日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

大塚山古墳|長崎県壱岐市 ~壱岐島最古級の古墳~ 【壱岐の古墳探訪 ①】

2018-09-26 17:49:39 | 歴史探訪
 原の辻遺跡では予定していた以上の時間を使ってしまい、さらにその次に安国寺を訪れたことにより、時刻はもう16時50分になってしまいました。

 しかしそれでも九州は日の入りが遅いのでまだ空は明るいです。

 もうちょっと頑張って、大塚山古墳を見に行きましょう。

 地図を頼りに、山道へ入っていくと・・・

 うわ、かなり道狭い。



 でも今日は軽自動車を借りているので、これくらいへっちゃらです。

 普段乗っているダスキンカーも軽なので運転には自信がありますよ。

 では進みます。

 と言いつつも、少し進むとデンジャラス度が閾値を越えたので、この辺で車から降りて歩いていきましょう。



 おや、階段が現れました。



 事前に見てきた資料では「公園として整備されている」と書いてありましたが、確かに階段はありますが、公園のような趣はありませんね。

 よし、もうすぐ頂上だ。

 おー、墳丘!



 夕刻の森林で一人ほくそ笑みます。

 でもやっぱり、これは公園じゃないよね。

 説明板はきちんとありますよ。



 ここに書いてある通り、直径14m、高さ2mの円墳ですが、直径14mにしては大きく見えるのは、もともとの地山のてっぺんにあるからです。

 また、大塚山古墳は壱岐で最も古い古墳と言われていますが、2012年に刊行された『壱岐の島の古墳群~現地調査』によると、大塚山古墳よりも早い、5世紀前半の可能性のある古墳が見つかっています。

 そのため、今後は「壱岐最古の古墳」とは言えなくなると思いますが、それでも島内で古い部類に入ります。

 お、石室が開口している。



 でも中に入るのは難しい・・・

 カメラを突っ込み撮影。



 写真にはおさめることができませんでしたが、5世紀代の古墳の特徴としてこの石室をあげることができます。

 この石室は「竪穴系横口式石室」と呼ばれる北部九州で少し見られる珍しい石室で、竪穴式から横穴式に移行する過渡期に造られた石室です。

 つまりは、石室自体は横穴式なのですが、入り口部分が竪穴式という面白い石室なのです。

 口で言っても分かりづらいと思うので、福岡市博物館で展示してある福岡市西区の鋤崎(すきざき)古墳の説明をご覧ください。



 まあ、こちらは前方後円墳なのですが、イメージは掴めたでしょうか。

 先ほど説明板に墳丘の高さは2mとあり、かなり低い印象を持つと思いますが、大塚山古墳はもともとの山を利用しており、石室も「竪穴系横口式石室」なので低くても構わないのです。

 構築する際の労力も削減できていますね。

 では、降りましょう。



 今日はあとは宿へ向かうだけです。

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