アルゼンチンから砂漠の国へ

2005年~2009年のオリジナル記事に、シンガポール時代の記事と、2009年以降のアメブロの旅行記を転記しました。

出張帰りのパリ散歩

2020年06月27日 | 旅行
パリにて 2000年10月

イタリアへの出張で、前回は4泊ともイタリアで、最終日の午後ベニスを出発して、その日の夕方パリを発った。今回も当初の予定はまったくいっしょだったが、日程をアレンジしてくれたKさんの機転で、急遽予定を変更して、会議の最終日にパリに飛んだ。おかげで、翌日の夕方の出発までほぼ1日パリ見物を楽しむことができた。


イタリアに来て以来、ずっと降り続いていた雨もやっと上がり、ALITALIA372便は、気温15度のパリに向かった。3日間の会議から開放されて、あとはパリを見物して帰るだけ。ルンルン気分で、7時半夕暮れのシャルルドゴール空港に到着した。空港からホテルまでタクシーで50分、3000フラン余り(約5000円)またKさんに任せたので、正確なところはよくわからない。ただ、イタリアもフランスも、メーター表示に荷物とかチップが加算されるので料金がわかり難い。


霧にけむるエッフェル塔

ホテルで落ち着くまもなく、すぐにエッフェル塔に出かけた。現在夜間のエッフェル塔は毎時ミレニアムのライトアップをやっているというので、地下鉄を乗り継いで、ちょうど10時のショーに間に合った。エッフェル塔は、正面(北西側)をセーヌ川、反対側に大きな公園があり、その姿をさえぎる物が周りにない為、どの方向からでもきれいな姿をながめることができる。10分間のショーが終わると、セーヌの遊覧船も店じまいらしく、船着場の横にある川の上のBarに入り、とりあえずビールを一杯。今回の仕事を終えて「ご苦労様。」と3人で乾杯した。

翌日の朝、やはり寒い。ホテルに荷物をあずけ、まずエッフェル塔に向かった。いつも長蛇の列と聞いていたので、9時半のOpen前に並び、すんなり320mの展望台までたどり着くことができた。残念ながら、霧に煙るパリの街はくっきりとは見えず、モンマルトルの丘がかすんでいる。直下のセーヌ川の中洲に立つ自由の女神も時々見えなくなるくらい、320mの上空では霧が流れている。


パリの街並は、ビルの高さが4~5階、同じ白壁で統一され、ひじょうにきれいだ。遠くに高層ビルが見え、まるで東京の新宿の風景。たぶん、旧市街だけ、何か建築規制があるのだろう。


凱旋門とシャンゼリゼ

次は、また地下鉄で凱旋門にむかった。凱旋門の周りはロータリーになっており、地下道を渡ってたどり着くことができる。ラセン階段を上がるとさすがに息が切れた。放射状の道が伸び、一番大きいシャンゼリゼ通りの先に大きな観覧車が見える。上からロータリーを見下ろすと、12方向から進入する車が反時計方向にまわり、また思い思いの方向に出て行く。これが、まったく無秩序(に見える)、かなり強引に割込みながら、よくも事故がおきないものだと感心しながらながめていた。




凱旋門をおりて、シャンゼリゼ通りを歩いた。ルイビトンの本店が通りに面しているので、土産に頼まれたバッグを見ようと入ってみたら、人があまりにも多いので、とりあえず先に少し早い昼食をとることにした。

シャンゼリゼのオープンカフェでと思ったが、寒いので、ルイビトンの前にあるカフェにはいり、ガラス張りの屋内から通りを眺めながら、エスカルゴとミックスサンドにウィンナーコーヒーとしゃれてみた。エスカルゴは、予想以上に美味かったが、同行の二人は、「ゲテモノは遠慮する。」と、一個味をみただけでやめてしまった。


ルーブル美術館 

ルイビトンを後回しにして、ルーブル美術館に行くことにした。地下鉄をおり、古めかしい大きな建物に囲まれた中庭に入ると、中央に近代的なガラスのピラミッドがある。これが美術館の入り口になっている。93年に大改装したそうだが、周りの建物とのあまりにもミスマッチに、フランス人がよくこんな建造物を許したものだ。

同行したKさんが2回目なので、彼をナビゲーターにして、まずはモナリザを探すことにした。内部は迷路の様で、目的のものが見つからない。改めて案内図を見ると、まったく反対の方向に来ていた。結局一度外に出て初めからやり直し。それでもよくわからず、最後は館内の人に聞きながらの移動になった。まずミロのビーナスを見つけた。さすがに有名な作品には人が多い。中には、スケッチをしている人がいる。次はモナリザ。残念ながら、いたずらされたことがあるとかで、この作品は、ガラスの壁で仕切られており、おまけに手すりまであって近づけない。これなら、徳島の大塚美術館のほうがいい。ペンキのひび割れまで見ることができるし、触ることもできる。


ルーブル美術館のいいところは、写真撮影の制限がないことだ。いたるところでフラッシュがたかれている。本当に大丈夫なんだろうか。ただ、しろうとの悲しさ、有名な作品はモナリザとミロのビーナスしか知らず、この二つを見たら、もう満足して帰ることにした。



くたばれルイビトン

さて、最後はみやげ物。ルイビトンで空港に行くまでの時間をつぶすことにした。もう一度シャンゼリゼに戻り店内に入ると、店内を横断するように人が列を作っている。日本人が多い。皆、カタログ、雑誌で買いたい品物を見ながら、おとなしく待っている。とりあえず一番後ろに並び、前の若い女性3人組に聞くと、ここで買い物をするにはこうやって順番待ちをしなければならないこと、3時間程度の待ち時間は普通だとツアーの添乗員に聞いたそうだ。自分も土産を頼まれた以上仕方がない、おとなしく待つことにする。

