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好きなことを書くブログ

by けいぷ
映画、旅行、舞台、いろいろ好きです。
でも、たまに酷評。(笑)
ネタバレ注意!!!

りゅーとぴあ「ペリクリーズ~船上の宴~」

2011-10-09 23:58:36 | 舞台・ライブ
すっかり、感想が遅れましたが、りゅーとぴあの舞台、観てきました。

りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ第七弾「ペリクリーズ~船上の宴~」



梅若能楽学院会館 9/23 
訳:松岡和子
構成・演出:栗田芳宏
キャスト:柄谷吾史、田上真里奈、西村大輔、山賀晴代、荒井和真、永宝千晶、星野哲也、岡崎加奈、大家貴志、栗田芳宏

梅若能楽学院会館、東中野から7~8分なんですが、曲がるところを間違えて、迷ってしまいました。
で、同じように迷ってる人がいたので、引き返して無事に到着できました。
なかなか趣のある、能楽堂で雰囲気よかったです。

さて、今回は「ペリクリーズ」。
以前NHKでニナガワさん演出の舞台をオンエアしていたので、とても印象に残っている作品です。
タイアの若き領主ペリクリーズは、美しいアンタイオケの王女に求婚するが、王との近親相姦に気づいたため、王から命を狙われ、アンタイオケを去る。
タイアに帰れば、アンタイオケとの戦争に発展するため、民を守るため、流浪の身となる。
難破し、すべてを失ったペリクリーズは、流れ着いたペンタポリスの王女タイーサと結婚し、タイアに戻ろうとするが、再び海が荒れ、女の子を出産したタイーサが亡くなってしまう。
彼女の亡がらを海に流し、生まれた王女マリーナを以前、ペリクリーズが助けた領主に預け、国に戻る。
妻タイーサの棺はエフェソスに流れ着くが、奇跡的に息を吹き返し、その地で巫女となる。
成長したマリーナは虐待を受け、その後、海賊に誘拐された上、売春宿に売られてしまう。(あまりにも高貴な佇まいのため、売春婦として客を取るこができなかった)
一方、ペリクリーズは妻を失い、娘も死んだと聞かされ、絶望して旅に出るが、奇跡的に娘と再会し、妻も生きていると知り、再会することができる。

・・・とまあ、何ともご都合主義なハッピーエンドなんですが、舞台の作品としては、劇的な展開でなかなかおもしろいと思います。

今回のりゅーとぴあの舞台を観て、アタシは、やっぱりこのカンパニーが大好きだなと思いました。
長い話を、コンパクトにまとめ、演出の栗田さんがちょっとかぶり物をかえるだけで、何役もこなし、話の展開が鮮やかでした。

また、能楽堂に生ギターを持ち込み、フラメンコっぽいような音楽。
雅楽の楽器やドラなども交え、とても効果的で、ペリクリーズとタイーサが踊るフラメンコなど、見所満載の演出でした。

栗田さんのガワーとしての語り。いい声してますね。

シェイクスピアに限らず、舞台では早口の長ゼリフが多いと思いますが、今回は、全体的にゆっくりした口調でした。
セリフをじっくり味わうことができたように思います。
ほんとにいい舞台でした。



東京セレソン「わらいのまち」

2011-09-25 22:47:59 | 舞台・ライブ
初・東京セレソン。
「わらいのまち」を観てきました。



「わらいのまち」
シアタークリエ 9/19 2列
作・演出:宅間孝行
キャスト:宅間孝行、岡田義徳、柴田理恵、田畑智子、 片桐仁 、他

久しぶりに舞台の仁くん観ました。
いろいろな若者に取り憑いている今日この頃なので・・・えへへ。

東京セレソンといえば、去年あたりは、「今、最も泣かせる劇団」とか言われてた気がするのですが。
アタシもテレビで「くちづけ」を観て、次は生舞台を観たいと思っていたのです。
号泣準備完了みたいな意気込みでチケット取りましたが・・・タイトルが「わらいのまち」
なんだ、喜劇か。
まあ、いいや。

ということで、残念ながら喜劇でした。
もっとも、最後の方にはほろっとするような感動シーンもあり、アタシのような号泣期待で観に行った客へのサービスか??

