†意識の記録† 理解のブログ

私の私の視点による私の経験の記録。私の視点で見る限り誤りのない認識で記事を書いている。一切の苦情は受け付けない。

ちょっと回路の話

2018-09-11 20:09:48 | Diary
こんばんは。

少しだけ、電子回路の話。
デジタルではなくて、アナログ回路。


皆さん知っての通り、自分は電子工作をやっているわけです。
特に、オーディオ帯域のアナログ回路をやっているわけです。

端的に言えば、アンプを作っているわけですね。

じゃあ、アンプって何ですかという話になるわけですが、(ここでは)電力を増幅する回路の事です。


どうやって作るか想像出来ないと思うので、ちょっとやってみましょう。(これが今回の趣旨。)


電源部分だけやります。


LINEレベル信号を1Vrmsと仮定した時、
① 8ohmスピーカに10W定格なら、9Vrms必要だから、電圧ゲイン9倍、電流出力1.1Aのアンプを作ればよい。
② 64ohmヘッドフォンに100mW定格なら、2.5Vrms必要だから、電圧ゲイン2.5倍、電流出力40mAのアンプを作ればよい。

設計の第一段階は、こんな感じ。
定格を定めて、ゲインと必要な電流出力を求めればいい。

ゲインと実効電圧が分かれば、必要な電源電圧が分かる。
概ね、最低限必要な電圧の1.5倍くらい見積もると、自由度が高くてよい。
①のアンプなら、9Vrms = 25.2Vp-p が出力出来ないといけない。±18VDCの両電源ぐらいで作りたいところ。
②のアンプなら、2.5Vrms = 7Vp-p だから、12VDCのスイッチングACアダプタで作れそう。

電流出力から、必要な電源の能力が分かる。
これは、チャンネル数だけ倍数になる事に注意が必要。
ここでは、ステレオ(2ch相当)で計算する。
①のアンプなら、1.1A x 2ch = 2.2A 。±18VDCなので、36V x 2.2A ≒ 80W 。市販のACアダプタでは厳しそうです。
②のアンプなら、40mA x 2ch = 80mA 。 12VDC なので、12V x 80mA ≒ 1W 。市販品のACアダプタで十分です。

この容量ギリギリで電源を用意すると、出力段以外に電流食わせられないので、やはり1.5倍くらい見積もったら良いでしょう。
それでも、②は出来合いのACアダプタで十分と言えます。

では、①の場合、どうやって電源を用意しましょう?
いくつか考えられますが、簡単なのはやはり、出来合いのスイッチング電源です。

イメージ 48VDC 2.1A
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-09091/

ただ、±18VDC という両電源を得たいなら、トランスを使うのが一般的です。
18VDCを、一般的な三端子レギュレータで得る場合、3Vのドロップ電圧が必要なので、整流後に21VDCが必要ですね。
リップルを2Vに抑えたとして、23V。さらにブリッヂ整流器の電圧降下0.6Vを計算に入れると24V。
これを満たせるようなトランスというと、例えば以下。
http://toei-trans.jp/?pid=91217129

このトランスなら18V2回路を使えばいいですね。

では、リップル2V未満にする為に必要な、ブロックコンデンサの容量を計算してみましょう。
東日本に住んでいれば、交流電源の周波数は 50Hz ですから、リップル2Vとして、コンデンサの放電速度は、2V x 100Hz = 200 V/sec です。
ところで、トランスの最大電流は2Aですから、2A / 200V/sec = 0.01F = 10000uF と計算出来ます。
尚、掛かる電圧は、18V x sqrt(2) - 0.6V = 24.8V ですが、低負荷時は電圧が上がるので、35V耐圧品が必要です。怖いなら 50V耐圧にしておくと安心です。

10000uF, 50V耐圧のコンデンサは背が高すぎて使いにくいですから、3300uF/50V品を6個(正負3個ずつ)使うといいですね。

例:KMH50VSSN3300M
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-01590/


ところで、三端子レギュレータを使って18Vを得るという話でしたが、損失が許容出来るか計算しないといけません。
24.8V から 18V に落とすので、6.8Vのドロップ。電流出力2.2A必要なので、15Wの損失が出ます。
これはかなり厳しい。何が厳しいって、正電源側はともかく、負電源側だと選択肢がない。

となると、簡単な安定化回路を自作する方が楽と言う事になります。
18VDCを得る簡単な方法は、ツェナーダイオードを使う方法です。
ツェナーダイオードは、在る電圧を超えた途端に抵抗値が下がる性質を持っているので、定電圧を得る事が出来ます。

ツェナーダイオードを使った安定化電源の作り方は省略しますが、簡単なものから難しいものまで、いろいろと回路があります。

簡単な例を挙げておきます。
http://akiba.geocities.jp/jh8chu/ele_circuit/ele_circuit_10.htm

上記例の場合は、NPNトランジスタのVBE分だけ、ツェナーダイオードの電圧を高く見積もる必要がある点にだけ注意してください。
NPNトランジスタは、15Wのコレクタ損失に耐える必要があるので、かなり大型のものが必要になりますし、放熱器も必要です。

負側でPNPが欲しいですから、コンプリ素子があるものを探さないといけません。
定番は以下のものですが、1素子ですとコレクタ損失が定格を超えてしまうので、複数個並列にして、ヒートシンク必須になります。

例:2SC3422 & 2SA1359
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-09669/
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-10042/


どうしてこんなに大変かと言えば、頑張って18V2.2Aの安定化電源を作ろうとしているからです。
実際問題として、10Wのアンプでこうなるという事は、安定化(定電圧化)しようという考え自体が間違いなのです。

なので、アンプ回路を電力増幅段(トランスインピーダンス)と、電圧増幅段に分けて考え、
電圧増幅段には、18Vの安定化電源を接続し、電力増幅段には、ブロックコンデンサの出力側をそのまま接続します。
(つまり、リップルを取らずにそのまま終段の電源にします。)

電圧増幅段の消費電流は、設計次第ですが、100mA行くことは先ず無いので、通常の三端子レギュレータ+ヒートシンクで十分です。
勿論、ツェナーダイオード+2SC3422/2SA1359でも十分です。
(凝る人は、電力増幅段と、電圧増幅段で、別のトランスを使ったりします。メーカ製アンプでも、そういう設計はありますね。)


という感じ。

文字に起こすと長くなりますが、実際に検討してみると、大して難しくないです。



以上。
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