前回の続きで、休憩後に始めた半荘戦の模様です。
この半荘戦が実に劇的な幕切れとなり、天九の持つ逆転劇の面白さを味わうこととなりました。
オーラス前の「南場の西」で勝利したワタシは、最後である「南場の南」の庄をもぎ取り、ノリに乗っていました。
この時点で1位のFさんと2位のワタシの差は20程で、一回勝って連庄すれば、必ず逆転できる位置にいました。
そして、南場の南を開始すると、ワタシの快進撃が始まり、連庄に継ぐ連庄で、3回目の庄を始める頃にはチップをうずたかく積み上げ、2位のFさんに逆転不可能と思わせるに充分な大差をつけて、偉そうに勝ち誇っていました。
南場の南・3本場に配られた手牌は、文牌の「至尊(ジイズン)」である「銅錘六(トンチュイリョウ)」の対子と、文武混合牌の「人七」、武牌の高ランク牌である「雑八」と、連庄勝ち点4倍で、さらに連庄を確信させる絶好の配牌でした。
そして、第一手で自身満々に文牌の「至尊」を出したところ、下家のFさんもNさんも勝てないと牌を裏返して出し、幸先よく「尊銭(ズンチェン・至尊を出して勝利したときに受け取るボーナス点)」を受け取り勝ち点を増やそうと思っていたら…
なんと!次順のYに「擒尊(チンズン・銅錘六の至尊を「高七脚の対子」で捕まえること)」されてしまいました。
そこでYに払った尊銭は連庄していたので4倍の8点!
そして、さらに打ち出し権を得たYが出したのが、なんと武牌の至尊!
ここでもYに尊銭を連庄の4倍=8点払うハメに…
さらに勢いに乗るYは最強の牌である「天」を出して続けてトリックを取ると、「梅花」の対子を出し「七支結(7トリック連続取ると2倍の勝ちが確定する)」を決めてしまいました。
七支結で勝ちが確定したら、後は「八支結」になるかどうかの消化試合を残り1枚の手牌で行います。
ここで勝つと、4倍の勝ち点が貰える八支結となるのですが…
なんと、Yの出した牌は「武牌」の中で2番目に弱い「雑五」!
これなら誰かが勝てると思いきや、誰も出せずに「墊牌(ディエンパイ・勝てない牌を出すとき、裏返して出すこと)」ばかり。
雑八と雑七を手に持っていたワタシも、途中で出してしまったので勝つことが出来ず、結局Yは八支結を確定させてしまいました。
1トリックも取ってなく敗れたワタシは、(0トリック)-(基準点4)-1(罰則点)=5点に、連庄の4倍、そしてさらに八支結の4倍が追加され、5×4×4=80点のマイナスを払うハメになってしまいました…
結果は、
1位 Y +109(209点)
2位 Fさん +10(110点)
3位 ワタシ -46(54点)
4位 Nさん -73(27点)
となりました。
この局でワタシが失った得点は、2回の尊銭(しかも4倍)・16と負け点・80、合計96点という、最初の手持ち(100)と変わらない額を一気に吐き出してしまいました。
オーラスで、こんな大逆転が待ち受けているとは思わなかっただけに、失望感と虚脱感に一気に見舞われてしまいました。
最後の最期でも一発大逆転が可能で、勝負の行方が判らない「天九」は、改めて面白いゲームだなと実感しました。
※天九のルール詳細は、アジアゲーム読本-第1集 中国骨牌・天九牌/韓国花札・花闘-に掲載されています。