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世界遊戯博物館ブログ

世界遊戯博物館の別館です。

第2回 中国撫順 朝鮮族伝統象棋国際大会    

2016年11月17日 | 世界の将棋

大韓チャンギ協会東京支部長の宋正彬氏に声を掛けて頂き、中国遼寧省の撫順市で開催されたチャンギの国際大会(2016年10月15~6日)に参加してきました。

この大会は、「第2届 中国・抚顺 朝鲜族传统象棋国际大赛」と銘打たれた国際大会で、世界各地から選手を招いて予選リーグと本戦を行い、チャンギ世界一の座を競いました。

会場は撫順市にある石油化学大学の体育館です。

でかい広いの中国だけあって、構内は東京ディズニーランドくらい(?)の大きさでした。
建物もやたらと馬鹿デカイです。

図書館だけでこの大きさ。

構内には4車線の道路まであります。

参加国は、中国、韓国、アメリカ、日本の4カ国で、それぞれ代表選手が出場しました。

韓国と中国は、それぞれトーナメントで代表選手を選出しましたが、競技人口の少ない日本では、ある程度の実力があれば参加できる形となりました。

韓国からはプロ棋士が多数参加し、韓国以上に層が厚く実力者が揃っているといわれる中国では、朝鮮族の多い東北三省(遼寧・吉林・黒竜江)で選抜試合を行い、代表が選ばれました。

今回、開催地が中国なので、北朝鮮にも選手派遣を打診したそうですが、参加は叶わなかったようです。

開会式は民族舞踊や音楽演奏、各国代表の挨拶などがあり、「第2届 中国・抚顺 朝鲜族传统象棋国际大赛」が盛大に開幕しました。

まず、大会の初日は、リーグ戦で一日7試合を行い、上位16名が翌日の決勝大会に残ります。

広い会場で繰り広げられる熱戦の数々。

この写真の試合は、短い動画でも撮影しました。

今回、チャンギ世界一の座を競うのはプロの部門で、他にアマチュア部門、子供部門の対局もありました。

中国の朝鮮族の学校では、民族文化教育の一環としてチャンギが行われているそうです。

会場の舞台には、大きなスクリーンが設置され、試合の模様が映し出されていました。

大会運営側は、日本チームの為に、日本語堪能な朝鮮族の通訳を用意してくれたので、全く不自由無く試合をすることができました。

親日と称される中国の朝鮮族の人々ですが、通訳の人によると、かつては殆どが学校の選択科目で日本語を学んでいたのですが、現在は1/5程に減少してしまい、英語を選択する人が増えているそうです。

韓国で選手の名札が作られたので、日本語に間違いがあり、これには朝鮮族の通訳の方も大喜び。

外国選手同士の対戦は、韓国のチャンギ専門チャンネル・ブレインTVにより撮影されました。

韓國將棋(チャンギ)協会の金会長と中国朝鮮族象棋協会の劉会長の会長対決。

決勝は、中国選手と韓国選手の試合となりました。

決勝に残った中国選手とは、予選で対戦しましたが、強さを感じさせない指し方で、自分でも善戦したと錯覚する程でした。

他のスポーツ競技でも毎回優勝しているような強者と対戦すると、何故か実力紙一重と思えるものの、決して勝てないということがあります。

実は物凄く強い選手程、強さを感じさせないということが往々にしてあると思います。

この決勝に残った選手は、まさにそのような真の強者の典型で、僅差のような戦いで勝ち進んでいきました。

対戦したこともあり、この選手を決勝で応援していたのですが、試合の結果は韓国選手の勝利で、見事優勝。

参加賞として素晴らしい記念品を頂きました。

今回、日本人が参加しているというだけですごく歓待され、試合会場では色々な人と一緒に記念撮影をお願いされました。

各国選手が宿泊した先でも、チャンギを愛好する多くの人達と素晴らしい交流ができて、至福の時を過ごすことができました。

第三回のチャンギ世界大会は、来年ソウルで行われる予定だそうです。


韓国将棋(チャンギ)のアマチュア大会

2016年04月22日 | 世界の将棋


韓国将棋(チャンギ)東京支部長の宋正彬さんに誘われ、韓国のアマチュア・チャンギの全国大会に参加してきました。


大会は2016年3月20日、ソウル市のポラメ公園内の施設にて行われました。

ポラメ公園は、元空軍の施設だった関係で、様々な戦闘機が屋外展示されていました。


参加者は100人以上おり、韓国各地から実力者が集まる盛大な大会でした。




福祉関係が充実しているのか、参加者には視覚障害者や車椅子の方が何人か見受けられました。




試合は、朝の10時開始で、一日に七局指して順位を競いました。




参加にあたって、カカオトークの通信対戦で200局以上指して臨みましたが、やはり本場の全国大会に出る様な人達相手には歯が立ちませんでした。



結果は、1勝6敗で負けの一つは判定負けという成績でしたが、1勝できたのは本当にまぐれだったと思います。



チャンギは象棋と見た目は似ていますが、駒の初期配置を自由に替えられたり、それぞれの駒の動きが象棋に比べて自由度が高いなど、全く異なったゲームとなっています。


チャンギは、それぞれの駒がどれも強いので、強い人でも気を抜くと格下の人に負けてしまうことがあります。

世界の将棋の中で、初心者でも経験者に一番勝ち易い将棋は、チャンギだと思います。


個人的に、チャンギは非常に面白い将棋だと感じていますので、興味を持って対局して頂ける方が増えれば嬉しく思います。

韓国プロ棋士のチャンギ実戦講座

 

