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山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

ボヘミアン・ラプソディと猫

2019-01-31 07:15:02 | 音を楽しむ

 

遅れましたが、年末にボヘミアン・ラプソディを見ました。

私、Queenは全く聴いてなかったのですが…なんだか気になって、見たいな~と思っていたのです。

そんなある休日、意外な友人からこの映画を絶賛するメールが届き、すぐに行ってみました!

Queenというと、とっても濃~いフレディ・マーキュリーのオーバー・アクションなイメージが強かったのですが(そのため生理的に聴く気にならなかった…という人と今日話した)、映画を見ると、その秘められた思いに気づかされました。

フレディの祖先は、ペルシャ(イラン)の国教的地位だったゾロアスター教(紀元前6世紀~!)徒なのですが、イスラム教の興隆により(7世紀頃)、裸一門で追い出されてインドへ…その後イギリスに辿り着く…と、かなり複雑な境遇だったそうです。

同じ人間なのに、世界は進歩しているはずなのに、現代でも人種や宗教、ジェンダーなどによる差別や迫害はなくならず、無力な人々ほど何も言えず社会の隅に追いやられてしまいます。

でも、そんな多くの犠牲を背負った人々の中から、外側からの有無を言わせぬ暴力や即効力でないものが、時や国境を超え生まれてくるのでしょう。

 

ブライアン・メイも、おそらくフレディ家の苦難をふまえて、インタビューの中で「僕は壁ではなく橋を作りたいんだ」と語っているのでしょう→ブライアン・メイ単独インタビュー

映画でもベースってカッコイイな~と思うシーンがありましたが、ベーシストのジョン・ディーコンはファンク入れ込んでいて、ロジャー・テイラーのヒーローはジョニ・ミッチェルやボブ・ディランだなんて!…もっとQueenを聴いてみようと思いました→ロジャー・テイラー単独インタビュー

 

そして、フレディ・マーキュリーは、猫が好きだったんですね!

映画では、猫好きにはたまらないシーンが何度かあるので、猫好きにもオススメかもしれません(短い癒しパートとして登場――猫のあの音が映画館全体に響きます!)。

ちょっとだけ、この映像にも猫シーンが……

そう言えば、猫の祖先と推測されているリビアヤマネコも中東(北アフリカ~中東~西アジア)に生息していましたね。

およそ一万年前のメソポタミア(現在のイラク中心部)で、穀物を栽培するようになったら、それを目当てにネズミが増え、困っていたらリビアヤマネコが集まってきてネズミをパクッ!…という流れで人に飼われるようになった、と考えられています。

ヨーロッパやアフリカそしてアジアをつなぐ中東とは、石油もあるし、とても複雑で、歴史的なことがたくさん起こっているのですね。

 

フレディは毎日多くの人々に囲まれていても、精神的にはけっこう孤独だったのかな~とも感じました。

彼のルーツやジェンダーは、自分でも訳がわからないほど混乱して理解不能だっただろうし、理解するふりをして近づいてくる人ほど彼を利用しようとするだけだったり…マイケル・ジャクソンもそんな感じでしたよね。

 

それにしてもBohemian Rhapsodyは、すばらしい曲ですね!

Queen - Bohemian Rhapsody (Official Video)

なんとなく聴いたことがあったけれど、きちんと聴いてみると、長さを感じさせないし、なんだかサージェンド・ペパーズを思い出すカラフルなサウンド!!

歌詞も調べてみると、人種や宗教そしてジェンダーなど、あらゆるジャンルの間を揺らぎゆく心が、とてもうまく表現されているように感じました。

その揺らぎの中で、それぞれ異なった壁で隔てられてゆく私たちの、いつもは意識していない心の奥底をつなぐ橋となってくれるのでしょう!

 

歓声などもあげていいライブ形式の映画館もあるらしく、友人なんて4回も見に行ったそうですよ!

いつまでやっているのかはわかりませんが、映画館で体感するのがオススメです!!

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Ventriloquism

2018-07-23 20:07:12 | 音を楽しむ
カヴァーズ~ヴェントリロクイズム
ミシェル・ンデゲオチェロ
Pヴァイン・レコード

遅れましたが、ミシェル・ンデゲオチェロの最新作です。今回はカヴァー曲のみですが、Ventriloquism(腹話術)というタイトルから、より身体性を込めたカヴァーを試みたのでしょう。

まず私の心をグッととらえたのはAtomic Dog 2017……Pファンクのリーダーであるジョージ・クリントンの曲なのですが、とても重要な曲だと感じました。

レッチリのフリーも大絶賛のギタリスト/ブラックバード・マックナイトの奥さん(日本人!)によるこの曲の解説を読んで、その感覚が間違っていないことを勝手に確信!!