あらすじ(HPより)
何の名所も特産品もない寂れた田舎町の寂れた温泉旅館「まつばら」に国会議員の大関代議士が急遽、泊まりに来る事になった。
明日から始まる町の未来を賭けた町おこしのイベントを視察する事になったのだった。
町おこしの実行委員長を務める「まつばら」の三男であり主人の信雄をはじめ、次男で板長の将雄、仲居のくにゑ、真知子も大喜び。
それもそのはず、町 おこしのイベントを視察して、しっかりしたモノだと認められれば、
町おこしの資金が県の予算に組み込まれるよう大関先生が口を聞いてくれるというのだ。
明るい未来を見出せるとあって、大関先生に好印象を与えようと張り切る「まつばら」の面々だったが、
そこに不吉な知らせが舞い込む。
長男の富雄が町に帰って来てるらしいというのだ。
「疫病神」とあだ名される富雄はヤクザもの。しかも権力が大嫌い。
とにかく大関先生と富雄が鉢合わせしないようにと大慌ての「まつばら」の面々。
しかし行き違い、勘違いの交錯で話はとんでもない方向へ・・・。


「疫病神」こと長男役が宅間さん。
作・演出だけあって、いいとこ取りですね。「くちづけ」もそうだったけど。

今回の作品は、個人的な好みからは少々はずれていました。
途中まで、ドタバタコメディーが延々と続くような展開で、どんな風に収拾するんだろうと思ったりして。
最終的には、やっぱり宅間孝行さすがにうまくまとめるなぁと関心。

コメディは、アタシの中でもうまく結論できません。
つまり、(自分自身にとって)どういうものが面白くて、どういうものがダメなのか、さっぱりわからない。
たぶんコメディっていうのは、その時の心理状態や疲れなどに左右されるのかなと思います。

というわけで、「わらいのまち」は大絶賛でもないのですが・・・
カテコで宅間さんの挨拶を聞いたら、ちょっといいなと思いました。
ものすごく「誠意」を感じちゃって、東京セレソン、次回も観たくなりました。

役者では、田畑智子さん、初見でしたが、すごく良かったです。かわいいしうまいし、セリフも聞き取り易くて。
あと、仁くんね。
今回は、少々シャイだけど普通の二男役。エキセントリックでもないし、引っ込み思案で心配性。
なんか、途中で変身して欲しかったんですけど。

でも、いろいろなところに客演するってことは、うれしいですね。
そのうち、ぶったまげるような客演、あったらいいのに。
ちなみに、アタシがひっくり返るようなところは、もちろん「ニナガワ・シェイクスピア」か「新感線」・・・




劇団☆新感線2011年夏興行 いのうえ歌舞伎「髑髏城の七人」

2011-09-20 23:19:23 | 舞台・ライブ
待ちに待った新感線の「髑髏城」、行ってきました。
もう少し、前の席で観たかったですが、チケット取れただけでもよかったよかった。



髑髏城の七人
青山劇場 9/16 Q列
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
キャスト:小栗旬、森山未來、早乙女太一、小池栄子、勝地涼、仲里依紗、高田聖子、粟根まこと、河野まさと、千葉哲也 他

この作品は、初演が90年(捨之介/天魔王:古田新太)、97年に再演、その後04年に、「アカドクロ(捨之介/天魔王:古田新太)」、「アオドクロ(捨之介/天魔王:市川染五郎)」が上演されています。
いのうえさんのインタビューでは、今回は「ワカドクロ」。

いやはや。
面白かったです。
過去作品は捨之介と天魔王、一人二役だったのですが、今回は別々。
そこで、脚本も大幅に変更し、新しい作品として生まれ変わったようですね。

ストーリーについては・・・省略します。
公式サイトやすぐれたブログがたくさんあるので、参照しましょう。

今回の見所は、小栗くんの捨之介。
未來くん(天魔王)と太一くん(無界屋蘭兵衛)の殺陣。← これは・・・圧巻です、圧巻。芸術品。
1回しか観れないので、後はゲキシネとDVDを心待ち。1年後くらいかな??

