PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2018年全日本トライアル第3戦 九州大会

2018-05-17 11:42:05 | トライアル
今年も大分県にある玖珠トライアルヒルズで開催された、JTR九州大会。


この会場、山がそのままトライアルパークなのはいいのですが、観戦のためには延々急坂を登り降りしなければならず、相当の覚悟と体力が必要です。これだけの山なので、もう少し近くにセクションが作れそうにも思うのですが。

特に今年は雨。移動路は土をかためて階段状にするなどの対策がされていましたが、ドロドロになった路面はスケートリンクのように滑ります。


僕を含め転倒者も続出で、上から人がずり落ちてくるとそのまま団子になってズルズルという例も。
ああエライ目にあったわい。

ライダーの移動路も複雑で、観客導線と交差したりアシスタントが降りたら登って来られないようなコースなども。
SSに降りるコースは黒山選手をもってして「えー、ここ降りるの?絶対コケる自信あるわあ」というズルズルどろどろ。
どの選手もリヤは完全ロックでの走行です。

前日のミーティングで主催者は「限られた条件の中で頑張りましたが、こうなりました。すみません、許してください」と先にアタマを下げます。
さらに主催者は「明日は雨が降ります。すみません、許してください」と(笑)


土曜日の車検横では、ツツジが咲くポカポカ陽気、雲もほとんどない青空。これでホントに雨降るの?



大会当日の朝。雲はまだらに広がるものの、雨は降っていません。


このまま曇りで行ってほしいと願うものの、IASスタートの頃やっぱりぱらついてきた雨。

諦めて取材用雨装備を固めますが、やがて空は明るくなって、これはなんだかやむ方向じゃね?


実際第6セクションあたりからは、雲の合間からわずかながら陽も射すほど空模様に。やったね!
たとえばこれは第6セクションを走る柴田暁選手。

最後のステアで5点は残念でしたが、うっすら影が出ていることにお気づきでしょうか。


さて試合はまだ雨がわずかに残っていた第1セクション。ヒューム管を縦に登ってすぐステア、というインドアのような設定です。


久岡孝二選手はヒューム管で態勢を崩し、続くダム型ステアを登れません。


こういう所は得意なはずの黒山健一選手ですが、ヒューム管でリヤを滑らせ5点。


小川毅士選手、柴田暁選手、野崎史高選手、小川友幸選手はクリーンだったので、とっぱじめから5点差は気持ち的にも厳しいなあ。


今回スタートから自信に満ちた走りを見せていたのは、野崎選手です。

第1から第5までをただ一人オールクリーンです。


同じ第5セクションの黒山選手。足を着きながら抜けるも、タイムオーバー5点となってしまいます。


友幸選手は、入ってすぐの岩でリヤを滑らせ、マーカーを跳ねてしまいました。


次の第6セクションは、高いステアが2つとタイムも厳しい設定。
氏川政哉選手はひとつ目のステアで落ちてしまいます。


毅士選手はふたつ目を越えられません。


黒山選手は着いた足を軸にマシンを振り回して、3点で走破。


野崎選手はここを2点。


友幸選手はここをただ一人クリーンして、野崎選手を追いかけます。


野崎選手は次の第7でも失敗。


友幸選手はここもクリーンして、ついに野崎選手に追いつきました。

第8はお互いクリーンで1ラップ目終盤、友幸選手と野崎選手は合計7点で並びます。

そして今大会最大の難所、勝負どころだった、第9セクション。
この2段ステア。まっすぐならそれほど難しくないかもしれませんが、画面右のテープに沿った方向から入らねばならない意地悪さ。


トップ集団(+氏川選手)はここでお互いライバルの出方を伺い、長い「お見合い」に入ってしまいました。


30分以上ものにらみ合い。

この時6位以下の選手たちが、早くも2ラップ目で回ってきます。

野本選手がトライした後に、バタバタと進み始める試合。
でも毅士選手は5点。


柴田選手も失敗。


ここまで全員が5点のここを、黒山選手は1点でアウト。これでようやく第1の失敗を取り戻し、優勝争いに復帰します。


トップに同点で並ぶ2人のうち、先に入った野崎選手。ステアに上る前のマーカー接触で5点。


これで単独トップに立つチャンスを得た友幸選手ですが、滑った後輪でテープを切ってしまいます。


そして試合は1ラップ目最後の第10セクション。
優勝争いを繰り広げる選手たちがまだ1ラップ目を終えていないのに先に2ラップ目で走った選手達は、雨のない路面で派手技も。
野本選手のエアターン。