Pファンク元ネタ特集-Atomic Dog

 前作で参加していたドイル・ブラムホール(近年のエリック・クラプトンの右腕的存在)とミシェル・バンドのクリス・ブルースのギターがいい感じです。

 

原曲に忠実な感じのカヴァーの中ではDon't Disturb This Grooveが好きですね。

シャーデーの名曲は、原曲とずいぶん異なり、スムースでないSmooth Operatorという不思議?

 

TLCのWaterfallsは、滝から急落するように麻薬に溺れていく人々への曲です。

この曲は『We're The Millers』(邦題/なんちゃって家族)という2013年のコメディにかなり重要な意味で使われています。

なんちゃって家族 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産)2枚組 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ

ブラピの元奥さんジェニファー・アニストンも出ているこの作品は、麻薬の売人が主人公のお下劣ストーリーなのですが、真面目過ぎない人であれば、ちょっと?引きつつも、けっこう笑えると思います。

おそらく本当に麻薬などに溺れる人は、クソ真面目なだけの麻薬反対ストーリーなんて見たくもないでしょうから、下ネタや世相を皮肉ったユーモアで心理的ハードルを下げているのでしょう。

印象的だったのは、主人公が床屋さんで髪型を真面目そうな雰囲気に変えようとするシーンです。

このシーンを見ると、日本人より自由でポジティブにビジネスを楽しんでいるイメージのアメリカ人も、クソ上司や長い通勤時間そして思い通りにいかない子育てや夫婦間など、多くは日本人と大差のない抑圧と混乱の中で生きているんだな…とちょっと意外な共感からムフフとなる人も?

こういう過激なユーモアがアメリカのすごい所だとは思いますが、人によってはかなり過激かもしれないので、頭の固い人は決して見ないで下さい!!

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Paradise & Lunch

2017-05-31 20:13:20 | 音を楽しむ
パラダイス・アンド・ランチ
ライ・クーダー
Warner Music Japan =music=

今回のオススメは春~秋にかけて合いそうなこのアルバムです――学生時代に教えてもらったのですが、今でも時々聴きたくなります!

ライ・クーダーはギタリストとして有名であり、歌唱力の方はビミョーと言えます。でも、そののんびりした歌声は、歌が上手い人にはない人当たりの良さを感じます

このアルバムでは、そんなある意味で軽い歌声とボビー・キングら黒人たち(かなりのベテランもいるようです→Harmony Lane: Mumford/当時は糖尿病を患っていたようです)による重層的なコーラスが、なんとも絶妙なハーモニーを響かせているのです!

 

1曲目のTamp 'em up solidは伝統的に歌い継がれていた曲らしいのですが、日本版CDの訳を読んでもなんだか意味不明? 調べてみたら、日本版の原文自体に誤りが多いようですねMoneyMondayになったりしている)。

そして、こちらのブログを発見!→ブルブル ブルース(Blues

この曲は、ほんわかしたムードで歌われていますが、実は原野を切り開き鉄道を作っていった人々…過酷な肉体労働をするしかなかった黒人たちが、その耐え難さをまぎらわすために歌い継いでいったワーク・ソングだったようです。

長年聴いていても気づかなかったのですが、ちょっと調べてみると、想像以上に重い意味が込められているようにも感じましたhttp://voices.pitt.edu/come-all-ye/ti/2006/Song%20Activities/0405PekarWhittakerWorkSongs.html)。

仕事で大変な時は、この曲を脳内再生しましょう!

 

2曲目のTattlerは、ゴスペルの父みたいな存在であるワシントン・フィリップスの曲とのこと原曲(You Can't Stop A Tattler)はパート1と2があり、パート2の前半の歌詞とパート1の後半の歌詞にサビの歌詞をオリジナルで付け加えたようです。

この曲もすごくいい曲なのですが、ストリング・アレンジはイタリア系のニック・デカロだったんですね(ライ・クーダーのお母さんもイタリア系のようです)!

Tattlerは「おしゃべり屋」とか「告げ口屋」という意味のようですが、サビの歌詞のおかげで原曲とは違った奥行を持つ「おしゃべり屋」になっているように思います。

 

それにしても…あれ?このスペルはどこかで見たぞ!

 

……と思っていたら、谷津干潟でもらった野鳥のパンフレットにキアシシギ(Grey Tailed Tattlerと書いてありました! 辞書にもTattlerの所に―〔鳥〕キアシシギ――とありました。 

キアシシギはけっこうよく見かけるのですが、写真を探したら、こんなのしかありませんでした。

一番奥にいるのが、キアシシギだと思います。左手にいるのは、オバシギかな?