一緒に行った友達は、小栗くんファンなので、ちょっと誉めておこう。
やっぱりね、立ち姿が映えます。長身でスタイルよくてかっこいい。
立ち回りは、そんなに期待してませんでしたが、なかなかどうして。十分見応えあり、予想以上でした。
少々荒っぽいけど、迫力あるし、ほんと、よく動いてました。
爽やか過ぎて、オトナの男の色気みたいのは、ちょっと。古田センパイのようにはいきませんけどね。
しかしなぁ、カリギュラの時のようなストイックなオーラ、アタシは小栗くん大好きな友達に見てほしかったけど。
ま、かなり満足してたからいいか。

で、未來くんです。
こんなに早く未來くんの悪役見ることができるとは。
悪役大好きなので、好きな役者の悪役がとっても見たいのです。
今までは、レスポール・ジュニアとかカルマ王子とか・・・そんな役がぴったりでしたが、今回は打って変わって天魔王。
迫力もあり、美しくもあり、狂気もあり。
ただし、小さな世界で自分を大きく見せるという所詮は子悪党というキャスティングだったので、ちょっぴりザンネン。
もっと冷酷な悪党役で滅んで行くような設定にしてほしかったな。

そして太一くんについて。
「蛮幽鬼」で初めて見て、びっくり仰天してしまいましたが、今回はそれを上回っていました。
特に、セリフが圧倒的によくなってきたと思います。
独特な雰囲気があり、視線とか表情も魅力的。
しかも、19歳。先が恐ろしい子です。
今でも、十分恐ろしいけど。

「髑髏城」→「アカドクロ」→「アオドクロ」→「ワカドクロ」ときたので、今回の3人+勝地涼で「バカドクロ」ってのもやってほしいなぁ。
太一くん、断りそうだけど。

他に、勝地涼くんが頑張ってました。兄さとの鎌の立ち回りは笑いを超えて、拍手が起こっていましたね。見所のひとつ。
また、極楽大夫の小池栄子さんもつややかで姐さんの貫禄十分。
そして、ベスト・コメディエンヌは聖子さん。
なに、この人。何やっても、劇的に面白くてうまいんですよね。

未來くん、太一くんにすっかり目を奪われ、舞い上がってしまった観劇でした。
感想は少々甘め、ツッコミは、なくもないけど、ありません。 → なんだよっ

現代能楽集 『奇ッ怪 其ノ弐』

2011-09-01 23:56:06 | 舞台・ライブ
世田谷パブリックシアターの芸術監督である、野村萬斎さん企画・監修「現代能楽集」。
今回は、イキウメの前川さんの作・演出、そして魅力的なキャストですから、ホント、楽しみにしておりました。



現代能楽集 『奇ッ怪 其ノ弐』
世田谷パブリックシアター 8/27 I列

作・演出:前川知大
キャスト:仲村トオル/池田成志/小松和重/山内圭哉/内田 慈/浜田信也/岩本幸子/金子岳憲

このシリーズは、「古典芸能と現代演劇の融合」というコンセプトで過去にもいろいろと上演されましたが、今回は本来の能の物語を原作とせず、狂言に描かれる市井の人々のこっけいさと能に描かれる情念が融合されているという説明が出ていました。

何年か前の自然災害で多くの死者を出し、廃墟になった村の神社。
村を出た神社の息子(山内圭哉)が帰って来る。と、その神社にはホームレスの山田(仲村トオル)と名乗る男が住んでいた。
そして、村の復興を計画する橋本(池田成志)、地質学者の曽我(小松和重)が現れ、いくつかのサブストーリーが展開される。

おかしくて、同時に切ない、そして癒しを感じるような、前川さん流・死者へのレクイエム。
アタシはそんなふうに受け取りました。
もちろん、3月の大震災がテーマとして内在していると思います。
「死者を悼む」という・・うまく言えないけどいろいろな悼み方があるわけですね。
悲劇を悲劇としてストレートに表現する方法もあるでしょうし。
この作品には、笑いがいっぱいありましたが、同時に優しさがありました。
そしてラストでは、「もの言わぬ人々」がただ描かれていて、死者への冥福を祈りたいという気持ちを持たずにはいられませんでした。

なるっしーと小松さんは・・とにかく大好きで、「存在感」をみせてくれました。
また、イキウメから4人キャスティングされて、どの役もうまくこなしていました。
実力をつけてきるなと、なんだか勝手に親心??