マックルックの初手の特殊規定

2013年10月14日 | 世界の将棋

前回、マックルックの特殊な昇格規則を紹介したので、今回は、タイ国内でよく見かける初手の特殊な動きについてご紹介します。

マックルックの初期配置は、以下のように配置するのが一般的となっています。

しかし、タイ国内で対局すると、この初期配置からある動きを強制されることが多く、暗黙の規則となっている場合が多いと感じます。

その動きは、お互いに最初にメットの駒の前にあるビアを一歩進めた後、メットを前に2歩進めるというものです。

普通、メットは斜め四方向に一歩ずつしか進めないのですが、この規則だと、初手に限っては前に二歩進めるようになっています。

これは、地方ルールと思われるものでしたが、タイ北部のターク県やアユタヤ、首都バンコクなどで6~7人と実際に対局した際に、殆どこのルールでの対局を強制されました。

最近、よく「Play OK」で、マックルックを通信対戦しているのですが、自分自身、やはり最初の手順で駒をこの位置に動かすことが多い事に気付き、この動きが定石に至る手を簡略化したものではないかと思うようになりました。

初期の駒組で最も利に適っている定石であれば、お互い最初からその形から始めてしまえば余計な時間を省けるので、これを規則化したのであれば、実に合理的な事だと思います。

一時期、将棋でも最初の駒組で、双方が相矢倉で対局するのが一般化していた時期もあったので、どうせその形になるのなら、手を省略して、相矢倉で始めてしまえという考えが生じても不思議ではありません。

そのような考えに至りましたが、あくまで主観なので、何が事実なのかは判りませんが。

マックルックは、以下のサイトで通信対戦が出来ますので、これを機会に日本人の指し手が増えることを願っています。

Play ok Makruk通信対戦

マックルックの駒販売


マックルック「ルア・ガーイ(ルア昇格駒)」

2013年10月12日 | 世界の将棋

先日、タイのトランプ「ポック・デン」を紹介したので、再びタイのゲームについて書こうと思います。

タイの路地を歩いていると、タイ将棋「マックルック」の縁台対局をよく目にします。

タイは、英仏の植民地化の野望を外交で躱して独立を保っただけに、西洋チェスの対局を殆ど見かける事が無く、縁台ではマックルックの対局ばかりを目にします。

このマックルックですが、歩の駒であるビアの初期配置や昇格の位置が、将棋と同じなので、アユタヤ時代の朱印船貿易と関連付けて、お互いが影響を与え合ったと仮説を唱える人もいます。

その駒の昇格についてですが、ビアが敵陣三段目に入ったら将棋の成りと同じく駒を裏返し、今まで前に一歩しか進めなかったのが、斜め四方向に進めるようになります。

この裏返しの成り駒は、ビアだけでなく、なんと一般的に裏返す事のないルア(船の駒)までもが昇格しているのを見た事がありました。

場所は、バンコクのヤワラート(中華街)のお寺の境内で、縁台マックルックが三つ立っている中の一つが、そのルールで行われていました。

これは、世界の将棋研究の第一人者である岡野さんの著した「タイの将棋・マックルックの指し方と現地情報」の中にも「ルア・ガーイ(ビアが裏返ったらビア・ガーイ)」として紹介されており、2つある駒の片方だけ裏返すのと、両方とも裏返す方法があるそうです。

対局を見ていると、カロリーを鱈腹摂取していそうなプヨプヨのお坊さんが、「もっと近くに来い」という感じで手招きし、近付くと椅子まで差し出してくれました。

座って対局を見ていると、今まで普通に動いていたルアが、敵陣三段目に入ったと同時に裏返り、従来の縦横移動に加え、斜め四方向にも一歩ずつ動けるようになったので、これがあの「ルア・ガーイ」かと感動しました。

ここで行われていた対局では、ルア・ガーイに成れるのは、お互い一つのルアだけでした。

このルア・ガーイは、かなり強力な駒で、詰め駒として大きな役割を果たしていたので、終盤にこの駒を失った方が一気に劣勢になっていました。

暑い中、一休みしようと、ぶらり立ち寄ったお寺で、このような変則マックルックの対局を発見できるとは、まさに思いがけない大収穫でした。

タイ将棋「マックルック」販売

TouchChess

Thai Chess & Cambodian Chess (Makruk & Ouk Chatrang)


