ヤンキースタジアムへ連れてって

写真は今から10年以上前に買った、ヤンキースタジアムのオブジェ…結構な値段だったんだけどね。

今はどんな試合でも見るんだけど、あの野茂英雄が海を渡った当時、自分は”ミーハー”といってもいいくらいのメジャーリーグのファンだった。ロサンゼルス・ドジャーズのユニフォームはどこかドラゴンズに似ていたから（ってかそのままか）、自分の好きなタイガース（阪神ですよ）に似た”ピン・ストライプ”のニューヨーク・ヤンキースのグッズを買うことに。その当時「ビリージョエルもライブをやったことだし…」というのも手伝って買ったが、このオブジェ。友人には「タバコを吸わんのに灰皿買ったんか」って言われた記憶があるけど(笑)。
ちなみに日本最古の球場である甲子園球場はヤンキースタジアムをモチーフにして作られたらしい。グラウンドの形（特にホームベースからバックネットまでが他の球場よりも遠い…どちらも同じ）が改修前にどことなく似ていたり、”アッパーデッキ”まで覆う屋根が銀傘に見えたり。個人的には内野の天然芝も一緒に真似れば良かったのに…と思うけど。

「時間が経てばすべてのものはなくなる」っていう言葉があるけど、長い歴史を培ってきたヤンキースタジアムのラストゲームが昨日終わった。「無意味にノスタルジックになりすぎでは…」って言われるかも知れないけど、さっきNHK-BSのニュースの中での『さよならヤンキースタジアム』っていう特集を見てたら、どういうわけか目頭が熱くなってきた。
その中で「ずっと泣きながらゲームの行方を見守っていたファンがいた」という現地からの報告があった…よく分かる。自分の子供、いやひょっとしたら孫の産まれる前からそこにあったヤンキースタジアムが、しばらくすれば目の前からなくなってしまうんだから。スタジアムとファンが一体になって選手を育てた、といっても過言ではない。

その魅力にとりつかれて今年、カープファンでもないのに広島市民球場へ三度も観戦に行った。ここも来年で閉場…そしてこの週末が公式戦ラストゲーム。ヤンキースタジアムでのそのファンのように、ずっと泣きながら試合を観ている人もきっといると思う。自分は『市民球場ラストイヤーグッズ』っていう…広島球団らしからぬ、いささか商売っ気の強い商品もたくさん買った。
どこかで書いたと思うけど、薄暗い通路、悪臭のするトイレ…市民球場はお世辞にもきれいな球場ではなかった。でもあの球場には熱い応援も汚いヤジも含め、「野球を観る」っていう環境がすべて整っていたんだと思う。一つの空間として。もちろん新球場にもそれは引き継がれ、残っていくんだろうけど…その空間も今週限りで終わってしまう。

自分にとって…もし本当に甲子園球場がなくなってしまうとなったら、ずっと泣いていたファンと同じようになるかも知れない。タイガースファンだって辞めてしまうかもしれない。でも幸いなことに、そこは形を変えても当面の間は残されることになる。

そんな事を思いながらこれを書いていたら…市民球場へ行ったみたいに、どんなに無理をしてもヤンキースタジアムへ行っておけばよかったな…と後悔するようになった。”ミーハー”ながらでも、その魅力に自分がとりつかれたのは間違いではなかったんだからね。