佇む猫 (2) Dr.ロミと助手のアオの物語

気位の高いロシアンブルー(Dr.ロミ)と、野良出身で粗野な茶白(助手のアオ)の日常。主に擬人化日記。

よく似た男(3)コルティジャーネ

2019年07月29日 | 手記・のり丸
 『コルティジャーネ』の社長室に入ると空気がピリっと緊張した。
黒服達はふてぶてしい表情で無言で突っ立っていた。
黒服達が野犬なら『江戸一本舗』の女のコ達は小型愛玩犬だ。
後からついて入った伊藤と私は雑種犬というところだろう。
 
「みんな揃ったな」
中央に浅黒い肌をした細身の男が立っていた。
端正な顔が引き締まっており、目つきが異常に鋭い。
この男の場合は犬に例えることはできない。
そもそも「種」が違うと感じた。
おそらく、この男は犬ではなくコヨーテだろう。
それもアレキサンダー・マックイーンの服を着たコヨーテである。
 
「昨日、王野がバックレた。競馬が終わった直後に消えたらしい…」
 
王野はギャンブル狂で過去にも巨大な借金を背負ったことがあった。
その時は、競馬で大勝ちして借金を返せた。
今回も「あの時の奇跡」を願って金をかき集めて賭けたが、その結果が「逃亡」という形になったのだ。
 
「俺が言いたいことは三つだけ。まず『江戸一本舗』は閉める、そして俺にはおまえらの面倒を見る義務はない、他のコはいらないが小雪だけは『コルティジャーネ』で引き受けてもいい、ということだ」
 
「ところで、念のため聞いておくのだが…王野に金を貸した奴はいるか?」
4人の女のコが手を挙げた。
「千夏、いくらだ?」
「60万です」
「ミクルは?」
「100万です」
「愛理は?」
「80万です」
「…で、小雪は?」
「300万です」
 
「何て言われた?投資で増やすとか…そういう話か?」
女のコ達が「そういう事です」と答えるとコヨーテは深いため息をついた。
「小雪、おまえ何歳になった?」
「……28です」
と小雪はコヨーテに答えながら、すまなそうな顔でチラっと私を見た。
こんな時に「すまなそうな顔」をする小雪に私は驚愕した。
(そもそも小雪が23歳でも28歳でもどうでも良いことだ。)
 
「株や債券を知らないおまえらが、王野が店長というだけでホイホイ金を預けるのか」
重要なことを三点だけしゃべってサッサと解散したかったコヨーテに、何かのスイッチが入ったようだ。
 
職業に貴賎なしか?この世はな、貴賎だらけなんだよ。
ここにいる男共も自分がどんな仕事をしているか田舎のオフクロにちゃんと言えるか?
 
小雪、おまえは雑誌に「顔出し」までして売ろうとしたのは何の為だ?
たくさん稼いで早く足を洗いたいからだろう?
 
吉原だけじゃねぇ、どこの社会にも詐欺師、泥棒、嘘つき、馬鹿、そしてずるい人間が一定数いるんだ。
ずるい人間はどこでもいるんだよ、それらが常に自己評価が低い人間を利用するんだ。
 
王野はおまえらをチヤホヤしてきた。
おまえらを褒めちぎっておだてまくった。
なぜチヤホヤするのか?…おまえらのことをバカにしてなめきっているからだ。
おまえらは、ギャンブル狂がどんな嘘でも平気でつくことをわかっていない。
おまえらは王野に利用されていることすらも気づかない。
 
世界中で歴史上もっとも虐げられてきたのは何だと思う?
分かるか?そこのおまえ、答えろ、…え?黒人じゃない、それよりもっと、もっとだ。
世界中で最も虐げられてきたのは「女」だよ。
女はずっと虐げられてきた。
男の大半は女を虐げていることすら無自覚だ。
 
おまえらは「金の為」にここに来た。
品定めされて、ただの容器になる仕事だとわかってきている、わかってきているんだ。
だったらもっと賢くなれ、(頭を指して)ここを使え、死ぬほど使いまくれ。
でないと、ずっと同じことの繰り返しになるぞ。
 