奥行きのあるシンプルな舞台設定でしたが、数カ所に穴があいていて、人がぱっと落ちて行ったり、ふらふらっと出て来たり、効果的でした。
WOWOWのカメラが入っていたので、オンエアされたらじっくりと観たいと思っています。

前川さん、イキウメの公演、プロデュース作品などかなり精力的に活動しています。
だから、こっちは口をあけて待ってればいいという状態。
とりあえず、イキウメの次回公演は青山円形劇場で11月10日からのようです。
円形劇場をどのように使うのかも楽しみです。

子供のためのシェイクスピア『冬物語』

2011-07-16 23:11:13 | 舞台・ライブ


炎天下の中、渋谷まで行ってきました。
子供のためのシェイクスピア『冬物語』7/16
渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール 1F1列
作:ウィリアム・シェイクスピア ~小田島雄志翻訳による~
脚本・演出:山崎清介
キャスト:伊沢磨紀 佐藤誓 山口雅義 戸谷昌弘 尾崎右宗 キム・テイ 谷畑聡 太宰美緒 / 山崎清介
<あらすじ>
舞台はシチリアの王宮。
シチリア王は親友のボヘミア王と自分の妃ハーマイオニの関係を疑い、嫉妬のあまり妃を投獄。
その上、生まれたばかりの王女パーディタをボヘミア王の子と思い込み、遠い荒野に捨ててしまいます。
子どもを失ったハーマイオニは悲しみのあまり死んでしまいました。
家族を失ってやっと自分の間違いに気付いたシチリア王は、後悔の毎日を過ごすこととなります。
一方、荒野に捨てられたパーディタは羊飼いに拾われ、16年の歳月の後美しく成長し、
あのボヘミア王の息子フロリゼルと恋に落ちたのでした・・・。(華のん企画より)

『冬物語』はりゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ、蜷川さん演出のさいたま芸術劇場シェイクスピアシリーズに続き、今回で3回目。
この作品は、突っ込みどころも多いのですが、舞台としては、とても面白い物語なんだと思います。
近年に「ロマンス劇」と分類され、作品として評価が見直されているようですね。

今回の展開は、かなり喜劇の要素が多く、面白かったです。
笑うところが多くて、楽しい舞台でした。

ところで、このカンパニーの舞台は、今回初めてでした。
数年前に、NHKだったかな?「マクベス」のオンエアを観て、興味を持ち、絶対行きたいと思っていたのです。
机と椅子だけのシンプルな舞台、黒のマントの集団、シェイクスピアに似せた人形がストーリーテラーになり、巧みに手拍子を使い、少人数で何役もこなすという個性の強いカンパニーです。

今回の『冬物語』の展開も見事としか言いようがありません。
非常に質の高い舞台でした。しかも、楽しくて面白い。
カテコでもかなりの拍手で、演出の山崎さんもシェイクスピア人形も満足した清々しい笑顔でした。






黒い十人の女~version100 ℃~

2011-06-05 23:46:25 | 舞台・ライブ
初夏の気持ちのいい晴天、行ってきました。青山円形劇場。

濃密でスリリングな舞台でした。

「黒い十人の女~version100 ℃~」
青山円形劇場 6/4 Gブロック
オリジナル脚本: 和田夏十(映画『黒い十人の女』市川崑監督)
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
キャスト:峯村リエ、松永玲子、村岡希美、新谷真弓、植木夏十、安澤千草、皆戸麻衣、廣川三憲、藤田秀世、中越典子、小林高鹿、奥村佳恵、緒川たまき、みのすけ 他

一言で表現すると「一人の男と十人の女の愛の葛藤」
優しいのか優しくないのか、やり手なのかダメ男なのか・・つかみどころのない、まさに名前のとおり風のような男。
どんな状況でも、すり抜ける、丸く収める、逃げて行く。
そんな男に振り回される9人の女たちに妻が加わり、10人。
いっそのこと、殺してしまえということになる。

この黒い10人の女を演じる、ナイロンの女優陣プラス客演の中越典子ちゃんとたまきさん、なんとまあ、それぞれいい味出してました。
演出でのキャラクター付けがしっかりしていて、それをきっちりこなす女優陣の実力が凄い。
アタシの好きなリエさん、今回はどっしりキモのすわった妻の役。貫禄十分でした。
コメディエンヌとしてのリエさんが大好きだけど、今回のお笑い担当は、たまきさんでした。
いや~、空気読めないめんどくさい系の善人役、面白かった。

小林高鹿さんも初の客演でした。
過去に何度か観たことあるけど、今回、最高によかったと思います。
かっこいいけど、オモシロイ!

