受験生のための『世界史B』

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「『在日』排斥論」を批判する

2013-02-23 22:25:58 | 受験生のための『世界史B』(未分類)
今回はちょっと毛色を変えて。
シリアスな内容を。

最近、いわゆる「在日」と呼ばれる方々(日本に滞在する中国や韓国の方々)への非難(批判になっていない)をネット上でよく見かけます。
いわく、「『在日』は日本人の職を奪っている」。
いわく、「『在日』は自分の思う通りに日本を動かそうとしている」。
いわく、「『在日』は日本を滅ぼす」。
こういう意見に対して異論を述べると、すぐに「お前も在日擁護派か! 国賊は許せぬ!」なんてことを言われてしまいます。

しかし、僕は別に「在日」の方々の利益を確保しようとしているわけでも親族にそういう人がいるからそういうことを言うわけでもありません。
むしろ、僕はこの問題について体系的に勉強したことがないため、事実関係やその考察について深くは踏み込めない立場にあります。
ですので、僕がそういった言論に対して容易に批判できてしまうということは、それだけこの議論は前提からしてまちがっている、ということを示しています。

僕が「『在日』排斥論」を嫌うのは、理性的に考えて、「日本に住んでいるアジアの人」というものをひとくくりにして「あいつらは全員国を滅ぼそうとしている!」ということを主張することそれ自体に現実味を感じないからです。
「ユダヤ人は全員インチキ野郎だ!」とか「黒人はみんな怠け者だ!」とか、そんなことを叫んでしまったあとに自分がたった今使った「全員」や「みんな」という言葉がどれほどの意味をもつものなのか、彼らは振り返ってみたことがあるのでしょうか。
ほんとうに、すべての「在日」はそうなのでしょうか。

「在日」Aさんは、そうかもしれません。
では、「在日」Bさんは、どうですか。
それでは、「在日」Cさんは、どうですか。
次に、「在日」Dさんは、どうですか。
「在日」Eさんは。
「在日」Fさんは。
「在日」Gさんは。
「在日」Hさんは。
「在日」Iさんは。
「在日」Jさんは、どうですか。

しつこい。
そんな細かいことはどうでもいい。

そう言われるかもしれませんが、細かいことを気にしなくてどうするんですか。
彼らの言う「『在日』排斥論」というのは、最終的には日本に住む彼ら(Aさん~Jさん.....×n人)の日本での権利や職、ひいては生活や人生を奪うことをめざすものでしょう。
細かいことまで吟味しないまま、そんな危うい論理に突っ走ってしまってはいけません。

また、「在日」をすべて日本から追い出す、というアイデアはその具体的内容を考えてみても決して適切ではありません。
仮に、今の日本政府が彼らの意見を受け入れ、「在日」からあらゆる権利を奪い、日本から退去させたとしましょう。

中国や韓国などの対東アジア諸国関係はどうなりますか。
また、人権の無視だとして国際社会全体からも非難を受けかねません。

中国や韓国やわけのわからんやつらの意見は聞かなくていい、と言われるかもしれません。
しかし、もし「人権の無視」だとして非難された場合、それに対して有効に反論することができますか。
「『在日』はみんな悪いやつだから」では話が通らないと思います。
批判というものは、それに対して意味のある反論が出ない限りはある程度有効であり続けます。

「在日」を排斥したあとの状況こそ、日本の「亡国」ではないでしょうか。

関東大震災の後の混乱にもあったように、日本にはずっと、「『在日』排斥論」がはびこっていました。
おそらく、行政レベルではその差別意識は薄まっているのでしょう。
しかし現在は、普段はあまり表に出ないはずのそういった思想が、TwitterなどのSNSや情報ネットワークの海を通って、暴力的な形で現れています。
彼らは「『在日』はウジ虫だ」という表現が大好きらしいです。

でも、ちょっと落ち着いて考えてみてほしいのです。

「善い朝鮮人も、悪い朝鮮人も、みんな殺せ」なんていうプラカードを集会で掲げたあなたは、もし今夜実家で自分の母親から「実はウチの家は朝鮮の出身なのよ」という長年の秘密を打ち明けられたら、どうするんですか。
切腹でもしますか。
「そんなこと、絶対にない!」と言えますか。

その可能性がまったくないとして、では明日、自分のいちばんの親友から「実はおれ、『在日』なんだ」と打ち明けられたらどうしますか。
あなたは、その親友も殺すことができますか。
「そんなこと、絶対にない!」と言えますか。

あなたの恋人は?
あなたの恩師は?
あなたの尊敬するあの人は?

おそらくこれは、非難される「在日」の問題ではなくて、「在日」を非難する方々の側の問題です。

ヨーロッパでのユダヤ人迫害の歴史を、その当時の社会不安という視点で客観的に見つめることのできる現代の人間たちなら、この問題にもうまく対処するでしょう。
そう信じたいところです。

そして同時に、「在日」を非難する彼らもまた、そうした社会不安の被害者だということを覚えておかなければなりません。

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