 
女のコ達は始終うつむいていた。
「社長、勉強しました」
とミクルが顔をあげて涙声で言った。
 
「お金を預けたあたしが悪かったです…だけど、せめて王野さんに恩赦を」
と小雪は言った。
 
「(はぁ~)まるで、まるで話にならん。許す相手を間違えている」
コヨーテはかぶりを振った。
これ以上話してもしょうがないと思ったのか、
「まぁ、そういうことで。じゃ…小雪だけ残って」
コヨーテは解散宣言した。
 
そして、最後に我々に向かって言った。
「週刊『作話』さんですが、小雪がもし『コルティジャーネ』に入ったら取材はナシで。ウチはずっと週刊『ライアーボーイ』さんなんで」
「わかりました」と伊藤は答えた。
 
=====
 
 
私は王野のことを忘れていた。
王野は「もう死んでいるかもしれない」とあの頃は思っていた。
 
 
視力の悪い私のことだ。
全くの人違いかもしれない。
人違いだったら、私の妄想は電車の中で炸裂していたことになる。
 
けれども一瞬(王野、生きていたのか)と思った時に笑みがこぼれた。
 
いったい何の笑みだろう。
王野に生きていて欲しいと私はどこかで願っていたのだろうか。
笑みの理由がわからないまま、私はずっと電車に揺られていた。
 
 
 
 
名前、店名はすべて仮名です。
 
 
 
 
《今日のロミ》「しかたないな」という表情
 
 
 

よく似た男(2)江戸一本舗

2019年07月24日 | 手記・のり丸
黄昏時で、空は深い濃紺になり雲はオレンジ色に染まっていた。
三月でまだ風は冷たく、「寒い、寒い」と言いながら伊藤がコートの襟を立てて歩いていた。
 
『江戸一本舗』に着くと、女のコ達が店の前で寒そうに立ちすくんでいた。
ボーイの小林と前田もいた。
店の中には誰も入ることができないようだ。
 
「釘打ちされている」
と誰かが言った。
「釘打ち?」
私が戸惑っていると、小雪が駆け寄ってきた。
「のりちゃん!扉という扉が外から全部開かないようになっているのよ」
「(…のりちゃん?)」
伊藤が小雪と私の顔を代わる代わる見た。
「(店が摘発されたのかな…でもそれにしては変だな)」
私は小声で伊藤に伝えた。
 
しばらくすると、ドヤドヤと数人の黒服がやって来た。そして、
「全員!ここにいる全員!そのまま『コルティジャーネ』の社長室に行って!すぐに!」
怒鳴るような声で言った。
「早く早く!」とせかされるように『江戸一本舗』のメンバーはぞろぞろと向かいにある『コルティジャーネ』という店に入っていった。
 
伊藤と私が呆然と立ちすくんでいると、
「失礼ですが、あなた方は?」
と黒服の一人が聞いてきた。
 
「私共は週刊『作話』の者です。本日は小雪さんの取材で参りましたが…」
「…あ、そぅ…小雪の取材ねぇ。…ん~、でもまぁ説明の手間が省けるから、このまま一緒についていってよ」
 
状況が全くつかめないまま、伊藤と私はメンバーにくっついて『コルティジャーネ』に入った。
 
 
====
 
「江戸一本舗」の店長は王野という男だった。
ボサボサとした眉毛の下に人懐っこい目があり、シュナウザー犬みたいな顔をしていた。
 
よく椅子の背もたれを抱きかかえるようにまたいで座り、背もたれの上に本を乗せて読んでいた。
おそらくその姿勢が一番身体が休まるのだろう。
 
「当分は、小雪(23)で通すから…」
「はい、わかりました。今回も23歳にしておきます」
「…小雪、たぶん今日もギリギリで来るわ。あのコねぇ、おばあちゃんの面倒もみているから忙しいんだよ」
「そうなんですね」
 
王野は軽口で饒舌だった。
「ウチのボーイの山田、知ってるよね?」
「山田さん?」
「ほら、巨漢の…」
「あ、わかりました」
「あいつさぁ、一卵性の双子でな、兄貴も吉原にいるんだよ。兄貴は『マドンナバージン』の前によく立っているから、通った時に顔を見てごらん」
 