青山円形劇場って、円形の舞台で、取り囲むように客席が舞台に密着しています。
今回、席もよくて、ほんとに間近に役者さん達を観ることができました。
いやはや、皆さん、ほんとにキレイ。
あの小さな舞台であれだけの数の役者を次々、登場させ、寸分の狂いもなく流れるように動かして行く手法、素晴らしかったです。
映像も今回は切り絵なども使っていて、スタイリッシュの中にも昭和っぽいテイストがあって、楽しかったです。


「黒い十人の女」というオリジナル作品は未見ですが、シニカルでアイロニーに満ちたドライな作品を予想していました。でも、実際、そうでもなかったです。
妻が夫と関係する女性達を集め、殺す相談をするけど、密かに夫と別の展開の話が進んでいて、この際、9人の女達を手を切ろうとします。

ピストルには実弾が入っているけど、夫は空砲にかえ、それを妻にいうタイミングがないまま、計画が進んでいきます。
結局は、夫が生きているとわかってしまい、別荘に囲うことに。
男を軟禁状況に囲って、好きなときに会いに行くという、過去の立場と逆転する状況を作りだします。
女たちは、やがて興味を失い、男からの呪縛から解放されるっていうことなのかな??
ただし、男が10人の女達を翻弄していたわけではなく、女たちはむしろ、自分で自分をがんじがらめにしてきたのでは?
つまり、風という男は、誰のことも束縛せず、去る者追わずといったただの女たらしだっただけなのだ。
女達は勝手に、いらいらし、やきもきし、策略を練り、なんとか男を自分のものにしようとしたけど・・・

女は身勝手な上に、とってもコワイってことですか。
そのとおりですね。


散歩する侵略者

2011-05-30 00:28:01 | 舞台・ライブ
最近、欠かさず観に行っているイキウメの「散歩する侵略者」を観劇してきました。

「散歩する侵略者」
シアタートラム 5/28 H列
作・演出:前川知大
キャスト:浜田信也、盛 隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下 創、窪田道聡、大窪人衛、加茂杏子、 安井順平、坂井宏充

1/29に「ゾロ ザ・ミュージカル」を観て以来の観劇です。
震災の影響もありましたが、このところ、先の予定がなかなかはっきりしないこともあり、そうなると、2ヶ月も3ヶ月も前にチケットの申込みもできず・・・
ということで、久々の舞台。

この作品は、2005年に上演され、今回は再演とのこと。
アタシにとっては、初見です。
なにしろ、前川ワールドにハマっていますので、楽しみ楽しみ。

イキウメの作品は、なにやらSFチック。非現実的なことが、日常の人間の心や行動、生活の中になぜかぴったりはまり込んで展開していくというもの。
うんちくめいたものはなく、そのかわり、人間の普遍的なものを突きつけられるような作品で、毎回驚かされ、時間があっという間です。

今回、展開が見事でした。
侵略のため調査にきた「宇宙人」が、人々からいろいろな概念を奪って行くという話です。

ある男が3日間、行方不明となり、見つかったときには人格が変わっていた。
頭脳に障害はないようだが、いろいろな「概念」を失ってしまっている。
「家族」や「妻」という言葉の意味はわかるが、概念がまったくわからず、幼児のようになってしまった夫に対し、妻や妻の姉夫婦は面食らいながらも面倒をみようとする。

「まじめ」に取り組む人々を軽視し、戦争で世の中がリセットされることを望んでいたフリーターは、「所有」の概念を失い、反戦運動家になってしまう。
「禁止」の概念を失った医師も面白い。過去の(医師として禁止するという)習慣のため、「禁止」の概念を失ったあとも、習慣でかろうじて禁止することができる。

ラストは、妻から「愛する」概念を奪った夫。
夫とはいえ、中味は夫の体を奪った宇宙人。「愛」の概念を知らず、妻からその概念を奪い、初めて愛を理解する。
しかし、妻は、愛の概念を失ってしまった・・・という、かなり重い結末。

人が持つ「概念」というのは何だろう。
「概念」を失ったら、人はどうなる??
なんてことを、突きつけられたような衝撃がありました。

いいなぁ、前川ワールド。
FSチックな話の中に、きっちり普遍的な人間の心が描かれています。
前川さん、哲学専攻だとか。(哲学なんて先攻する人の顔が見たい・・的な立場のアタシ

今回、お気に入りの安井さん、少々控えめ。脇役でした。もちろん、独特のいい味だしてましたけど。
そのかわりに、中学生を演じた大窪人衛くんが驚くほどの怪演。非常に強く圧倒的な存在感を放っていました。

