響きあうA"LIFE & ~『ピッコロの冒険』~

ピッコロの自分探し、広大な内なる意識へと冒険の旅の物語
&つれづれの内なる対話、 A"LIFE&ONENESS

ピッコロの冒険6

2007-12-03 16:12:30 | スピルチュアル 連載小説






その時、声は聞こえた。

こんどの声は前の声とは微妙に違っていた。

その声は厳かで、あたりの空気が震えるように響いた。

『此処は、いつでもお前の中にあるんだよ。此処こそ、お前の生まれ出でたところ...ふるさとなの

だから。ずっとずっと求めていた、はるか彼方への望郷の思いは、ほんとうは、此処、私に向けら

れていたのだ。

それは距離によって隔てられていず、時間によっても隔てられてはいない。常におまえと一つ

だ。』


あなたは誰?’なんだか、このまえの声とは違うよね?

『そうだな、言うなれば、層が違うってところかな。だから、と言っては何だが、少々.喋り方を変

えてみたんじゃ。』

’この前は、僕のこと君って言ってたし、それにもっと友だちみたいな口のききかただったと思う

けど..。今度は何だか神様みたいに偉そうなしゃべり方だね’

ピッコロの言葉を聞く耳を持たないとばかりに、その声は続けた。

『人は意識している自分より、はるかに壮大な存在だ。お前の中の神と呼ばれるような意識層、そ

れが私だ。今のお前が馴染んでるお前との間に、お前のハイアーセルフとでも呼べる層がある。そ

れはお前にとって、より、近しい存在だ。それはお前と私の橋渡しをして、今のお前を導き、護る

役割をするのだ。』


’じゃあ、あなたの役割って何なのですか?’

『私は、すべてが一つのところ。知恵、慈愛、創造。遍く全てを観照する意識だ。ただ在るもので

あり、宇宙の土壌とでも言うかな。

宇宙そのものであるとともに、あらゆるものの生まれでる揺籃だ。つまり、私なしでは、

宇宙もお前も、動物も、鳥も、花も木も..それぞれの私として”私は在る”、という

根源の意識は持ち得なかったのだ。』


’それって、数学や物理の原則、原理みたいなもの?’


『この観照している意識、それをまた観照し得る意識はもはや存在しないのだから、おのずと.私が

最初に在る、となれば、そこに理由や、分析をするものは居ない。によって、それは原理なの

だ。』


’そうなのかもしれないけれど、あなたが僕だってことは、信じられないなあ。だとしたら、僕の

中のどこにいるっていうの?’


その声は、言いたいことはそれだけとでも思ったのか、ふと声の響きを残して消えた。

洞窟はまた静かになり、新たな光が増えていた。明るさが増してくると、ピッコロの気持ちも、明

るくなった。


ピッコロは、これまで聞いたことを、心に反すうしてみた。

’いったい、どういうことなのだろう?自分と言うのが、いままで思っていたようなものではない

らしい。どうやら、もっといろんな自分があるらしい。自分って、どんなもので成り立っているん

だろう?’


そうか!それを探すのが冒険なんだ。未知という自分に挑戦し、それを手に入れる..。

それこそが、自分が探していたもの、その旅こそが、目的であり、生きる喜びなんだ!’

そう思った瞬間、心の深いところでかちんと治まる音が聞こえたような気がした。

ピッコロはこれから先、この旅は終わりがないだろうこと、そして、あくことなく自分を楽しませ

るだろうと確信した。身体の内に、力がみなぎって、さざなみのような波動で充された。もはや、

これまでのうなだれたピッコロではなかった。

ピッコロは生まれて初めて..自分がやるべき価値あるものを見い出したと思った。




つづく







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