PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2019年JTR R1近畿大会レポート <大会前日>

2019-04-26 00:05:24 | トライアル
いつもの年より1ヵ月ほど遅い開幕となった、2019年の全日本トライアル。
会場となった湯浅トライアルパークの桜は、葉桜の一歩手前です。



今年のスーパークラスは、全部で20人にまで膨れ上がりました。
この20人のうち藤波貴久選手、平田雅裕選手はエントリーしていないのですが、それでも参加は18人。
スーパーを除く国際A級のエントリーが39人ですから、国際A級の3人に1人がスーパークラスになってしまったのです。

※上の写真には雅裕選手も入っているため、総勢19人となっています。

国際A級スーパークラスは、世界選手権でもトップを走る実力を持つ選手のために作られたはずですが、ここまで膨らんでしまうとなんだかなあ…。
スーパーの名にふさわしい希少性、スター性がなくなってしまうのもナニですが、一番問題なのは、スーパー内のトップと2桁ゼッケンの実力が大きく開いてしまっていること。
このためトップライダー以外は、実力以上の危険なラインに挑まされてしまうのです。

昨年新昇格だった平田雅裕選手。雨の降ったこの近畿大会は、足を傷めてリタイアでした。

雅裕選手は中国大会でも大転倒。この結果、その後の全日本に出場することができませんでした。


雅裕選手は今年もスーパークラスに籍を置きますが、過去には怪我でトライアル自体を辞めてしまった選手が何人もいるのです。

2018年IAチャンピオンで今年スーパーに再昇格した#18武井誠也選手と、2位昇格の#19永久保恭平選手も、かつて怪我で降格した選手です。


トライアルは辞めずにA級で頑張ってくれたことは嬉しいですが、インタビューには二人共「今度はとにかく、怪我のないように走ります」とのお答え。

IA4位で新昇格の18歳、スーパー最後の20番を着ける山崎頌太選手も「少しでもセクションを出ること」が目標だそう。



昨年までの各大会リザルトを見ると、トップ数人以外はほとんど5点だらけ。
そりゃ怪我しないことだけを目指して走っているんだから、当然です。
結果レースは「トライアル→挑戦」とは真逆の、やっている方も見ている方も、いったい何が面白いの?という内容になってしまうのです。
いったいMFJは、トライアルをどういうスポーツにしようとしているのやら、大変に疑問です。
このままでは新昇格、再昇格選手たちの才能と情熱が、次々に潰されしまうのではないでしょうか。

じゃあスーパークラスは何人くらいが適当なのか、というと、個人的には8人くらいなのではないかと思います。
というわけで、上位8人の選手をご紹介いたしましょう。

ゼッケン8番の、藤原慎也選手。

「夢のシングルゼッケンですよ」というマシンは、今年からベータです。


自己最高位のゼッケン7を着けるのは、斎藤晶夫選手。


でも昨年最終戦まで氏川選手と競って敗れた結果なので、満足度はイマイチなよう。
今年は6番以上を目指します。

先輩を破り、昨年のゼッケン15を一気に半分以下まで減らした、#6氏川政哉選手。

今年もまたゼッケン半減が目標?との質問には「昨年は目標だったランキング5位以内に入れなかったので、まずはそれを」との答え。
なるほど、最年少16歳という若さなのにビッグマウスではなく、きちんとライバルの実力を計算しているんですね。

今年ゼッケン5番を着けるのは、小川毅士選手。

長らくキープしていた4番から落ちてしまった形ですが、「いろいろアンラッキーが重なった結果なので、今年は最低4番を取り返します」との決意です。
ただちょっと心配なのは、オフシーズンの練習でクラッチ指を骨折してしまったこと。

まだ指に違和感があるそうで、明日の大会、もし雨が降ったら結構きつい展開になりそうです。

かつて田中善弘選手をやっと破り、昨年は毅士選手に競り勝って、ついにゼッケン4番まで上がってきた柴田暁選手。


あと上には3人しかいません。
オフシーズンにはこのうち二人、黒山健一選手と小川友幸選手のホームグラウンドを訪ねての武者修行で、鍛えてきました。
練習ではそこそこ一緒に走れたそうですが、試合はまた別物。柴田選手にとって残る3人は、これまで以上に大きな壁なのだそうです。

ヤマハのパドックには、いつもの黒山健一選手と野崎史高選手の名前。
でも今年はゼッケン番号が入れ替わっています。


黒山選手は昨年は電気バイクでの世界戦参加のために、北海道大会を欠場。このため、ゼッケンは3番に落ちてしまいました。

今年の電気バイク世界選手権がどうなるかはまだ決まっていないそうですが、全日本に専念できれば2番、あるいは1番奪取は当然、との自信を見せます。


そして11年続いたというゼッケン3番から、ついにランクアップした野崎史高選手。

今回のゼッケンには恒例の仮面ライダーデザインもなく、こりゃ下見したあと、思わず3番のマシンに跨ってしまうようなアクシデントが起こるかも?

「残るはあとひとつ。当然狙っては行きますが、黒山選手の強さもよくわかっています。落ちないよう頑張ります」との言葉。
3位も警戒しなければなりませんが、過去雨の大会では何度も優勝している、野崎選手。明日ももし雨が降れば、またまた強さを発揮するかも。

そして1番を着けるのは、昨年MFJ史上初という6連覇を達成した、小川友幸選手。

毎年開幕戦では、マシン開発などの仕事で練習が不十分だった友幸選手。
でも今年は開幕戦が1ヵ月遅く、練習場が雪に覆われる事も少なく、調整はバッチリです。

体長もマシンも問題なく、もはや負ける要素が見当たりませんね、との質問には
「そんな事ないです。勝てるかどうかはいつも不安です。プレッシャーだらけですよ」という意外なお答えです。
「これからは自分で自分の記録に挑むわけで、自分から来るプレッシャーと、この座を狙ってくるライバルからのプレッシャーもあります。いかにメンタルを維持できるか、ですね」
なるほどねえ。この辺りはテッペンに立った人間にしか、わからないことなのかもしれません。

大会前日。土曜日の会場は、この快晴です。

しかしこの青空からは信じられないことに、翌日曜日の天気予報は、雨。
スーパーがスタートする9時から降り出し、お昼ごろにはかなり強く降るとの予報が出ています。
雨を見越したセクションは、かなりやさしめに設計されています。
このセクションと天気がどんなドラマを生み出すのか、2019年最初の闘いが始まります。

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