受験生のための『世界史B』

2020/4/23 もくじのリンク切れを訂正しました。

受験生のための『世界史B』―東アジア世界[(8)前漢の文化と崩壊]

2013-02-20 12:56:48 | 東アジア世界(中国)
 「受験生のための『世界史B』」 もくじ
 ↑ここから各項目に入れます。


 大学うかりました!
 だめでした!
 
 などご報告をいただきありがとうございます。
 よくも悪くも、大学受験は人生の中のワンシーンに過ぎません。必要以上に落ち込み過ぎず、ハメを外しすぎず!笑
 国公立大学の2次試験はもうすぐですね。
 もうひとがんばりです。

 [武帝による儒学の奨励]と『史記』]

 さて、前回は前漢の全盛期、武帝さんの話をしていましたが、もう少し話を続けさせてください。

 みなさんは、高校(もしくは中学かもしれませんね)で、何を勉強しますか?
 まさか、「イギリスのロックの歴史」だとか「ディズニーキャラクターの系譜」や「サザエさん一家の遺産相続関係」なんかを勉強することはありませんよね。
 ちゃんと、「数学」だの「現代文」だの「日本史」だのを勉強すると思います。

 何故?
 何故高校でサザエさんのことを勉強してはならないの?

 それは、「国がそう決めているから」です。現場の先生たちも、国の指導方針や意向を生徒に下ろす中継地点としての役目を背負いながら、同時にできるだけ自分の裁量を授業に入れてみようと日々努力しています。

 前漢、とくに武帝の時代は、儒学が国の教育の中心として据えられました。そのようにして、とりわけ中国で、国が人々の学習対象として指定した特定の学問を官学といいます。
 儒学とは、孔子が開いた儒教から派生した学問のこと。「礼」や「徳」を重んじて社会秩序を安定させようとしました。このぐらいの理解で大丈夫だと思います。詳しい内容は「倫理」や「古典」の時間にでも譲りましょう←

 儒学の教科書は五経(『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』……余裕があれば覚えてください)でした。また、五経に対して「ここはこういう意味だよ!」「ここはこんな感じのことを言っているよ!」という「注釈」を付ける学問が発達し(そんなめんどくさい……笑)、これを訓詁学といいます。

 文化という面で付け加えれば、この時代は歴史書として重要な書物が著されました。
 司馬遷による『史記』です。
 司馬遷は前漢の高官だったのですが、対匈奴の戦争で失敗した李陵という軍人をかばったせいで「宮刑」(意味は自分で調べましょう)を受けます。
 その悲惨な状況の中で書きあげた歴史書が『史記』でした。これはストーリー形式、すなわち紀伝体で書かれています。逆に、できごとを年代順に正確に並べたものを編年体といいますが、これ以後しばらく歴史書は紀伝体で書かれることが一般的になっていきました。(センター頻出です!)
 
 [武帝の死]

 人は必ず死にます。
 武帝も存命中は中央集権化を進めて強い皇帝として君臨しましたが、その死後、前漢は衰退の一途をたどりました。
 強い皇帝が亡くなると、たいていはその側近であった人物が影響力をもち始めます。
 今回の場合は、宦官(皇帝に近い役人)や外戚(皇后の親族)が幅を利かせます。その中でも、王莽(おうもう)という外戚が力をつけ、紀元後8年、前漢に代わって(しん)という国を建てるに至りました。

 ところで、余談。
 中島敦という作家が、司馬遷の物語を描いたことがあります。
 
 それこそ「李陵」という短編なのですが、なんと!
 この文庫にはかの有名な「山月記」も収められています。多分、古典の時間か現代文の時間にやらされると思いますよ。笑
 「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」というやつですね。
 予習もしくは復習がてら一読されてはいかが。


 ◎今日のポイント◎
 ・ 前漢時代の官学は何でしょう? また、その時代に発展した古典に注釈を付ける学問は?
 ・ 司馬遷の『史記』は(紀伝体 / 編年体)のどちらでしょう?
 ・ 前漢の外戚、王莽が建てた国家は?

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うへへ (宦官)
2015-05-30 16:15:04
宮刑わろた
返信する

コメントを投稿