トラムは超満員。立ち見席もずらっと。

チラシの中に前川さんの次回作がありました。
現代能楽集『奇ッ怪 其ノ弐』
キャスト:仲村トオル/池田成志/小松和重/山内圭哉/ほか

うわっ、これは面白そうなキャスト。


ゾロ ザ・ミュージカル

2011-02-01 00:10:34 | 舞台・ライブ
「ゾロ ザ・ミュージカル」を観てきました。
ロンドン・ウェストエンドのオリジナルプロダクションの公演では、2009年ローレンスオリヴィエ賞5部門ノミネートされた注目の作品。
フランス・パリ、ロシア・モクワス公演に続き、日本でも上演になったそうです。



初・ミュージカルです!!

正直、ミュージカルなんて・・・普通の会話からいきなり歌っちゃうなんて・・・へんだよね、へんに決まってる。
みたいな気がして敬遠していたのですが。
と同時に、きっといい舞台を観たら嵌っちゃうだろうなという気持ちもあり、あえて避けていたのです。

とかなんとか言ってないで、やっぱりナマのミュージカルを観てみたいなぁという気持ちが高まり、今回、初めて体験してきました。

面白かった~~

いい作品を観ることができ、大満足でした。


「ゾロ ザ・ミュージカル」
日生劇場 1/29 2FA列
キャスト:坂本昌行、大塚ちひろ、石井一孝、池田有希子、我善導、上條恒彦 他


2階席ですが、実際には3階席。でも最前列だったため、舞台全体を見渡せ、とても観やすかったです。
日本人のキャストに加え、海外からのフラメンコダンサーが5~6名、フラメンコのギタリストも加わり、素晴らしいパフォーマンスに魅了されました。

空中アクションなども見応え十分、笑いの要素もいっぱい。アクションもキレがあり、仕掛けも凝っていて、舞台の照明など、すべてにおいて見応え十分でした。
ザンネンだったのは、上条さんの声の調子が悪く、歌わなかったこと、セリフもいつもの迫力の半分もなく、どうしちゃったんだろうと思いました。
ナマの舞台っていうのは、キビシイものですね。ご本人が一番、辛いんじゃないかと思いました。

あと、もう一つ、違和感があったのは、曲が日本語訳で歌われていたこと。
ジプシー・キングスの曲を使っているのですが、アタシはけっこう好きでよく聴いているのです。
全部、原曲のまま歌って欲しかったけど、仕方ないでしょうね。オマエ、歌えるのかってきかれたら、ムリですもん。

ところで、主役の坂本昌行って、V6だそうです。
正直言いまして・・・V6って何??というほど失礼なアタシ。
「SP」というドラマを観てたから、V6のメンバーの一人が岡田クンっていうのは知っていました。
でも・・坂本クンというのは、まったく知らなかったのですが、何とまあ。りっぱに主役を演じていました。

声がいいし、立ち姿もよく、十分笑いも取れて、アクションもキレがあり、軽快でした。
カテコの笑顔も爽やかで、好感度一気にアップ。
舞台に立って花があるということは、主役として大切なこと。
自分で希望して、オーディションまで受けて、主役を勝ち取ったそうです。スバラシイ

最後、カテコではフラメンコダンサーひとりひとりのパフォーマンスがあり、1階席はオールスタオベ、2階席も半分くらいは立っていました。
盛り上がって、楽しかったぁ!!

時計じかけのオレンジ

2011-01-17 01:09:36 | 舞台・ライブ
今年になって初めての舞台「時計じかけのオレンジ」を観てきました。

赤坂ACTシアター 1/10 E列
原作:アンソニー・バージェス
上演台本・演出:河原雅彦
キャスト:小栗旬、橋本さとし、武田真治、高良健吾、山内圭哉、桜木健一、キムラ緑子、吉田鋼太郎 他