『王野』談
《山田は2年前、30歳で刑務所から出てきた。
10代の頃から刑務所に入りっぱなしだったから全然世間ズレしていないんだ。
ところが兄貴の方は世間の荒波にもまれてきたもんだから顔も悪相だ。
ウチの山田は仏のような顔をしているだろう。
不思議なもんだな、刑務所に入っていた方が人相が良いなんて。》
 
 
参考【ウサビッチ兄弟】
 
 
「ごめんね、今日も化粧しながらしゃべってもいいかな」
小雪は個室ですぐに下着姿になり、化粧を始める。
毎回、小雪が化粧をしながら打ち合わせるパターンになっていた。
 
「…あ、そうだ。のりちゃん、いなり寿司食べる?」
「いただきます」
 
世の中には人が差し出したものは食べない、という人がいるだろう。
私は逆だ。差し出されたものをなんでも食べることにしている。
貧乏だった私は、どんなものでも食べてサバイブしてきた。(…といったら少し大袈裟だが)
たとえ個室付き特殊浴場の中でも、そのポリシーは変わらない。
 
 
小雪はサイドテーブルの上にいなりの入ったタッパーと箸を置き、冷蔵庫から麦茶を出してコップについで「どうぞ」と差し出す。
「作ったの、あたしが。たくさん作りすぎたから、みんなの分も控室に置いてきたわ」
 小雪はいろんなものを作っては、店のみんなに時々差し入れをするようだ。
 
私はいなりを口に入れた。
いなりの味付けは甘すぎず酸っぱすぎず、絶妙にバランスが取れていて美味しかった。
「…うまい、すごくうまいです」
と私が言うと、
「よかった」
小雪が壁面の鏡の中から嬉しそうに笑った。
 
私はいつ頃からか小雪に「のりちゃん」と呼ばれていた。
 
「ねぇ、のりちゃん、ご飯をちゃんと食べてる?…あ、そうだ。ちょっとこれ食べてみる?」
それがサンドイッチだったり、おにぎりだったりするのだが、小雪はいつも私に食べ物をくれた。
 
「おかあさんはまだ帰ってこないの?お腹すいた?なんか食べる?」
昔、そんな親切でおせっかいなお姉さんが近所にいた。
小雪は大きく分けるとそういうタイプだった。
そして、底抜けのお人好しだった。
 
色気のないことを書き連ねたが、裏側事情はそういうものだ。
 
  
日が落ちて、あたりが薄暗くなると街に灯りがともる。
歓楽街は賑わい、虚飾の世界に人々が遊びに来る。
虚飾の世界では真実をむき出しにする必要はない。
売り手が自分を演出するのは必然である。
 
幻想の親密システム。
束の間の「錯覚」を売るビジネス。
虚飾の世界に遊びに来たら、長居をしてはならない。
神秘的な夜の海岸も、日が昇ると空き缶だらけの現実に戻る。
 
だから、「なんでこの仕事しているの?」という客の質問が、例外なく女のコに嫌われるのは言うまでもない。
最も野暮で馬鹿げた質問だからである。
 
(続く)
 ※名前、店名などはすべて仮名です。
 
 
今日のロミ
 

よく似た男(1)電車の中で

2019年07月17日 | 手記・のり丸
先日、阪急電車に乗っていた時のことだ。
顔の左半分にビシバシと視線が突き刺さってくるような感覚を覚えた。
視線が来る方向を辿ってみると、左斜め前の座席に座っている男がジッと私を見つめていた。
私と目が合うと、男は手に持っているスマートフォンに目線を落とした。
 
(…ん?気のせいか?)
私はもう一度男を見た。
(キングダム)
突然、私の脳裏に「キングダム」という言葉が浮かんだ。
マンガの題名か?
なぜあの男を見た時に「キングダム」が出てきたのか?
あの男と以前どこかで会ったことがあるのか?
 
