山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

セイタカシギ と 谷津干潟

2016-09-30 19:52:54 | 花鳥風月

これは習志野市にある谷津干潟自然観察センター(お子さんは中学生まで無料!http://www.seibu-la.co.jp/yatsuhigata/)の近くにあるケヤキの樹です。

谷津干潟は都市開発の波に押され四方を埋め立てられながらも、人々と自然の協力によって生き残っている貴重な干潟です。

何も知らないで見ると、けっこう地味ですが…都市の中にありながら、今でも水鳥を中心とした野鳥、カニなどが生き生きと暮らしているヒーリング・スポットとも言えます。

バードウォッチャーたちには有名ですが、「ららぽーと」のすぐ近くにあるのに千葉県民でも知らない人が多いのでは? 

観察センター内は、こんな感じです。

望遠鏡が所々置いてあり、様々な野鳥や亀、カニまで観察できます。

館内左方はこんな感じです――左奥が「ららぽーと」方面かな?

この日は、5月上旬で風の強い日でした。

中央から右方向はこんな感じです。

風で雲が吹き飛ばされたみたいに青空がとってもきれい!

…なのですが、潮が引いていないと、このように一見何もいない感じです。

でも、ダイサギやアオサギなど何かしらがいます。

サギなんて田んぼにもいるしなぁ……」と思った方!この観察センターから望遠鏡で観察してみて下さい!

ひっそり射程距離まで近づき、獲物にねらいをさだめて……パクッ!! 

失敗を重ねても、生きるために繰り返されるその動きやまなざしは、寝ていてもエサにありつける檻の中の生き物とはずいぶん違います――幸せとは何なのか?考えさせられますね。

黒くてクチバシの白い鳥は、オオバンですね。

でもよく見ると、他の鳥も……

 

このクチバシの長い鳥は……

 

  

チュウシャクシギでした!中心付近にいるのはキアシシギですね。

 

これは最近行った時にいた、おそらくイソシギです。

 

実はこの谷津干潟…今ではすっきりしていますが、70年代初期頃は冷蔵庫やテレビなどの粗大ゴミや産業廃棄物までも捨てられているゴミだらけの場所だったのだそうです。

臭くて汚くて埋め立てられる予定の場所だったのに生き残った物語は、以前に読んだ『埋もれた楽園』http://kc.kodansha.co.jp/buy?isbn=9784063194210で初めて知りました。

このマンガはかなり感動的で、主人公となっている森田さんは、今でも時々テレビなどに出てるみたいです。

 

しかしながら、こんな記述も……

http://www005.upp.so-net.ne.jp/sanbanze/nakayama06.html   

実際かかわっている立場からすると突っ込み所満載!というのはよくある話ですね。この話はそんなにひどくない方だと思いますが、テレビだけでなくネットや本でも、ある意味で純粋な人や目立ちたがりの人を利用し、「感動の実話」とか言って作り話以上に盛っちゃっていることが多いのです。

佐村なんちゃら氏やSTAP関係の方のように虚像にまみれているケースも少なくないのでしょうから…バレちゃった人たちも「あいつだってやってるのに…なんで私だけ…」なんて思ってたりして?

でも、互いに欠点を隠し持つ存在であるはずなのに、虚像を求めてしまっているのは…そこに群がってしまっているのは…誰?)

  

森田さんが他の誰よりも干潟のゴミ拾いなどに尽力したことは確かであっても(なんと県会議員にまでなったとのこと)、たった一人で始めた云々…というのは違う意味のようです。

まあ、私も捨てネコちゃんなどのボランティアの方々と日々接しているので…みんなで協力していると、どうしてもタイミングの悪さから生じるすれ違いや、「そこまでモメることか?」と当事者以外は思ってしまうような、こんがらがった感情の対立などがあるんですよね。

ボランティアの中には、面倒な仕事は避けるくせに仕切ったり目立ったりするのだけは好きな人や、最初は純粋だったのに?寄付金や男女にまつわるオイシイ思いを味わって?不純に変わってしまう人が少なからずいるのです。

どちらにせよ人間はみな不完全であり、一人でできることなんて限界があります。

よほどご立派な方でない限り――いけないことだとわかってはいても――ちょっとした?ウソやミエの勢いにのまれてしまったり、くだらないことでケンカしてしまったりすることがありますよね?

そんな不完全な者同士が、なんだかんだで協力してきたから今の谷津干潟があり、これからも衝突しつつみんなで協力していかないと後世に残せないのでしょう。

よく考えてみれば、そんなにぎやかな現実の方が、「一人の聖人君子が奇跡を起こした!」なんて他力本願なだけの話よりも多くの人々の希望になるのではないでしょうか。

一番頑張ったという森田さんもマンガの中で「ここまでやってこれたのは沢山の人たちがささえてくれたからですし…それにもともと干潟には自浄作用があるんです。干潟は生きようとしていた…僕はそれを手伝っただけです」と語っているのですから。 

 

それにしても、上述のサイトにある谷津干潟にかかわってきた方々の記述は、読みごたえありますね。

大きく豊かな干潟があったからこそ東京湾付近が栄えたというのに、次々と埋め立てられ…残る干潟はごくわずか。

現在の谷津干潟を何の予備知識もなく見ただけでは、当時行き場を失った野鳥たちの声にならない戸惑いや悲しみなど想像もできないでしょう。

しかし、その歴史に目を向けた上で生き残った干潟へ何度か足を運んでみれば、声にならない思いを無視することで、私たちが何を得て何を失っているのか?感じられると思います。

そして、この鳥が『埋もれた楽園』で大きくフィーチャーされているセイタカシギです

他の場所のことは知りませんが、私はここ谷津干潟でけっこうな確率で出会えています。

  

セイタカシギの脚は、ピンク色で細長く、モデルさんもびっくりな美脚!

 

  

飛ぶ姿も美しいですね! 

 

 

これは潮がそれなりに引いている時の写真です。右側2羽は少しグレーがかっているので幼鳥のようです。幼鳥の頃は脚も目立たないようピンクじゃないんですね。

この4羽が列になって何かを必死で追いかけるようなシーンを望遠鏡で見ましたが、躍動感にあふれ美しかったですよ! 

人であれ鳥であれ、生きるために躍動する姿って身体にグッと響きますね! 

これは雨の日に出会ったカワセミとアオサギです――雨でびしょ濡れになりながらも獲物を狙っていました。今年はこんな天気ばかりなので、野鳥たちも大変ですね。

フィールドノート(http://www.seibu-la.co.jp/yatsuhigata/fieldnote/)には載ってませんが、よく見ればカワセミもいますし(クチバシ以外スズメほどの大きさ)、時にゲド戦記に出てくるハイタカ、ノスリなど猛禽類にだって会えるかも!?

自然を愛する人はもちろん、なんだかモヤモヤしている人なども――自然は気まぐれなので期待しないで行った方がいいとは思いますが――「ららぽーと」方面ついでに、ぜひどうぞ!!

コメント
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