いクロスオーバーっぽくゆったりと走りたいのであれば“I package”かなと思います。
またドライブモードセレクトの「Normal」「Sport S」※“I package”は「Sport 」の変化の違いも“F SPORT”の方が違いが大きかったです。
「Sport S」に入れると“I package”もスポーティーな感じになりますが、車体ががっしりするというより、車体の反応が敏感になるという感じ。
乗り心地や車体の揺れはあまり変化がありません。
“F SPORT”は明確な差が出て、車体そのものががっしりしたような感じになり、かなり乗り心地が硬くなります。
それに加えハンドリングが鋭く、アクセルレスポンスが良くなります。
これはもしかするとドライブモードセレクターの制御にNAVI・AI-AVSも連動しているからかもしれません。
そしてハンドリングと同じく乗り心地も大きく違いました。
“I package”はゆったりとした乗り味で、接地感もそこまでなくとても乗り心地が良い。
ただその反面、路面の凹凸などの収まりが悪く揺り戻しを結構感じました。
逆に“F SPORT”は硬めの乗り心地で、“I package”に比べるとちょっとゴツゴツしていますが、路面の凹凸をうまくいなして、揺り戻しなどはありません。
最後にもう一つ感じた大きな違いが、高速道路での挙動。
“F SPORT”は速度が上がるにつれフラットになっていき、ビシッとした乗り心地になります。
一般道と同じく路面の凹凸などで車体が揺すられる事も無く、タイヤがしっかり路面を掴んでいる感じがあります。
反面“I package”は一般道と同じく継ぎ目や補修面等凹凸での車体の揺れとその揺れ戻しが気になりました。
ただフワフワユラユラしていることは一切無く、あくまで「ゆったりとした」乗り心地です。
2時間ほど細い一般道、バイパス、そして高速道路と試乗しただけですが、それでも明確に違いを感じました。
ただ“I package”が悪いかという事では全くなく、+αの乗り味にしたのが“F SPORT”という事であってクロスオーバーらしくゆったりとしたハンドリングや乗り心地を求めるのであれば、
“I package”の方が合っているかもしれません。
Nimble(素早い、爽快な) Crossoverの名の通りスポーティな走りを求めるのなら“F SPORT”、逆に本来のSUVらしくゆったりと上質に走りたいのなら“I package。
そして引き締まった乗り心地、ダイレクトなハンドリングを楽しみたいのなら“F SPORT”。
町中から高速道路まで過不足無く上質な走りを楽しみたいのなら“I package”。
そういう棲み分けが出来ていると思います。
私はWRX STIに乗っていることもあり、基本的に硬めの乗り心地が好みで、また以前乗っていたIS350のようなスポーツセダンのような走りを求めていました。
しかしながら室内はある程度の広さが欲しいという我儘な要求があったのですが、NX300“F SPORT”はSUVの形をしたスポーツセダンと言っても過言でも無い動力性能とハンドリング、そして乗り味があると言えます。
購入前の試乗の際、はクロスオーバーなので少々動きが緩慢なところがあるだろうと思っていたのですが、そういう所が一切見つからず、驚いたことを今でも覚えています。
ということで長くなりましたが、NX300“F SPORT”を支える走りのテクノロジーということで、
ちょっと掘り下げて書いてみました。
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