右側にいるウミネコの顔がちょっとコワイですね――これは三番瀬で撮った写真です。

確かにキアシシギっておしゃべりだったように思います。でも、風を感じながら、晴天の干潟に響くその声を聴いていると、とても心地良かった記憶がありますね。

 

これは谷津干潟で撮った写真を拡大したものです――黄色い脚が見えますね。

 

話を『Paradise & Lunch』に戻しますが、このアルバムの曲全部いいんですよね!

ボビー・ウーマックのIt's All Over Nowもバート・バカラックのMexican Divorceも大好きです!

こういうネガティブなタイトルの曲なのに、やけに明るいレゲエ調だったり、悲しみの中にも滑稽さを感じさせてくれたり、なんだか不思議なアルバムです。

(ケルアックの『オン・ザ・ロード』でも言及され、チャップリンやマリリン・モンローなど著名人が行なったというMexican Divorceの本当の意味もおもしろいですね→Mexican_divorce)

最後の曲Ditty Wah Dittyは、ジャズ・ピアノの父と呼ばれるアール・ハインズとの共演……当時70歳くらいだったハインズの粋なピアノと27歳くらいだったライ・クーダーのギターで時をつなぎ合う名演となっています。

私はハインズについてよく知らないのですが、このアルバムだけはありました(中古しかないのかな?この前、山野楽器で新品が1000円で売ってたのですが…)。

ヒア・カムズ
アール・ハインズ,リチャード・デイヴィス,エルヴィン・ジョーンズ
SMJ

1966年に録音されたこのアルバム(ハインズは当時62歳)は、ドラムはエルヴィン・ジョーンズ、ベースはリチャード・デイヴィスと角も取れつつ、キレがある30代後半のミュージシャンとの共演なので、レトロなムードの中にも新鮮さを感じさせてくれます。

エルヴィン・ジョーンズは好きなジャズ・ドラマーなのですが、私はPerfumeの曲で有名となった「ポリリズム」という言葉を、この人から知りました

コルトレーン・カルテットのドラマーとして有名ですが、「グル(聖者)になりたい」と語っていたコルトレーンと方向性が合わず、この録音の数日後に脱退したそうです。

 

そんなわけで『Paradise & Lunch』は、ジャズにもつながる拡がりを持ったアルバムなんですね。

ブルースやゴスペルなど黒人音楽のルーツとなるような曲などがカバーされているアルバムなのですが、元祖たる黒人バージョンだと、それが本物であるがゆえに心情もサウンドもへヴィーで、消化不良を起こしてしまう人もいるように思います(胃腸が強い人には、その濃さがたまらない魅力!)。

その点このアルバムは、黒人音楽を下地にしながらも、白人と黒人が協力することで、重過ぎず軽過ぎない絶妙なバランスを取ることができたのでしょう(胃腸が強くなるきっかけとなってくれるアルバムとも言えそう)。

いつの時代も、どの業界も最先端や最新系ばかり絶賛する人が多いですが、そういう一面的思考はバカの一つ覚えとなって…古臭さ以上に胡散臭さを放つ不思議な構造のマンネリ化へ?!

(技術は進歩しているという割に、最先端デジタル系よりもLPレコードの方が音がいいと言う人がいるのは…最先端PC業界でさえ、最新なはずのWindows10は使えないとかバグが多いとか言っている人がいるのは…なぜ?)

時を経るほどにネタも減る中、本当に画期的なものなんて、実はめったに生まれてませんからね!だから、このようなアルバムを作るアーティストが出てくるのだろうし、その生身を使ったアプローチが我々の心に――最新のものとは違う意味で――新鮮に響くのだと思います。

Marrid Man's A FoolやFool For Cigarette/Feelin'Goodなどのブルースは、スライド・ギターのボーダレスな響きがカッコイイんです! これらの曲は、時代を超えて漂う憂鬱を笑い飛ばし続けてくれるでしょう!!

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Fantôme

2016-12-16 19:45:14 | 音を楽しむ
Fantôme
宇多田ヒカル
Universal Music =music=

 いいですね~このアルバム…いろんな意味ですばらしいサウンド!!
参加ミュージシャンは誰だろう?とチェックしてみたら…この中の5曲でドラムを叩いているのは何と!ミシェル・ンデゲオチェロの『Comet,Come To Me』に参加していたシルヴェスター・アール・ハーヴィンではないですか!!

