
11月10日、ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルの演奏会(NHK音楽祭2010:NHKホール)に行って来ました。曲はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と交響曲第7番。
メータは70年代の超人気指揮者で、当時ロスアンジェルス・フィルとのコンビによるレコードは「名盤」が多く、よく売れていました。ニューヨーク・フィルに移ってからは、やや冴えなくなりましたが、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの指揮台にも何度も立っている、世界指折りのスター指揮者であることに変わりはありません。
憧れの指揮者の実演に接することができただけで大満足でしたが、演奏は正直言ってN響のほうが巧いかな。IPOは弦はまろやかだけれども、管楽器にやや粗さを感じました。メータの指揮は動きが滑らかで、若い野心的な指揮者のようなメリハリの強いものではありません。付き合いの長い(40年以上)コンビですから、よく言えば手馴れている、悪く言えば緊張感のやや薄い演奏だったように思います。
欧州でのベートーヴェンはこうした演奏が主流なのでしょうか。そういえばブロムシュテットが言っていたそうですが、欧州のオーケストラはベートーヴェンをやり尽くしてしまって、これからはどう演奏していいのかみんな迷っているのだそうです。芸術家としての前衛意欲が盛り上がらないのかも知れません。
その点、東洋のN響は迷い無く、ベートーヴェンのあるべき姿を「未だに」追求しているので、逆に本場っぽい演奏ができているようです。