†意識の記録† 理解のブログ

私の私の視点による私の経験の記録。私の視点で見る限り誤りのない認識で記事を書いている。一切の苦情は受け付けない。

炭素と炭素の結合

2018-10-31 23:59:59 | Diary
こんばんは。


皆さん、高校で初めて、有機化学に触れたと思います。
具体的な物質名を覚えるとか、基本的な反応を覚えたと思います。

さて、思い出して貰いたいのですが、その中に、炭素と炭素の結合が新しく出来る反応はありましたでしょうか?


例えば、エタノールが酸化してアセトアルデヒド、アセトアルデヒドが酸化して酢酸になるというのがありますよね。
でも、炭素数は2で、結合が切れたり増えたりしていません。

私が思い出せる範囲で、高校化学の中に、炭素と炭素の結合が出来る反応は無かったと思います。


大学に入ると、いくつかそういった反応を習います。

例えば、アルドール縮合、ディールス・アルダー反応、グリニャール反応、マイケル付加。
この辺の反応機構を、電子の動きの矢印で描くところから、有機化学のお勉強が始まると言っても良い。

そして、少し前、ノーベル化学賞を日本人が受賞しましたが、その時の反応も、炭素と炭素の結合が出来る反応でした。
(溝呂木・ヘック反応、根岸カップリング、鈴木・宮浦カップリング。)


という事は、高校生までの学習では、あのノーベル賞の凄さをちっとも理解出来ないという事です。

高校化学では、電子の移動を習わない為、反応を電子の移動ややり取りで捉える事が出来ません。
せいぜい、酸化数という概念を習い、その増減で、酸化還元のある反応とそれ以外を分別出来る程度です。

例えば、二酸化炭素と一酸化炭素では、炭素の酸化数がそれぞれ、+IV、+II です。
(結合した酸素の数だけで酸化を捉えるより、一般的な定義という事です。)

炭素の燃焼を考えると、炭素単体の酸化数は 0 、酸素の酸化数も 0 ですから、
炭素と酸素から二酸化炭素が出来る時、炭素の酸化数が、0 から +IV に変化するので、炭素が酸化された事が分かります。
同様に、酸素の酸化数は、0 から -II に変化するので、酸素が還元された事が分かります。


話を戻します。

炭素と炭素の結合は、有機化合物を作り出す上で、必ずと言ってよいほど、現れます。
という事は、それを自在に、つまり、分子上の好きな炭素に、好きな原子団を結合させる事こそが、有機合成化学の研究テーマと言っても過言ではないのです。

件のノーベル賞を含め、現在では多種多様なカップリング反応が開発された為、(経済性や収率度外視ならば)或る程度好きな化合物が合成出来るとまで言われています。
例えば、ハリコンドリンBは、分子量1110ですが、全合成可能です。(1992年 岸義人)


更に、現在ではスーパーコンピュータの発展によって、特定の性質を持つ分子を、計算によって求める事が出来るようになってきました。
つまり、未だ誰も合成した事が無い物質でも、計算によって、例えば、ガンに効くとか、超猛毒とかが分かるわけです。

毒はともかく、ガンに効くなら、作ってみたいものですよね。
ただ、計算によって出来る分子なんて、それこそ、複雑怪奇だったりするわけで、それが合成出来るのは真に、有機合成化学の発展があってこそです。

そして、それは、炭素と炭素の結合を、ある程度自由に作る事が出来るようになったから、達成できるのです。



以上。
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