こんばんは。
偶には、観た映画の感想でも書いてみようかと思います。
ご存じの通り、私は多少ユニークな人間ですので、皆さんとは異なる感想を持っているかも知れません。
また、今回紹介する作品については、酷評しますと共に、一部ネタバレを含みますことを事前に書いておきたいと思います。
映画「メッセージ」を観ました。
謎の宇宙船が突如、各国に現れ、未知の言語を話す宇宙人とやり取りをする、というのが基本の話です。
主人公は、女性言語学者。
ですので、基本は、未知の言語を解読していく、という話が展開されます。
ただ、その描写は非常に滑稽で、言語学者とは思えない内容です。
また、全く言語とは関係のない物理学者も同席させられ、解読の協力をしています。
名作「未知との遭遇」では、音階を利用した言語で、未知の UFO と交信するシーンが終盤に描かれています。
あれは完全な人工言語で、未知の宇宙人と会話するのに適しているとは言えませんが、彼らがもしそういった言語を事前に調べていたとしたら、あの場面は十分にあり得るものでしょう。
駄作「インディペンデンス・デイ」では、 UFO に対して、意味があるのかないのか分からない発光信号を送ったヘリコプターが撃墜されるという無意味なシーンがあります。
この映画では、なぜかアメリカ大統領が、エイリアンのテレパシー攻撃を受けた結果、エイリアンの意識を読み、行動原理を理解するという、これまた意味不明なシーンがあります。
このように、過去、名作、駄作を含め、様々な遭遇シーンは描かれてきたわけです。
実際、未知の地球外文明と出会ったとして、どのようにコミュニケーションを取っていくか、ということは、研究されています。
それは、例え遠くの宇宙であっても、我々と同じ物理法則を以て物事が進行しているという事実がありますから、物理法則や2進数など、単位系や文化に依らない、完全にアプリオリな言語を用いて交信を行えばよいということですね。
話を戻してメッセージですが。
女性言語学者は、エイリアンに対して英語を教えて、それに対して返ってくる、未知の文字を解読することによって交信を試みます。
この時点で、正直あり得ないアプローチだと思います。どうして英語を教えるのでしょうか・・・。
しかも、世界各国でエイリアンとの交信はバラバラに行われていて、情報の共有が適切に為されていません。なのに、他国と情報共有を切るなんて!というようなシーンがあり、良く分かりません。
また、最近のハリウッド映画ではありがちですが、中国が存在感を持っていて、物語は何故か、中国がエイリアンを攻撃しそうだから止めないと!という方向に行きます。
中国は中国で、中国の言語学者がエイリアンと交信した結果、エイリアンが地球人に武器を提供しようとしていると判り、それは地球人同士の争いをエイリアンが望んでいるからだ、平和の為に中国はエイリアンを排除する、という理屈で動くのです。
実は、この武器を提供する、というのは、正しい解読でした。ただ、武器を提供する理由を中国は誤解しているだけなのですね。
それならそう言えばよいのに、何故かアメリカ政府は全く中国を説得しようとしません。理由は不明。
中国は、同調する幾つかの国(権威主義的な国、ロシアなど)と共に、エイリアンを攻撃しようとするわけです。
終盤は中国を止めようとする女性言語学者と、なぜか女性言語学者を止めようとするアメリカ軍という意味不明な構図になります。
言語を解読するって話は何処行ったんだ、と思いつつ見ていると、実は女性言語学者には未来視の超能力があり、それを使って中国の将軍に直接電話を掛けて説得して事なきを得る、という最低の展開で終わりました。
いやその、超能力を持っているのは良いのですよ。
それが起承転結の転に当たる要素なのは確かだからです。観客をずっと騙してきたことを少しずつ明かしていくので。
でも、話の軸はあくまで、言語学の知識を以て、エイリアンと交信することにあったはず。なのに、最後は超能力で解決してハッピーエンドというのは、納得できないですね。
この映画はミステリーではありませんけれども、 SF であっても、超能力を以て物語を締めくくるのは如何なものでしょうか。
もう一つ、この作品は明らかに低予算ですけれども、言語学の単語に対する明らかな誤認がある。
作中、“サピア=ウォーフの仮説”という言葉が出てきますけれど、典型的な曲解をしていて、それを言語学者が認めてしまうのですよね。
こういうそれっぽい単語を使うっていうのは、ハリウッド映画では偶にあるんですが、悉く間違っていて嫌になります。
ハリウッド映画っていうか、アメリカの連続ドラマとかでも良くありますね。
NUMBERS という数学者が事件を解決する、サスペンス物がありましたけれども、天体物理学に対する議論をしている場面で、それっぽい単語をめちゃくちゃに並べているだけという大変残念なシーンとかありました。
それで白けてしまいましたね。まあ、それ以外も色々無理やりな理屈が多くて詰まらない作品でしたが。
(でも、実際に数学者などから監修を受けているらしい。本当かよ。)
日本でも、ガリレオでしたっけ、意味不明なこと並べているのは。
見ている人たちは勿論、私も含めて基本的にトーシロなのは確かなのですけれど、物語を作る以上はある程度、正しい描写というものを行ってほしいものです。
以上。
偶には、観た映画の感想でも書いてみようかと思います。
