防犯ボランティアグループ PRO-ACTIVE SECURITY 活動日記

ストーカー被害者の支援,体験型親子向け防犯セミナー,護身術セミナーなどを開催している長崎県の防犯ボランティアグループです

防犯標語『いかのおすし』で本当に大丈夫?

2008年03月24日 | 子供の防犯


防犯標語『いかのおすし』で本当に大丈夫?


 既にこちらのブログをご覧の皆様もご存知とは思いますが、こどもの犯罪被害
の防止のために警視庁が作った防犯標語で「いかのおすし」というものがあります。

 いか・・・知らない人について行かない

 の・・・・車に乗らない

 お・・・・大声を出す

 す・・・・すぐ逃げる

 し・・・・知らせる
 
これはこども向けの防犯教育としては、非常に分かりやすい内容ですので、我々も
以前は防犯教室の中などでよく使用させて頂いておりました。しかし、この防犯標語
「いかのおすし」も実は「常に正しいとは限らない」ものです。

※今回の記事は「いかのおすし」が全く意味がないものであるという事ではありません。
「いかのおすし」の問題点を親御さんや子どもたちが理解することで、この防犯
標語を妄信することで発生するリスクを減らし、子ども達の安全度を更に向上さ
せる事が目的です。

 いか・・・知らない人について行かない
       →知らない人=悪人とは限りません。全国の不審者情報には、実は
       善良な一市民が多数含まれている事も知る必要があると思います。
       私も各地で誤った防犯教育から、善良な市民が不審者扱いされた事例
       を多数聞いて参りました。

       以前、うちの子どもも全く見ず知らずのおばあちゃんに手を引かれ
       て家に遊びにいった事もありますが、私は怒りませんでした。
        むしろ、子どもの「おばあちゃんが寂しそうだったから、おばあ
       ちゃんの家に遊びについて行った」という理由には、思いやりがあるなぁー
       と関心させられました。
       
       テレビ局にゲストとして招かれた時には、男性アナウンサーから、
       「雨の中、歩いて帰っている子どもに不審者扱いされたらどうし
       ょうと気を遣って声をかけれなかった」というお話しもお聞きしました。
       「自由に子どもを助けられない」こんな世の中は絶対に間違っています。
       これらはまさに防犯教育による「弊害」です。
 
       また、他にも子ども自身はついて行きたくなくても、無理やり腕を
       掴まれるなどして連れ去られる事がありますし、「お父さんが病気
       だから車に乗って」と騙されて車に乗せられる場合もあります。
       知らない人という定義も曖昧です。例え子ども達にとって「知ら
       ない人」でも公園などで2、3度顔を合わせれば「もう知らない
       人」ではありません。家族に事故などがあった場合のお迎えには
       誰が来るのか?なども普段から子どもたちと具体的な例を挙げて
       話し合いをしておく必要があります。


 の・・・・車に乗らない
       →上記と同様に子ども自身が車に乗りたくなくても、犯罪者の
       「声掛け」によっては簡単に乗せられる事もありますし、やはり
       「無理やり乗せられる」事もあります。
       ですが、車による連れ去りの場合、基本的に子どもが車に近づか
       ない、車の接近を子どもがきちんと認識する習慣をつけ、車との
       距離の取り方を学んでおく事で最低限の安全は確保できます。
       また「子どもから不審者へサイン」を送る事も重要です。
       説明すると長くなりますが、そうする事で子どもが犯罪者のター
       ゲットにされにくくなります。このようなサインは当然、不審者
       から見て一目瞭然で分かりやすいものでなければなりません。
       また子ども達には緊急時に乗っても良い車について親御さんから
       具体的に教えて頂ければ理解しやすいと思います。


 お・・・・大声を出す
       →大きな声を出す事は一見非常に簡単そうですが、実際には大人
       でも極度の恐怖を感じた場合はショック状態になり、声が出なく
       なってしまいます。体も硬直して防犯ブザーさえ鳴らせなくなる
       場合もあります。ですから、緊急時の練習が必要になる訳です。
       また大きな声や防犯ブザーの鳴動は「周囲に人がいてこそ意味が
       ある」ものです。状況によっては大きな声や音を出すことで子ども
       のリスクが高まる場合もある事を知っておくべきです。
       それは犯罪者から上手く逃れて物陰に身を隠すような場合や犯罪者
       のテリトリー(自宅など)に監禁されたような場合です。そのよう
       な場合、彼らは事件の発覚を恐れて凶行に及ぶ危険性が高くなりま
       す。