私は男を観察した。
髪の毛がボサボサで、眉毛も目にのしかかるように伸びている。
(こんな顔の犬がいたな……え~と、シュナウザー、そうそう、シュナウザー犬にそっくりだ…)
そんなことを考えながら男を見ていると、再び男が顔を上げて私の方を見た。
私は瞼を閉じて寝たふりをした。
 
私の脳はシングルタスクであり、当然マルチタスクのように複数の作業を同時にすることはできない。
その上、演算速度(回転)もひどく遅い。
その為、一つのことをいつまでもしつこく長く考え続けることができる。
 
(キングダム…キング…キング……小雪、…ん、小雪?…意味がわからん、寝るか)
いや、ここで諦めてはいけない。
脳の訓練の為に、投げ出さずに最後まで思い出すのだ。
(思い出せ、思い出すんだ…脳がんばれ、行け行け!GO!GO!)
脳に訳のわからない方法でプレッシャーを掛けながら、全力で集中することにした。
 
…カタカタカタ…脳はゆっくりと作業しながらも過去のデータを整理していた。
そうこうしているうちに「六甲駅」に着き、男が立ち上がる気配がした。
瞼を開くと、長身の男が電車を降りていく後ろ姿があった。
 
(王野!)
やっと名前がはじき出された。
男が「王野」という人物なのか確かめようがないが、私は王野という男のことをはっきりと思い出していた。
 
 
私は東京にいた頃、ライターをしていた時期があった。
学生アルバイトくずれのライターだった。
週刊「作話」で記事を書かせてもらっていたが、主に(ほぼ98%)風俗嬢の紹介記事だった。
カメラを持って取材に行き、記事を書く…そういうことを一年半ぐらい続けていた。
 
私が週刊「作話」を辞めることが決まった時、伊藤という後輩が私の後を引き継ぐことになった。
伊藤と私はしばらく一緒に行動することになった。
 
「今日は吉原の『江戸一本舗』に行くよ」
と告げると、伊藤は目を輝かせた。
「『江戸一』の小雪さんですよね……いや~今日はついているなぁ」
伊藤は小躍りしているようだった。
 
小雪は典型的なキツネ顔で、目じりが吊り上がっており、顎がキュッと尖っている。
「こういう気の強そうな顔って好きだな。このコ、相当キツそう…」
小雪の写真を見て、伊藤は勝手にイメージを固めていた。
 
(残念だな。小雪はお前が思っているようなタイプではないんだよ)
と思ったが、口には出さなかった、
そのかわり「吉原の帰りに『桜なべ』行こうか?」と伊藤を誘った。
 
(続く)
 
名称はすべて仮名…一応。
 
 

《今日のロミ》

 
 
 
 

これまでの画像24 悪夢死

2019年07月15日 | 主に画像(ロミ)

おはよう!起きるのじゃ!

オープン・ユア・アイズ!!!

…いつまでも起きない人間じゃの。

 

【いつも、のり丸が起きるのをひたすら待つウチ…】

…ところで、のり丸がハマっている『いびきラボ※』がすごいことに…。

(※主にいびきの録音と分析アプリ)

どうやら最近「悪夢」を見ているらしく、まぁ寝言のすごい事…。(うるさかったの)

 

【フミフミ…】
 
以前、留学生が相次いで朝になると死んでいた、ということがあった。
原因は不明だったが、寝ている間の心臓麻痺の可能性があり、もしかすると「悪夢死」かもしれないと推測する人もいた。(※新聞記事による)
慣れない国に来て強度のストレスが原因で「悪夢」を見て、その夢があまりにも怖すぎて心臓麻痺を起こしたというもの。
 
そんなことがあるのか?と思っていたのり丸じゃが、自分も悪夢を見た後で「なるほど、ありうる」と妙に納得しているようじゃ。
夢の内容がよっぽど怖かったんかの?
 