宇多田さんは、マックスウェルも好きだったはずなので、勝手にシンパシーを感じてはいたのですが…いや~いいドラマー使いますね!

 

この驚きを深く強くしてくれる、ちょっとした思い出が私にはあるのです。

ずいぶん前の話ですが…R&B系ミュージシャンであるジョーのライブに行った時、ライブ途中でなぜかジョーが「あの曲いい曲だよね~俺も大好きなんだよね~!どういうフレーズだったけ?」みたいな感じで語り始めたのです。

そして、宇多田さんの名曲First Loveのサビを歌い出し、観客にも歌うように促しました。

「なんのこっちゃ??」と私を含めた観客は最初、戸惑っていました。

私たちは歌いながら「まさか…?」という期待を抱き始め、しだいそれが大きくなっていきました…しかし出てきたのは別の女性…その女性が歌った後もみんなで歌い続け、さらにしばらくすると……

 

とうとう宇多田ヒカルさんがステージに登場し、ほんの少しだけ歌ってくれたのです!!──場内は大興奮!この夜一番ホットになった瞬間でした!!

 

正直言ってジョーのライブ自体は、連れてきたバンドもあれれ?な感じで…別の日に行った知り合いなんて途中退場してしまったくらいだったんですけどね。

宇多田さん自身は、風呂上がりにサンダルで来たみたいな格好だったことをお父上にからかわれたそうなので、かなりの想定外のムチャ振りだったようです(当時のHikki'sブログ)。

でも当時はHikki発と言える空前のR&Bブームだったので、そこにいた私たちには今でも胸を熱くしてくれる素敵な思い出となっています!

(見ないと思うけど)宇多田ヒカルさん、ありがとうございます!!

ちなみにジョーのオススメなアルバムは、スキンヘッドで日本人受けが悪そうなのでジャケット写真が下のものに差し替えられた?この出世作ですかね(ニューアルバムが出たばかりのようですが、近年のアルバムは未聴)。

All That I Am
Joe
Jive

 

オール・ザット・アイ・アム
ジョー
エイベックス・トラックス

ラブ・バラード中心のR&Bですが、ゴスペルをルーツに持ったいい声してます!

見た目だけで却下しないで、聴いてみて下さい!!


 

宇多田さんの『Fantôme』に話を戻しますが、まず私の心を捉えたのは、男と女の狭間で混乱している人の気持ちを歌った「ともだち」という曲……NHKの番組にて、意表を突く感じでリズミカルに入ってくるホーンセクションを耳にし、思わず「おおっ!」と声が出てしまいました。

リズム・ギターやその他のリズム楽器の使い方もカッコイイですね!

タンバリンやマラカスなどのリズム楽器ってシンプルだけど…いくらリズムを複雑にしても平面的になりがちなプログラム音みたいなものに比べ、なんだか曲を生き生きさせてくれる感じがします(Atoms For Peaceもそうでしたね)。

この曲のコーラスで参加している小袋成彬さんは、水曜日のカンパネラに楽曲提供もしているんですね──これからのさらなる活躍が楽しみです(小袋さんのサイト)!!

そう言えば、マジメにアホなことをやってる水曜日のカンパネラのコムアイさんは(ウチの子が「ドラキュラ」にハマっている!?)、ディアンジェロとか聴くんですね。

ちなみに宇多田さんも1歳のお子さんと一緒にディアンジェロやクラシック音楽など(すごい組み合わせ!)を聴いてるそうです──おそらくマックスウェルも聴いてますよ!

グラミーを受賞したディアンジェロの近作などは、慣れない方にはちとヘヴィーかと思われますので…最初に聴くオススメは、このデビュー・アルバムですかね?

ブラウン・シュガー
ディアンジェロ
ユニバーサル ミュージック

ディアンジェロのルーツもゴスペルで(共に親が牧師)、HipHop的感覚もあるサウンドですが、いわゆるラップではなく、それっぽい所も歌とのビミョーなラインを行き来する感じがします

憂いを感じさせる歌声は、ファルセットも含めてとても魅力的です!!

マッチョで危険な気配も漂うアーティストですが、肝っ玉母さん系のアンジー・ストーンに食べられちゃったくらいですから…けっこうオキシトシン・プアで、繊細かつ真面目なのでは?