今回、カメラ持って行くの忘れました・・・
夜のイルミネーションもきれいだったのに。ザンネン

とはいえ、席はE列。
ナマ栗のナマ歌、そしてナマお尻。 うわっ、品がないぞー

この作品は、スタンリー・キューブリックの映画としても有名で、どんな舞台になるか楽しみだったのです。
極悪非道の不良のリーダー・アレックスが暴力とセックスに明け暮れ、とうとう殺人を犯してしまう。
投獄されたアレックスは攻撃性を絶つ洗脳の実験台として、脳の処置を受け、正反対の性格になり出所できることになる。
かつてのワル仲間は、警察官になっており、アレックスは逆に暴力を受けるが、攻撃性を失った彼は、一方的に痛めつけられ、ぼろぼろに。
そして、助けてくれた老人はかつて、アレックスが暴力と強姦のために押し入った家の者だった。
アレックスの後悔と懺悔。
しかし、物語はそこで終わらず、脳の洗脳について「選択の自由を奪う行為」であると、政府は非難され、結局、アレックスは元に戻ることになる。
邪悪で暴力性を取り戻したアレックスの不敵の笑みで終わる。

アレックスは、いわばダークナイトのジョーカーのようなキャラだと思うのですが、何しろ、小栗旬のアレックスがチャーミング過ぎて、悪ガキくらいにしか見えませんでした。
そうなると、アレックスの暴力性、そして苦悩や懺悔もなんだか、ファンタジー色に包まれてしまって、「悪」としてのインパクトが弱かったです。

この作品のメッセージ性やアイロニーが損なわれ、娯楽的な仕上がりになってしまっているような。
といっても、けっこうエロいシーンもあり、暴力や殺人もあり、舞台美術・映像など過激な部分もあり・・・結局、何だかよくわからなかったということです。

キャストはみんな良かったと思います。
小栗旬のナマ歌やダンスは、うまいとも言えませんが、何しろキュート。
「カリギュラ」とか「タイタス・アンドロニカス」のエアロンなどの方が小栗旬の魅力も実力も高いんじゃないかと思いましたが。個人的な好みも。
最近、高良健吾にも注目しているので、どんなかなと思っていましたが、やはり目力がありますね。
この先、大物になる予感。
武田真治もうまかったなぁ。

2010年・マイベストステージ

2011-01-05 00:34:16 | 舞台・ライブ
一週間の休みも終わり、明日から仕事。
たまってるだろうな・・・
何を最初にやらなければならないか、覚えてるかしら??
ま、何とかなるでしょう。

ということで、去年のマイベストステージ発表

残念なお知らせ
マクベス
ヘンリー六世
2人の夫とわたしの事情
変身
プランクトンの踊り場
佐倉義民傳
2番目、或いは3番目
ファウストの悲劇
ジェイク・ライブ
叔母との旅
イリアス
鋼鉄番長
図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖
タンゴ-TANGO-
黴菌

去年は16本行きました。
もう少し、行きたかったかなぁ。
でも、それぞれ満足できる作品でがっかりしたものはありませんでした。

好きな作品ベスト3(順位はなし)
ヘンリー六世
イリアス
ファウストの悲劇

「ヘンリー六世」は二部構成、上演時間7時間の大作でした。
役者も豪華でほんとに行くことができてよかった舞台です。
そして、「イリアス」も見応えのある作品で、先日、オンエアされたので、じっくり観ましたが、プリアモス王(平 幹二朗)とアキレウス(内野 聖陽)のやりとりは、圧巻。芸術性の高い作品でした。
「ファウストの悲劇」は、ニナガワさんのぶっ飛んだ舞台美術と演出で大いに楽しませていただきました。

役者編
「変身」の未來君、「ファウストの悲劇」の勝村さん、「イリアス」の平さん&内野さん、そして「鋼鉄番長」のじゅんさん。
「叔母との旅」の4人も素晴らしかったなぁ。

舞台美術編
「イリアス」はシンプルな美しさ、「ファウストの悲劇」は笑っちゃうほど圧倒的な舞台美術でした。

演出・脚本編
「叔母との旅」の演出が面白くて、印象に残っています。
「黴菌」のKERAさんもさすがに役者をうまく使っていて秀逸でした。
脚本は、去年に引き続き、イキウメの前川さん。
「プランクトンの踊り場」、「図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖」両方とも面白いハナシで、前川ワールドに引き込まれました。

見逃して残念だった作品
東京セレソンデラックスの「くちづけ」。
宅間孝行主宰・東京セレソンは、今、最も泣かせる劇団と言われてるようです。
オンエアで観たのですが、ほんとにいい作品でした。
次回公演は、行ってみたいと思っています。


さて、2010年はこんな感じでしたが、今年はどんな作品に出会えるか。
チケット争奪という難関がありますが、あれとあれとあれとあれは、絶対行きたいと思っています。(あれじゃ、わからんっ!)