 
【ゴロン】
 
のり丸の仕事は(週のうち半分は)肉体労働。
のり丸はデスクワーク自体が苦手で、故意に避けている傾向あり。
のり丸の場合、身体を鍛えるのも兼ねて一石二鳥のつもりでやっているが…。
 
のり丸よりずっと年上で、長年肉体労働を続けている先輩達がいるが、もともとの体力が違うらしい。
のり丸は仕事の後はぐったり…食欲もわかないようじゃ。
ちなみに先輩は仕事の後でテコンドー、休みの日もテコンドー、この差は大きいの。
 
エンジンの構造からして先輩とは違うようじゃな…。
 
 
 
【扉も自分で開けて飛び乗っている。「お・き・ろ」というメッセージも兼ねている】
 
現在、のり丸は膝に負荷をかけるトレーニングは厳禁。
…となると、筋力を維持する全身運動は「水泳(膝に負担がかかる平泳ぎはNG)」しかないのじゃ。
 
のり丸の場合、スポーツの中で一番楽しくなかったのが「水泳」だったらしい。
そもそも、着替えたり、シャワー浴びたり、乾かしたり、水着洗ったり……めんどくさがり屋には不向きなスポーツ。
 
でも、背に腹はかえられない、という訳でしぶしぶ水泳(クロール)を始めたのり丸じゃが…それからは連日寝言が激しいのじゃ。
 
 
【去年の今頃と同じく、ウチを呼ぶダーリンの声がする】
 
 
体力のない人間が疲れるとよく眠れない(熟睡できない)…寝る体力がないからじゃ。
寝るのにも体力が必要なのじゃ。
 
マイペースな野良猫ダーリンはこんな危険?な場所でも熟睡じゃ。
ダーリンのように、いつでもぐっすり眠れるメンタルになることが体力維持の秘訣なのかの?
 
 
 

【今日もまた、のり丸の頭を毛づくろいしてやっている】

 

人間が「悪夢を見る」とか「言葉が出てこない」という状態は、明らかに疲れすぎじゃ。

 

何事も焦らず、目の前の階段を一歩一歩進むのじゃ。

 

悪夢の原因…のり丸の場合は「ミステリーの読みすぎ」もあると思うの。

(本を読みながら眠りにつく「ノベルトリップ」というやつじゃ)

 

偶然見はじめたテレビドラマの「あなたの番です」までも現在「推理」中。
このドラマ、設定をはじめ「不自然なところ」が満載(雑)でのり丸の好みではないのだが、ミステリーの「謎解き」だと思って見ているようじゃ。
 
一説では「あなたの番です」はまだ未完成らしく、視聴者の反応によってストーリーを変えている可能性があるらしい。
 
のり丸の最も嫌いなミステリーの結末は、犯人双子説、二重人格説(或いはサイコパス説)じゃ。
問題外なのは「実は夢でした」の結末、ホラーとミステリーをごっちゃにしたもの(或いはSFとごっちゃにしたもの)、それらはミステリーとはいえないからの。
後、のり丸の想像通りの犯人だった時も「…なんか、つまらん」になるらしい…。
 
…まぁ、好きにしてくれ。
秋元康よ、くれぐれもヘンテコリンな結末だけにはせんといてくれよ…。
本格的ミステリーでないと、確実にのり丸の機嫌が悪くなるからウチが困るんじゃ…。

 

 

《のり丸が帰って来た時、出迎えの様子※ほぼピンボケ》

 今日も遅すぎる…待ちくたびれたの。

 

つい、ゴロン

 

毛づくろい…

 

さて、行くかの。

 

いつも出迎えの時は、ウチが先頭で歩く。

「ウチについてきなさい」

そんな感じに見えるらしいの。

 

じゃあ、またの。


これまでの画像23 猫との距離感

2019年07月05日 | 主に画像(ロミ)

【いったい猫は何匹いるのか?と聞かれるようなトイレ事情】

 
初めてウチがこの家に来た時、フード付きトイレが設置されていた。
だが、ウチが「トイレに隠れる傾向がある」ことに気付いたのり丸は、すぐさまフードを取り払ってオープンにした。
一旦トイレが「隠れ部屋」になってしまうと、そこはもうトイレでなくなってしまうからの。
 
神経質な猫には広々としたトイレが向いているという。
また鉱物系の砂は(猫の先祖が)砂漠で砂を掘っていた感じに近く、猫が最も好むタイプだと言われている。
(…信憑性はわからんし、猫によって違うと思うが。)
 