期待されればこそ!とも言えるのでしょうが、出来上がってしまった虚像に苦悩しているアーティストも多い気がします。

ジャズ・ギタリストのマーク・ホイットフィールドやフュージョン系?ベーシストのウィル・リーなどが参加していて、Jazzyな曲もあるのですが、そういったお洒落な雰囲気だけで終わらないブラック・ミュージックの深みが感じられるアルバムだと思います。

 

またまた話しを戻しますが、幅広い世代に響きそうなトーンで歌われる「花束を君に」は、親しい人を亡くした身に沁み入る名曲ですね。

「道」や「真夏の通り雨」、よく聴いてみると…波打つような2つのドラムにハープの調べがきらめく「人魚」もお母さんへの思いなくして生まれ得なかったように感じます。

これらの曲を聴いていると…亡きものとの思い出がオートマティックに浮かび上がり、ふとした瞬間…そこにいつもいることを気づかせてくれる……そんな気がしました。

 

なるべくなら回避したいけれど、いつかは必ず訪れてしまう親しいものの死……私も今年は、いくつかの悲しい別れがあったので…そのただ中にいる人への気安い言葉など浮かびません。

宇多田さんのお母さんレベルとなると、一般的な感覚では計り知れぬ所なのですが…くっついたり、はなれたり…誰の母も父も他人には語り得ぬ混乱を抱えている……だからこそ、そんな不完全なものたちの暗がりに、光の音が強く差し込んでゆくのでしょう。


このアルバム…勝手ながら歌詞も当ブロク向きで、他にもいい曲ばかり!!

いろいろと引用したい所なのですが、最後に一カ所だけ……


毎日の人知れぬ苦労や淋しみもなく

ただ楽しいことばかりだったなら

愛なんて知らずに済んだのにな 

               「花束を君に」より

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ボブ・ディランがノーベル文学賞!

2016-10-14 20:31:14 | 音を楽しむ

いや~びっくりしました!このタイミングでボブ・ディランがノーベル文学賞とは!!

Wikiにはノーベル文学賞候補になっているとか書いてありましたけど、私が書きたかったのはそういうキラキラにダマされないでね!…っていうことだったので、あえて書かなかったのです。

ノーベル賞といえば、権威好きな日本人には?最高峰のキラキラ度ですもんねぇ

でも、私が言いたいのは、権威とかがあってもハッタリだけのことも多いってことで、権威やキラキラが絶対ダメ!と言っているわけではないのです。

ノーベル賞やグラミー賞などというのは表面的なことであって、それを受賞しようがしまいが本当にすごい人はすごいんですから!

さらに言えば、受賞していない人の中に受賞したある種の人たちよりもすごい人がいるってことに気づいてほしいですね。

 

そんなこんがらがった思いはあるにせよ、私も心からすごい!と尊敬するディランの受賞を祝福したいと思います。                              

 

祝福ついでに、いくつか紹介します。

 

はじまりの日
 
岩崎書店

ディラン後編でもふれたForever Youngという曲は人気があり、絵本にもなっているんですね。

イラストを描いたポール・ロジャースは、何かと問題発言が多いが一理ある?ジャズ・トランペッターのウィントン・マルサリスと一緒に絵本を作っています(英語版のみ)。

翻訳は、エリック・カールの作品なども訳しているアーサー・ビナードさんです。

 こちらのブログ(http://d.hatena.ne.jp/redballoon/20130216/1361033740)によると、Foreverは「永遠」ではなく、「いつ、いかなる時も」、Youngは「若々しい」ではなく「はじまり」であり、「いつまでも若く」ではなく、「いつでもまた出発できるさ」という意味で「はじまりの日」なんだそうです。

ネイティブでないと微妙なニュアンスはわかりませんね? でも、いろんな解釈ができる方がおもしろいと思います。

まあ、こういうシンプルな原文は、ナイト キャット & ビジー ドッグのように英文も一緒に載せた方がいいのでは?

巻尾にあるポール・ロジャース自身の絵の解説には、ディランにまつわるミュージシャンなどが出てきておもしろかったです。

 

オー・マーシー
Bob Dylan
Sony Music Direct

この作品は、U2の作品などで有名なダニエル・ラノワがプロデューサーなので、U2好きにオススメかな?

ラノワの弾くペダル・スティール・ギターがいい感じの曲や、Everything Is Brokenみたいな笑えてストレス解消になりそうな曲があります。

 

ネット上の様々な記述を読んでみると、ディランファンの中にも、結局は評論家などの権威の受け売りのようにしか感じられない人もいますから、そういうのに反発したくなる人もいるのでしょう(権威アレルギー?)。

それでもディランは、何度聴いても良さがわからないと感じつつ、何かすごい人な気がするし、いつかわかるようになりたいと思わせる何かを持っているアーティスト!

気になったらでいいから、何度でも歌詞も読みながら聴いてみて下さい!!

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