デトロイト

かなりきつい映画を観た。
1967年、デトロイトで起きた黒人による暴動。
もとはデトロイト市警が酒場にいた黒人たちを逮捕したことに端を発した。
略奪や放火で街全体が荒廃する。
市警の手に負えなくなり、ミシガン州の軍による厳戒体制が敷かれる。
その中で起きたアルジェ・モーテルからの発砲狙撃。

一人の黒人の青年がモーテルの窓から
警官を脅かしてやろうとして
おもちゃのピストルを撃ったことによって、
市警や州軍が瞬く間にモーテルを取り囲む。

逃げようとした一人の黒人を虫けらのように銃殺する白人の警察官。

そして、モーテルにいた若者数人を一階の廊下で壁に向かって立たせ、
誰が銃を撃ったのか一人ずつ尋問していく。

別室に入れてドアを閉めて銃を床に発射。
「声を出したら本当に撃つぞ」と脅し処刑したように見せかけていく。

壁に向かって立たされた若者たち男性は全員は黒人だったが、
バカンスで泊まっていた白人の女の子が二人いた。

彼女たちは売女呼ばわりされ、殴られ服を引きちぎられる。

この尋問の場面がメインとなるが、
果てしなく続く残虐さと緊張感にもうやめてと思わず目を背けたくなった。

ゲームのつもりでやっていた銃殺だがある警官が本当に殺してしまう。

ここから警官たちは焦って若者たちを解放する。

ここで起こったことは誰にも言うなと脅して。

結局、この事件は明るみに出て裁判がはじまるのだが、
どうなったか結末は控えておく。

ただ一つ言えるのは、
この映画で語られたということが一つの救いになったということだけ。

監督は女性とは思えないハードボイルドを描いたら天下一品の(この表現も差別的だが…)
「ハートロッカー」のキャスリン・ビグロー。

スターウォーズで売れっ子のジョン・ボイエガが
態度は大人しいが怒りを内に秘めた表情が光っていた。
そして徐々に狂気をはらんだ表情になっていく
白人警官を演じるウィル・ポールターがすごい。

2時間半は若干長いと感じるが、飽きさせない。

それにしても、トランプ政権になってから、
黒人に対する差別は
またこんな時代に逆戻りするのではないかと心配になった。