チャンギ大会

2010年05月17日 | 世界の将棋


5月15日の土曜日、駒場国際交流会館にてチャンギ(장기・韓國將棋)の大会が開催されたので、参加してきました。

この大会は、韓國將棋協會・東京支部が主催する大会で、チャンギ愛好者だけでなく、将棋や象棋、チェスの上手たちが総勢12名集まり、とても水準の高い戦いを繰り広げました。
試合は30分の持ち時間制で、全員が4人と対戦して順位を決めるというものです。
決勝は、韓國將棋協會・東京支部長の宋正彬さんと将棋プロ棋士・所司和晴七段との対戦となり、その勝負を見事に所司七段が制して、栄えある優勝の座を掴みました。
ご存知のように、所司七段は将棋だけでなく、象棋の高手でもあるので、決勝の決め手は象棋の攻めを応用したものだと言っておられました。
チャンギを始め、将棋、象棋などの盤上遊戯は、言葉を必要とせずとも、相手と親睦を深めることが出来る素晴らしい文化であるので、これらの遊びを通した交流が更に広まっていくことを願っております。


世界の将棋大会・2009年 夏

2009年08月19日 | 世界の将棋

8月16日、毎年お盆と年末に千駄ヶ谷の将棋会館で開催される「世界の将棋の会」に参加してきました。
この会では、将棋、マックルック、象棋、チェス、チャンギを中心とした世界の将棋を多くの人と対局できるだけでなく、展示された多くの珍しい将棋を間近で見ることができます。

今回は、上記世界五大将棋の他に、中将棋やシャタルの対局も見受けられました。
私は、中々対人でじっくりと対局する機会が個人的に少ない象棋を、7局指しました。

また、展示されていた世界の将棋類の持ち主である「東洋の将棋」さんとお話しして、トルコやイランなどの中東や、インド、スリランカなどのアジアの伝統的な将棋が、イギリスの侵略で文化が破壊され、西洋チェスに取って変わられた話を聞き、これらの国の長い歴史を持つ独特な将棋類が滅んでしまったのはつい最近のことだと思い、非常に残念に思いました。

文化の多様性を認めない独善的な考えが、世界中の貴重な文化を滅ぼしている歴史的現実を前に、文化の多様性を認める価値観こそが重要であると再認識しました。

私も世界の遊びという文化を紹介することにより、文化の多様性の大切さを伝えていきたいと思います。

Thai Chess & Cambodian Chess (Makruk & Ouk Chatrang)

 

世界の将棋大会/2007

2007年12月30日 | 世界の将棋

2007年12月29日、千駄ヶ谷の「将棋会館」で、プロ七段棋士・所司和晴先生主催の「世界の将棋大会」が開催されました。
この大会では、世界の様々な将棋類の展示を始め、実際に「象棋(中国)」「チャンギ(韓国)」「マックルック(タイ)」「チェス」などの対局も行われます。
この行事は毎年お盆と年末に開催されておりますので、ご興味のある方は是非とも参加して、世界共通の将棋文化の素晴らしさに触れて頂きたく思っております。


2008年12月29日に千駄ヶ谷の将棋会館で毎年開催される「世界の将棋の会」に参加してきました。
この会は、毎年お盆と年末にプロ棋士の所司和晴先生が主催する世界の将棋を対局する会で、マックルックや象棋、チェス、チャンギなどが自由に対局できる場となっています。
勿論、初心者の為に、ルールを一から懇切丁寧に指導してもらえるので、全くの初めての方も安心して参加できるものとなっています。
所司先生は、前日まで中国福建省で将棋の指導をされていたという過密スケジュールの中で、熱心に指導されておりました。
今年も色々なゲームで楽しみ、多くの人と出会えた一年でした。

中国象棋

はじめての象棋


韓国・チャンギの旅

2007年11月29日 | 世界の将棋

先週の21日に日本を大阪より船で出国し、昨日まで一週間ほど韓国内を旅行してきた。
目的は、韓国の将棋であるチャンギを通して、現地の人々と交流する為である。
今回の旅は、(社)日本将棋連盟と韓国のチャンギ協会の「日韓将棋交流会」という公式行事に参加することがメインであったが、それ以外にも、チャンギ対局を通して多くの韓国人と楽しい時間を共有することができた。
一週間、常に行動を共にした韓国将棋仲間のOさんと船や公園で対局していると、人がわらわらと回りに集まり、やがて横から口出しが始まり、手が伸びて駒をこう動かせと始まったら、次はもう現地の人と対局が可能になる。
さらに、こちらが日本人であると分ると、「ほう、日本人がチャンギを指すのか!」というような感じで、さらに親近感を持って接してもらえる。
船内では、日本人がチャンギを指せるということに感激した韓国人の方が、「チャンギができる日本人がいるから、みんなこっちへ来て日本人の相手をしてやってくれ」と、船内中を触れ回り、多くの人たちをゾロゾロと連れてきてくれた。
この凄くおせっかいな所が、韓国人の最大の魅力であると私は感じている。 純粋に楽しい時間を共有する遊びという文化は、国や民族、政治宗教の別を超えた人間の営みである。
この遊びを通して、韓国人の心の内部にさらに入り込めたことが、何よりの収穫であり、自身の最大の喜びであった。