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晴読雨読、時々映画。シェットランドシープドッグ・ラズムと暮らす日々

前世 …by ラズム

2006-05-21 | special
中世スコットランド地方の貴族、ウィングローリー家の長男
ラズムⅢ世は、その気品あふれる容姿と
慈悲深い性格で、領民たちから愛されていた。

領地の見回りでは、農民と一緒に農具を手に畑を耕し、
城の見回りでは、召使と一緒に掃除用具を手に掃除をした。

ウィングローリー家の領主も、安心して
その領地をラズムⅢ世に譲って、自分は引退をしようと思っていた。

ところが、ただ一人、ラズム3世の叔父は、
ラズムⅢ世を抹殺し、自分の息子とラズムⅢ世の妹サーシャと結婚させ
その領地をつがせたいとたくらんでいた。

ある日、ラズムⅢ世が、城に戻ると
召使が具合悪そうにうずくまっていた。
「どうしたんだい?具合が悪いなら、無理をしてはいけない。
私にその掃除道具を渡して…」と言い終わらないうちに
回りにいた召使たちが、手に持っていた
ほうきをラズムⅢ世に振り落とし殴りかかった。

ラズムⅢ世が気がついたのは、暗い牢の中。
そこにいた召使が涙を流しながら
「ラズム様の叔父様に命じられたのです。
子どもたちが人質になっています。許してください。
ラズム様を殺すように言われましたが、とてもできません。
ここにいてください」と説明した。

暗い牢で目をとじると
楽しかった領地での思い出が
振り下ろされる何本ものほうきで遮断される。

何日、牢にいたことだろうか。
ある日、サーシャがやってきた。
「お兄様、召使から聞いて、助けに来ました」
サーシャに助けられたラズムⅢ世は、
叔父を領地外に追放し、
その後ウィングロー家は、領民とともに末永く幸せに暮らしたという。

時代は流れ、2004年、日本、横浜のある所で、
ラズムⅢ世の魂は、1匹のシェットランドシープドッグとして転生した。

その犬に人間ラズムⅢ世だったときの記憶はない。
しかし、今でもその犬は、ほうきを見ると
異常な興奮と怒りを覚えるらしい。