ところが2ラップ目の選手が終わった直後、ぼたぼたと雨が降り始めます。

1ラップ目の黒山選手は1点。


最後に入った友幸選手は、アシスタントの田中裕大さんがいうところの「やらかしてしもうた」でテープアウト。

この5点で、順位を一気に4位にまで落としてしまいます。

友幸選手は開幕戦で傷めた靭帯などが、十分に治るどころかトレーニングで悪化させているところもあるとのこと。
そのせいか今回は集中力を維持できない感じで、マーカー飛ばしやエンストなど、普段あまり見せない減点を重ねていました。


逆にトップ集団で唯一最終セクションをクリーンした柴田選手は、1点で抜けた野崎選手に続く2位に順位を上げたのです。


1ラップ目が終了した時点で、
 1位 野崎史高 減点13
 2位 柴田 暁 15
 3位 黒山健一 16
 4位 小川友幸 17
 5位 小川毅士 20

IASのおよそ3分の2がゴールした後で、優勝を争う選手たちは2ラップ目に入ります。
IAS最年少15歳の氏川選手は、天候の読み間違いか、あるいはトップライダーを見る将来への投資でしょうか。トップ集団に混ざった遅周りで雨の中を走ります。
タイムペナルティーはなかったものの、やはり減点はかさんでしまいます。



トップの5人はひどくなる雨と泥の中で、優勝を賭けた死闘を繰り広げます。
1ラップ目2位の柴田選手。
でも1回目はクリーンしていた第1で失敗。


第6、第10でも5点。ついに黒山選手と友幸選手に抜かれてしまいました。


黒山選手と友幸選手は、1ラップ目より条件の悪くなった中でも減点をやや減らし、2ラップ目をお互い減点14で周ります。
黒山選手が1点をとった第2をクリーンする、友幸選手。


友幸選手がエンスト5点の第5をクリーンする、黒山選手。


黒山選手は2位をキープしますが、どうしても野崎選手に追いつくことが出来ません。


2ラップ目最後の第10セクション。
野崎選手との差は8点で、ここをクリーンすればまだSSでの逆転も可能な範囲です。


ところが、下りでつるりとフロントを滑らせてしまいました。


1位を守る野崎選手は、天候が悪化するのと反比例するようにさらに集中力を発揮。


1ラップ目の13点に対しなんと2ラップ目をたったの5点で周ってしまい、スペシャルセクション前に優勝を決めてしまったのです。



SSは2つともなが〜いヒルクライム。途中にステアもあり走破時間を1分30秒に設定された難しさです。
今シーズン初めてSS出走枠に残った吉良祐哉選手ですが、SS第1は5点。


今回好調だった柴田選手も、5点。


最後までリズムに乗れなかった、友幸選手。ここでも5点をとってしまいました。


野崎選手のSS第1。なんでみんな行けないんだろう、と思ってしまうくらい自信の走りだったそうです。

アウトであやうく前回りしてしまうほどの勢いで、クリーンします。


SS第2も、ほとんどの選手にとって3点なら合格という設定。
マーカー接触してしまい10位が確定した、斎藤晶夫選手。


3点で頑張り、今季最高の8位獲得の吉良選手。


ここまで柴田選手と同点に追いついていた毅士選手は、マーカー接触で5点。4位を逃してしまいます。


柴田選手、友幸選手、黒山選手も1点のあと、野崎選手はただ一人クリーン。

雨雲に感謝の拳を衝き上げて、鬼乗れ圧勝に華を添えました。




優勝 野崎史高 減点18c15
2位 黒山健一 34c8
3位 小川友幸 37c10
4位 柴田 暁 48c9
5位 小川毅士 52c8
6位 藤原慎也 72c3