ご存じの通り、私は多少ユニークな人間ですので、皆さんとは異なる感想を持っているかも知れません。
また、今回紹介する作品については、酷評しますと共に、一部ネタバレを含みますことを事前に書いておきたいと思います。
映画「メッセージ」を観ました。
謎の宇宙船が突如、各国に現れ、未知の言語を話す宇宙人とやり取りをする、というのが基本の話です。
主人公は、女性言語学者。
ですので、基本は、未知の言語を解読していく、という話が展開されます。
ただ、その描写は非常に滑稽で、言語学者とは思えない内容です。
また、全く言語とは関係のない物理学者も同席させられ、解読の協力をしています。
名作「未知との遭遇」では、音階を利用した言語で、未知の UFO と交信するシーンが終盤に描かれています。
あれは完全な人工言語で、未知の宇宙人と会話するのに適しているとは言えませんが、彼らがもしそういった言語を事前に調べていたとしたら、あの場面は十分にあり得るものでしょう。
駄作「インディペンデンス・デイ」では、 UFO に対して、意味があるのかないのか分からない発光信号を送ったヘリコプターが撃墜されるという無意味なシーンがあります。
この映画では、なぜかアメリカ大統領が、エイリアンのテレパシー攻撃を受けた結果、エイリアンの意識を読み、行動原理を理解するという、これまた意味不明なシーンがあります。
このように、過去、名作、駄作を含め、様々な遭遇シーンは描かれてきたわけです。
実際、未知の地球外文明と出会ったとして、どのようにコミュニケーションを取っていくか、ということは、研究されています。
それは、例え遠くの宇宙であっても、我々と同じ物理法則を以て物事が進行しているという事実がありますから、物理法則や2進数など、単位系や文化に依らない、完全にアプリオリな言語を用いて交信を行えばよいということですね。
話を戻してメッセージですが。
女性言語学者は、エイリアンに対して英語を教えて、それに対して返ってくる、未知の文字を解読することによって交信を試みます。
この時点で、正直あり得ないアプローチだと思います。どうして英語を教えるのでしょうか・・・。
しかも、世界各国でエイリアンとの交信はバラバラに行われていて、情報の共有が適切に為されていません。なのに、他国と情報共有を切るなんて!というようなシーンがあり、良く分かりません。
また、最近のハリウッド映画ではありがちですが、中国が存在感を持っていて、物語は何故か、中国がエイリアンを攻撃しそうだから止めないと!という方向に行きます。
中国は中国で、中国の言語学者がエイリアンと交信した結果、エイリアンが地球人に武器を提供しようとしていると判り、それは地球人同士の争いをエイリアンが望んでいるからだ、平和の為に中国はエイリアンを排除する、という理屈で動くのです。
実は、この武器を提供する、というのは、正しい解読でした。ただ、武器を提供する理由を中国は誤解しているだけなのですね。
それならそう言えばよいのに、何故かアメリカ政府は全く中国を説得しようとしません。理由は不明。
中国は、同調する幾つかの国(権威主義的な国、ロシアなど)と共に、エイリアンを攻撃しようとするわけです。
終盤は中国を止めようとする女性言語学者と、なぜか女性言語学者を止めようとするアメリカ軍という意味不明な構図になります。
言語を解読するって話は何処行ったんだ、と思いつつ見ていると、実は女性言語学者には未来視の超能力があり、それを使って中国の将軍に直接電話を掛けて説得して事なきを得る、という最低の展開で終わりました。
いやその、超能力を持っているのは良いのですよ。
それが起承転結の転に当たる要素なのは確かだからです。観客をずっと騙してきたことを少しずつ明かしていくので。
でも、話の軸はあくまで、言語学の知識を以て、エイリアンと交信することにあったはず。なのに、最後は超能力で解決してハッピーエンドというのは、納得できないですね。
この映画はミステリーではありませんけれども、 SF であっても、超能力を以て物語を締めくくるのは如何なものでしょうか。
もう一つ、この作品は明らかに低予算ですけれども、言語学の単語に対する明らかな誤認がある。
作中、“サピア=ウォーフの仮説”という言葉が出てきますけれど、典型的な曲解をしていて、それを言語学者が認めてしまうのですよね。
こういうそれっぽい単語を使うっていうのは、ハリウッド映画では偶にあるんですが、悉く間違っていて嫌になります。
ハリウッド映画っていうか、アメリカの連続ドラマとかでも良くありますね。
NUMBERS という数学者が事件を解決する、サスペンス物がありましたけれども、天体物理学に対する議論をしている場面で、それっぽい単語をめちゃくちゃに並べているだけという大変残念なシーンとかありました。
それで白けてしまいましたね。まあ、それ以外も色々無理やりな理屈が多くて詰まらない作品でしたが。
(でも、実際に数学者などから監修を受けているらしい。本当かよ。)
日本でも、ガリレオでしたっけ、意味不明なこと並べているのは。
見ている人たちは勿論、私も含めて基本的にトーシロなのは確かなのですけれど、物語を作る以上はある程度、正しい描写というものを行ってほしいものです。
以上。
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