 す・・・・すぐ逃げる
       →緊急対応の方法の1つとして、ESCAPE(避難)する事は
       効果的です。ただし、子どもの考える避難方法や避難のタイミング
       は場合によって効果が期待できないものもあります。そこは是非
       親子で通学路を見回って頂き、お子さんにアドバイスをして頂き
       たいと思います。必ず、避難に適した経路や家屋などがあると思い
       ます。
       そのような緊急時の対策(オプション)を数多く持つことで子ども
       の選択肢が格段に広がります。これが子どもたち自身や親の安心に
       つながってゆきます。


 し・・・・知らせる       
       →知らせる、この場合は親への報告や警察への通報になるので
       しょうか?私自身も確かに早期通報による犯人逮捕や不審者情報の
       共有などは重要とは思いますが、「子どもの防犯」に関して言えば、
       自分自身(子ども達自身)が被害に遭わないかの方が最も重要だ
       と思います。
       私も様々な防犯情報を収集している親御さん方の話は聞きますが、
       それらも単に「情報」としてだけで終わっており、それらをどの
       ように子どもに教えるのかはあまり議論がなされていない気がし
       ます。それでは「防犯情報のコレクション」でしかありません。
       池田小事件の時も当時の先生の中には、子ども達の実質的な避難
       よりも警察への通報を優先させた方がいらっしゃいました。
       警察への通報による現場離脱により更なる被害の拡大が予測される
       場合には、当然、児童の安全の方に重点を置くべきです。



また、私が今後の発生を危惧しているのは「防犯ボランティア」を装った声掛けです。
既に他県では実際の防犯ボランティアの男性が女児を死角に連れ込みわいせつ行為
を行おうとしたという事件も起きています。

今後は防犯ボランティアの入会時の身元調査なども今後は重要視しなければならないと
思います。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コメント頂きありがとうございます (Ken)
2008-06-04 09:50:14
TO:くらし安様

当ブログをご覧頂き、また、コメントを頂き
ありがとうございます。

高名な某教授、私も以前セミナーの壇上で
ご一緒させて頂きました。
おっしゃられるように犯罪機会論だけでは
すべての犯罪には対応できません。
私自身、様々な防犯対策を網の目のように
組み合わせた方が良いと思っています。

子どもの地域参加は素晴らしいと思います。
子ども自身の自身を深めることにもなると
思います。

これからもお互いに末永く活動を続けて参
りましょう。
返信する
場所→個別→社会参加 (くらし安)
2008-06-03 22:28:55
難しい話もたまには為になるもので、高名な某教授の犯罪機会論にある「場所で犯罪を防ぐ」から、子ども自身に「危険な場所」を考え、気付かせる→それだけでは防げない犯罪もあるため、「いかのおすし」のような個別対策の実践を含めて学習する→最後に子どもであっても地域の一員であって、子どもだからできる地域変化、将来的なコミュニティ基盤のため、挨拶運動など
世代間交流に参画してもらい、恒常的な社会参加意識を図る。→地域と子どもが共に育つ

という様な構図を持ち、長いスパンで取り組んでいます。今後、時勢により修正すると思いますが…
返信する
コメント頂きありがとうございます (Ken)
2008-05-12 13:19:25
TO:安心様

当ブログをご覧頂き、また、コメントを頂き
ありがとうございます。

ご指摘のように「一人にならない」事も非常
に重要だと思います。但し、2人以上いても
犯罪被害に遭う場合もありますので、そんな
場合の対応や犯罪者や不審者が声掛け前に出
す「不審サイン」などについても実体験を元
に子どもたちには指導させて頂いております。

私としては1つだけの事だけではなく、皆様
に幅広く防犯について学んで頂ければと思い
ます。
返信する
一人にならない (安心)
2008-05-11 09:45:09
一番大切なキーワードは「一人にならない」ではないでしょうか?「いかのおすし」にはそれが抜けていると思います。
返信する

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