5分ほどして、3人組の一人が地下に偵察に行き、下のほうが列が短いと言う。そこで早速地下に移動した。前には10人程度、これなら30分もすれば片付くだろう。

そして50分経った。その間進んだのはわずか1歩。周りには大勢の店員がいながら、一向に客がさばけていない。ひとりの若い中国人の女性が、やっと自分の番になり、品物を確認してトラベラーズチェックで払おうとしたとき、店員がサインを確認して、パスポートとチェックのサインが違うので受け渡しを拒否している。「このパスポートのサインはノーグッドです。」と英語で言っている。顔には慇懃ていねいな作り笑いを浮かべながら、まったく融通をきかそうとしない。

この異様な雰囲気は何だろう。奥には十分の在庫があるように見えるが、まったく処理が進まない。よほどフランス人は、処理能力が低いのか、ブランドイメージを守るためにもったいぶっているのか。それにしても、客に対する態度が横柄だ。「買ってもらう」のではなく「売ってやる」態度にしか見えない。

この様子だと、あと1時間待ってもおそらく買えないだろう。フライト時間が迫ってきたので、ついにあきらめて店を出た。もう2度と来るものか。

今後、ルイビトンの品物を見たら、この見せかけのブランドを持つ人を軽蔑してあげよう。そして、台湾、韓国の偽ブランド品に拍手を送ろう。これだけ、お客をばかにしたブランド商売が許されていいはずがない。日本人がいっせいに不買運動をし、ファッション誌が批判記事を書くか、商品を無視するのを見てみたい。


エールフランスのサービス

地下鉄の8番線の終点Balard駅から歩いて5分のところにあるHotel SOFITELに宿泊した。同じ系列のホテルが8箇所程度あるようで、ドイツ駐在員の秘書に予約を頼んだら、間違ってパリの南西の街外れに予約してしまった。しかし、地下鉄の駅に近い立地条件で不便を感じることは無かった。日本人の宿泊客も多く、まるで東京に出張に来ている様だ。

ホテルは豪華で、これまで泊まっていたイタリアの田舎町の質素なホテルとは雲泥の差で、やっと心も観光モードになった。
しかし、たった一泊で翌日はもう出発。夜の到着時と違い、夕方の空港への道は渋滞し、しかも空港はパリの北東の郊外にあり、タクシーで1時間半かかった。

出張はいつもビジネスクラス。このいいところは空港で航空会社のラウンジが使えることだ。ゆったりとしたソファーに、仕事ができる机、インターネットを接続して外部と連絡をとっているビジネスマンも多い。飲み物、スナックが無料なので、ビールを飲みながらゆっくり時間がつぶせる。

今回は、JALでチェックインしたら140フラン(約2200円)のバウチャー(商品券)を渡された。「空港内のレストランで、ご自由に飲み物、食事にご利用下さい。」別に、ラウンジを使えば使うこともないな、と思いながら受け取り、いつもの様にエールフランスのラウンジに向かった。これで3回目の利用なので、場所もよくわかっている。

いつもの様にチケットをみせて中に入ろうとすると「招待状をお持ちですか。」と聞く。JALのバウチャーのことかなと思って見せると、「ただいま満席のためJALのお客様はご利用できません。」とあっさり断られてしまった。もともとエールフランスのラウンジをJALが使わせてもらっているので文句は言えないが、JALだけの締め出しはないだろう。これでJALがバウチャーを発効している理由がわかった。

空港内の売店にはミスジャッジで日本選手から金メダルを奪った例の柔道家が喜色満面でフランスのスポーツ誌の表紙を飾っている。まさか、日本の批判に対する仕返しではないだろうなと勘繰りたくなった。

仕方なく、煙にむせたカフェに入ってバウチャーを見せると、「ここではご使用になれません。向かいの店をご利用下さい。」結局、向かいのコンビニで缶ビールとつまみを買うことになった。140フランの商品券でビールとつまみを買ってもそんなに買えるものじゃない。もちろんおつりは無し。

店員が「これだけでいいんですか。」と念を押してくる。「いいの、いいの。」と、もうやけ気味。自分で払っているわけではないが、正規料金でビジネスクラスの支払いをしている客に対して、こんなサービスでいいの?
ルイビトンといい、エールフランスといい、フランスの印象をますます悪くした最終日になった。


一口メモ(その1)
パリの地下鉄

パリの地下鉄は大変便利だ。8フラン(約130円)一律で乗り換えしながらどこにでも行ける。路線の番号と終点の駅名だけ確認しておけば間違えることはない。駅の名前もイタリアほど難しくない。ただ一つの難点は、ドアが半自動で、自分で開けなければならない。初めてのとき、気がつかずに開くのを待っていたら、他のお客は隣のドアから降りてしまった。あわててドアを開けて飛び降りたら、中にいた若いパリジェンヌに笑われてしまった。
 
一口メモ(その2)
街頭の芸術家

エッフェル塔を見た後、街角で絵を売っている人がいた。「直筆のパリの風景はいい。」と眺めていたら、3枚買うと割り引きますよとの言葉に、つい衝動買いしてしまった。1枚90フラン(約1400円)。しかし、アクリル樹脂を使って書いたという絵は光沢があって、水にぬれても大丈夫だと言う。3人とも満足して帰った。

今、じっと絵を見ると、ペイントの凹凸がまったく無い。どうみても写真だ。あの画家、自分の絵を写真に複製して、アクリル樹脂の光沢だと言って売っていたようだ。みごとに引っかかった。

 


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