『ろばや』のブログ

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上野さんの種まき援農レポート(四月)

2014年08月26日 | 生産者
 田植えのレポートと順番が前後してしまいますが、ろばやスタッフ、藤田さんが四月に種まきの作業をお手伝いに行った際のレポートです。

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 4月に上野さんのところへ援農に行ってきました。上野さんはろばやでも御馴染み無農薬のコシヒカリ、いろいろ米や小麦などを栽培している農家さんです。お米のラベルでも笑顔が印象的なお方。お会いするのは初めてでした。待ち合わせに迎えてくださったのはお連れ合いの礼子さん。初対面でしたが気さくに話してくださり車内でもお話と笑いが尽きません。

 田んぼを眺めながらワクワク。さて到着。
 どどーん!(瓦屋根でかーー) 援農の前にまずお家にびっくりです。中に入ると広い土間に太い梁(贅沢!)、高い天井は黒くしっかり燻されていて。何度か農家さんのところに援農へ行った事はありますが、同じ屋根の下に馬屋があるお家は初めてでした。昔は馬も牛も飼っていたそうで、病気になると寝ずに看病していたそうです。

 この日は苗箱に種をまく作業でした。自動播種機(はしゅき)を使っての機械作業となりますが、手作業も必須です。

①苗箱(2cm×2cmくらいの円錐状ポットが連なったプラグトレイ)を本体にセット。ベルトに運ばれ
②床土が敷かれ ③種が播かれ ④覆土が被さり ⑤出来上がったトレイを運ぶ。次々に運ばないとストッパーに当たり機械は停止します。
②~④は機械がやってくれますが、破損がないかチェックしながらトレイをセットし、種籾のほか、床土、覆土をシャベルで補充、出来上がったトレイを運んで積み重ねていく部分は手作業です。



自動播種機「まくDAY」 右から「床土」「種籾」「覆土」の順


最初の数枚は覆土を入れずに、種籾がまかれた状態をチェック。


 作業は正確に、かつ楽しく続け、疲れないように工夫するのがポイントですが、ついついおしゃべりに熱が入ってしまって…その間も上野さんは笑顔の奥にキラリと光る目であらゆる細かいところをチェックしていました。すみませんでした。

 さて、上野さんといえば「いろいろ米」。なんと数百種類ものお米の種籾(たねもみ)を保管、毎年種をまいて自家採種されています(いろいろ米はその中から50種程度を選んで種まきの段階で混ぜるそうです)。品種保存用の種籾は混ざらないように袋別にタグがつけられていました。譲っていただいた方のお名前が書いてあるものも。種籾は色から形から大きさまで実に様々。中には生長した稲穂の高さが15cm足らずの品種もあるとか。一方、機械で扱えない大きな種もあります。生き物を相手にするってやっぱりそういう事なんですね。どこか嬉しく思ったりもします。


眠っていた種籾を発芽させるため、水につける「浸種」という行程。バスタブで出番を待つ種達。


品種保存のための種まきの場合は、交雑を避けるため、種を替えるたびに播種機の部品を外してきれいに掃除します。


お昼休みをはさんで作業を続けます。昼食は広々とした土間で大テーブルを囲んで頂きました。手作りのヌタ、御馳走様でした!私は農作業の合間に皆でご飯を囲む時間がやはり大好きです。食後は体も暖まり、作業もスムーズに進みます。本当は苗床にトレイを置くところまでの予定でしたが天候もあやしく断念。皆で片付け、仕上げに上野さんは播種機を丁寧に掃除。「砂埃すごいから逃げて」と言われ、わたしたちは砂埃に巻かれる上野さんを遠巻きに見守りながら作業終了となりました。


苗箱を品種別に分けて並べたところ。


砂埃とともに最後の掃除。


シートをかけ今日の作業は終了。


 今回は作業としてはハードではなかったものの、その分沢山のお話からあったかいエネルギーいっぱいもらって帰ってきました。上野さんご夫婦は周りを巻き込んで笑わせて下さる、とにかく優しくてあったかい、素敵なご夫婦です。

 話はかわりますが、先日国分寺のライブバーgiee(ギー)さんで土井敏邦監督のドキュメンタリー映画『飯舘村』を見ました。以前の私は、もし農業が出来なくなったら他の場所で始めたらよいのでは、と、軽はずみに思っていました。でも、代々農業を営むというのは、その土地のその季節のそこの生き物たちとの営みを繋いでいく事であって、場所が変われば全く別ものになります。自然の恵み、生活、仕事、子供を育てる楽しみを奪われ、泣いていた人々を見て、その何倍もの、声にならない小さな生き物たちの涙も見た気がしました。
 上野さんからろばやに納品されるお米と共に、いつも季節感満載でお天道様への感謝いっぱいの手紙が届きます。私はその感覚を手紙を通して知るのです。

 そうそう、少し前に私の知り合いがロンドンから日本に遊びに来てました。どこの食事でも白米は物足りなさそうにだったのに、上野さんの色々米を食べた時は「お米の味が美味しい」っておかわりしてました。嬉しかったですよ~

 また次回の援農楽しみにしていまーす

(藤田)

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