そんな訳で、小柄なウチは大型猫用のオープントイレで思う存分「砂」を掘るようになった。
小さいトイレの方はゲージ用じゃが、ウチがこのサイズにも慣れる為に時々設置してある。
 
 
 
東京でチビとピキャンという老猫を飼っていた時は、のり丸の「猫の飼い方」は今よりずっと乱暴じゃった。
チビとピキャンは「仕方なく」のり丸が引き取った猫で、のり丸は2匹の存在をかなり負担に感じていた。
東京で勤労学生をしながら家賃が割高のペット可住宅に住むという状況自体にも、そこそこ追い詰められるものがあった。
 
しかしそんなのり丸を励ましていたのもチビとピキャンの存在だった。
2匹は約17歳まで生きた…寿命だったかもしれないの。
 
チビとピキャンが相次いでいなくなった後、のり丸は「猫に関する知識が乏しかったこと」を深く反省した。
その経験が、現在のウチへの過保護に繋がっとるのは言うまでもないが…。

 

【のり丸が作業をしている時、ウチは気配を消す】
が、大抵のり丸の半径1.5m内にはおる。
のり丸がふっと顔をあげてウチを見た時に喜んでもらえるポーズを研究中?じゃ。

 

 【羽根のオモチャで遊ぶウチ、まるでメガネをかけているよう】
犬好きでもあるのり丸がなぜ猫といるのかというと……たぶん「猫との距離感」が心地よいからじゃろうの。

 

 【ポーズとは裏腹に顔はかなりの魔物ぶり】
猫の目や、猫の顔が苦手な人にはかなり怖い顔じゃ。

 

 【時には顎が長い】

 

【普段のウチはこんな顔】

 

【この画像なんか、ともすれば哲学的にも見えるウチの雰囲気そのままじゃ】

 

 

【ちょっと魚眼】

 

【…なぜ近づいた顔をわざわざ写す?】

 

 【絨毯のシワシワはウチのせいじゃが、散らかった本は…】

 

東京にいた時、のり丸はフランクルの本を何度か読み返していた。
フランクルの本では「夜と霧」が有名であるが、のり丸がよく読み返していたのは「それでも人生にイエスという」という本である。
 
本の内容は現代にも十分通じるテーマである。
 
「不治の患者、とくに不治の精神病患者は、そんな病気にかかっているだけで、『生きる価値のない生命』と決めつけられ、そのために殺されかかったり、また実際に殺されたりしました。それに対してどんな見解をしめすべきでしょうか。」
/不治の精神病患者より
 
 
東京ではフランクルがよく「効いた」そうじゃ。
四面楚歌で視野狭窄になっている時に読むと、本に書いてあるような「コペルニクス的転回」をしなければ、と気付かされたらしい。
 
 
この尼崎に越してきてからは、ミステリーばかり読んでいるのり丸じゃ。
尼崎は下町で、人々は庶民的で気取らず、どこかのどかなところもある…そういう場所にはミステリーがよく合う。
土地を移動すれば読みたい本も変わっていくのかもしれんの。
 
 
もうすぐ…7月7日でウチは2歳になる(人間でいうところの23歳)。
チビとピキャンのように17歳(人間でいうところの84歳)まで生きることができるかの?
 
 
 
【水を出せ、と要求するウチ】
 
 
【猫背で爪を研ぐウチ】
 
 
フランクルの本に書いてある。
 
「…どのような未来もこわくはありません。
未来がないように思われても、こわくはありません。
もう、現在がすべてであり、その現在は、人生が私たちに出すいつまでも新しい問いを含んでいるからです。
すべてはもう、そのつど私たちにどんなことが期待されているかにかかっているからです。
その際、どんな未来が私たちを待ち受けているかは、知るよしもありませんし、また知る必要もないのです。」
 
 
まぁ、確かに。
東京にいた時ののり丸にウチは言ってやりたいけどの。
 
「そのうちウチが会いにいくからジタバタせずに生きていろ」と。
 
 
じゃあ、またの。