気持ちよく、お昼寝していたCocoさんですが
お風呂場の方の物音に
目が覚めてしまったようです。
カランカラン、と聞こえてきましたね。
よろよろしながら
起き出しました。
「物音がしましたよ。
見に行かなくていいですか」
あれはおそらく、お風呂場で
洗面器が落ちた音です。
洗面器を支えている吸盤の吸着力が
このところ、少し弱っていましたから。
しかし、Cocoさんは納得出来ない様子です。
「そんな呑気なことを言っていて、
実は怪しい奴が
暴れていたらどうします」
ちゃんと戸締りはしてありますから
怪しい奴が忍び込んでいる心配はありませんよ。
「しかし、この世のものでない物の怪ならば
戸締りなどものともせずに、忍び込めるはず。
そんな輩が暴れているのかもしれませんよ」
それでしたら是非生け捕りにしてきてください。
テレビか雑誌の「珍ペット特集」に応募して
あなたと私もいっしょに有名になりましょう。
了解したのかしないのか、
ともかくCocoさんは一人、物音のしたお風呂場へと
様子をうかがいに向かったのでした。
なんと、頼りになるわんこなのでしょう！
しかし、いざとなると怖気づいた様子。
おそるおそる、足を踏み入れましたが・・・
折悪しく、玄関の外を
宅配業者の方が、台車を押しながら通りかかったのです。
キキキッ。ガラガラガラ！かっしゃん!!
驚き、慌てふためき
転がるように逃げ帰るCocoさん。
そしてジャンプ一番、私の膝の上に飛び乗り
ほっと安堵のため息をついたのでありました。
「あー怖かった。
あー怖かった。
二度と妖怪退治になど行くものか」
私の方でも二度と
あなたを「頼りになる」などとは
思わないことにしますよ・・・。
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