自己最高の6位獲得で、ニコニコの慎也選手。

「(早周りの)作戦勝ちです」と言っていましたが、氏川選手を除く6位以降はみな同じ条件だったので、これは実力と言っていいでしょう。面白い選手が伸びてきたものです。

ただこれからは、6位までよりはるかに悪い条件で走っても上を行っている5人と戦わなければなりません。まだまだ越えるべきステアは高いぞ。

7位 野本佳章 74c2
リュックを背負い1人でスタートの、野本選手。

いつもアシスタントを務めるはお父さんは、今回パドックで孫のアシスタントに専念です。

このため今回はアシスタント無しでしたが「あと何秒!とか煩わしいものがなくて、かえって気持ちよく走ることができました」とのこと。目標の6位は藤原選手にとられてしまいましたが、7位をキープです。


8位 吉良祐哉 77c3
9位 久岡孝二 80c2
10位 斎藤晶夫 89c1

以下SS不出走
11位 岡村将敏 81c2
12位 平田貴裕 82c1
13位 氏川政哉 83c2
14位 磯谷 玲 86c2
15位 砂田真彦 87c1

ところで今大会のスタートと表彰式でMCを勤めた、こちらのお姉様。

試合終了後に声をかけてみるとホリプロ所属のタレントさんで、お名前は「あべこ」。
普段は東京で舞台女優などをやっているそうですが、出身が大分でテレビ大分で番組を持っているとのこと。
見ての通り圧倒的な体格で、身長は158cm、体重111kg、体脂肪率64.5%。3サイズは125cm、136cm、122cmだそうで、おおお、これはトライアル界で対抗できるのは土偶さんだけではあるまいか。

全国の大会で色々な司会や旗振りレースクイーンを見てきましたが、このあべこさん、ものすごく元気でしかもテンポがよく、大会のアタマと終わりをきっちり締め上げます。
この時間をどうやって埋めよう、地雷を踏まない安全発言は?といったダラダラ感がないのです。

スタート台で彼女から「目が笑ってますよ」と突っ込まれた斎藤選手、「キャラに圧倒されています」と苦笑い。

柴田選手には「進行表に赤丸がついていて、これはいじってもいい選手ということなんです」と、イタズラ心爆発。柴田選手も「なんでやねん!」とタジタジです。

リズム感や切り返しもそうですが、僕が驚いたのは選手やややこしいチームの名前をひとつも間違えないこと。
トライアルのMCはもちろん、こんなスポーツを知ったのも初めて、という彼女。
業界に浸りきった人でも「続いて小川タケシ選手です」とか「イソタニ、え?イソガヤ??で、レイじゃなくてこれでアキラなんですね」「優勝は、黒山一郎選手です!」とかいうグダグダが沢山あるのに、これはすごい。
相当に勉強してきたんでしょうねえ、と聞いたら「はい、九州大会のDVDを見させてもらって」とのお答え。
なんだ、オレの作品がこんな形で役に立っていたのね。それはよかったけど、ということは今年はしっかりDVD作らにゃあかんかぁ。
なんかBS12もトライアル番組やめちゃったみたいだから、頑張らねば。


※この記事公開後、某氏から「MCのおねえさん、間違いあったよ」とのご指摘を頂きました。
IA表彰式で優勝の永久保恭平選手のスポンサー名を間違えていたとのことです。まあまあ、でもよく頑張っていたと思いますです。
ほとんどのMCがほぼ必ず減点をとる、野崎選手の「YSP京葉 × KenOkuyama」をクリーンしたので許してあげて(^^;)


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5 コメント

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九州大会の玖珠トライアルヒルズは… (偏見報道反対応援団)
2018-05-22 01:06:43
去年、九州大会の会場施設を「障害者施設」って言ってたやろ。
生涯学習施設や。
ちゃんと関係者に謝られや!
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玖珠トライアルヒルズ (生野涼介)
2018-05-22 09:58:05
ショーガイ違いだったのですね。大変失礼いたしました。ご指摘ありがとうございます。
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まあ! (ななこ)
2018-05-23 19:49:08
偏見報道反対応援団さん。ちょっと口調が怖すぎるんじゃない?
それに生涯と障害者と間違えて何で謝らんといけないの?
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Re.まあ! (生野涼介)
2018-05-24 09:02:16
ななこさん、コメントありがとうございます。
チャンスがあればDMでお話したいですね(^^)
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私も (KAZUKO)
2018-05-24 09:57:51
いつも丁寧な大会の記事ありがとうございます。
私もななこさんと同意見です。
謝る必要も無いとおもうわ。
これからも期待してます
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