経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

日銀には 説明責任が! (下)

2023-01-25 07:55:03 | 日銀
◇ 「物価2%目標」にイミはあるのか? = 黒田日銀総裁は「物価2%の目標を達成するまでは、超金融緩和政策を続ける」と、しばしば発言してきた。この「物価2%目標」は、13年1月に政府と日銀が異例とも言える共同声明を発表する形で打ち出した政策目標。そこには「デフレ脱却のため、物価上昇率2%に向けて大規模緩和を続ける」と書かれていた。要するに、景気が上昇し需要が増大して物価が2%程度にまで上昇するような状態を目指すというわけだった。

いま消費者物価は、前年比4%にまで上昇している。しかし、この上昇はエネルギーや食料の国際価格が急騰、それに円安の効果が加わったことが原因。国内需要が増大した結果ではない。したがって、日銀は「まだ2%目標は達成できておらず、超緩和政策を続ける」と主張している。だが過去10年にわたって「物価2%目標」が達成されなかったことは、厳然たる事実。近い将来に達成できる可能性はあるのだろうか。

冷ややかな目で観察すれば、政府と日銀は‟10年前の古証文”を後生大事に取り扱い、果たせぬ夢を追い求めているようにも映る。しかも、そのために日銀は異常な勢いで国債を買い集め、金融市場の機能を破壊してしまった。さらに円安を助長し、企業や家計に多大な負担を押し付けている。このため最近では、政府部内にも「物価2%目標は取り下げた方がいい」という声が出始めている。

この4月8日には、日銀総裁が交代する。新総裁の最初の大仕事は、おそらく「物価2%目標」の修正あるいは廃止になる公算が大きい。だが、こんな後ろ向きの仕事を新総裁に託するよりは、黒田総裁が「自ら播いたタネを刈り取ったら」どうだろう。同時に副作用が大きくなりすぎた超緩和政策についても修正し、国民に説明責任を果たす。立つ鳥跡を濁さず、である。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +393.15円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日銀には 説明責任が! (上)

2023-01-24 08:26:51 | 日銀
◇ まず超緩和政策の功罪を検証 = 日銀は先週18日の政策決定会合で「超金融緩和政策の維持」を決定。市場の予想に反して、長期金利の変動幅も拡大しないことを決めた。これを受けて円相場は3円ほど円安に振れ、日経平均は650円も上昇した。日銀は昨年12月、長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に拡大。今回はさらに0.75%にまで広げるという見方が強かったが、なぜ見送ったのだろう。

これについて、黒田総裁は「必要がなかったから」のひと言で片づけた。だが、これは全くの説明不足。というのも12月に変動幅を拡大した理由は、長短金利が不自然に逆転。さらに長期金利が人為的に抑制されたため、民間の社債発行が困難になったためだ。しかし、これらの副作用はいぜんとして解消されていない。にもかかわらず「必要がない」とは、どういうことなのか。きちんと説明すべきだろう。

超金融緩和政策には、プラス面もあるがマイナス面も大きい。資金を借り入れている企業や住宅ローンを借りる家計にとっては、たしかにメリットがある。だが半面、円安によって輸入物価が上昇し、企業や家計の負担は急増した。また利子収入も、ほとんど無くなっている。日銀は、そのプラス面とマイナス面を正確に計量し、どちらが大きいのかを検証して説明する責任がある。

金利の上昇で最も損をするのは、政府である。金利の1%上昇で、国債費が3兆6000億円も増えてしまうからだ。日銀はそのために、長期金利の変動幅を拡大できないのか。それとも10年も続けてきたゼロ金利政策を止めることは、メンツにかかわるからなのか。すべてが闇のなかである。黒田総裁は4月8日に退任するが、それまで何も説明しないつもりなのだろうか。

                      (続きは明日)

        ≪23日の日経平均 = 上げ +352.51円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2023-01-23 07:22:51 | 株価
◇ 景気後退はやっぱりイヤ = ダウ平均は先週927ドルの値下がり。ことしに入ってからの値上がり分をほぼ帳消しにした。年末商戦が不振で12月の小売り売上高が1.1%の減少、消費者物価の上昇幅が縮小、卸売物価は0.5%の下落。さらに大手IT企業による人員削減、ゴールドマン・サックスやプロクター&ギャンブルなど思わしくない決算発表・・・。景気後退の懸念材料が続出して、株価も素直に嫌気した。

日経平均は先週434円の値上がり。企業物価や消費者物価が大幅に上昇。しかし日銀は超緩和政策の継続を決めたから、金利が上がる心配はない。異常なほどの貿易赤字が発表されても、株価は動かなかった。高値では利益確定売りも出たが、あっさりとこなしている。「ニューヨークがダメなら東京で」というカネの流れもあったようだ。

ニューヨーク市場では「ことし中に利下げ」の観測がほぼ消えた。インフレは長引き、FRBの引き締め政策が長期化するという見方が強まっている。このため「景気が悪くなれば、引き締め政策のテンポが緩む」という論理は説得力を失いつつあるようだ。やっぱり「景気後退は株価にとってマイナス」という常識的な考え方に戻ったことになる。したがって当面の株価は、決算発表の内容に強く反応することになるだろう。

今週は26日に、12月の企業向けサービス価格。27日に、1月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは24日に、1月のPMI景況指数。26日に、10-12月期のGDP速報、12月の新築住宅販売。27日に、12月の中古住宅販売が発表される。

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (147)

2023-01-21 07:52:16 | なし
◇ 日本の死亡率はいま世界一だ = 世界の感染者は累計6億6913万人、この1週間で203万人増加した。この増加数は前週より90万人少ない。死亡者は673万7527人で、週間1万4792人の増加だった。この増加数は前週より3863人多く、昨年10月中旬以来の水準。感染者の増加はやや縮小したが、死亡者は増えている。これは多くの国で、感染者の全数把握を放棄してしまったからだろう。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計110万2286人。この1週間で3774人増加した。続いてブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、フランス・ドイツ・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・メキシコ・フランスで、死亡者の増加数が拡大。アメリカは110万人台に乗せた。

日本の感染者は累計3185万1344人、この1週間で78万5417人増加した。この増加数は前週より44万4593人少ない。死亡者は6万4721人で、週間2870人の増加。前週より61人増えている。第7波のピークは8月下旬の週間2000人だったから、それをはるかに超え、過去最多を更新した。感染者からみると第8波もピークに達したように思われるが、これがそのまま死亡者の減少にもつながるかどうかは、まだ不明。

それにしても、日本の死亡者数は異常に多い。たとえばこの1週間でみると、アメリカは3774人、イギリスは917人、フランスは1260人といった具合。人口比を勘案すると、日本の多さが際立っている。この死亡率が世界一となっている事実を、なぜ新聞やテレビは報道しないのだろうか。そんななかで岸田首相は20日「コロナの扱いを、春までにインフルエンザ並みの感染症に落とすよう」指示した。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +148.30円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     
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大ピンチに陥った 中国経済 (下)

2023-01-20 08:32:22 | 中国
◇ 人口の縮小期が始まった = 統計局は「22年末時点の総人口が14億1175万人になった」と発表した。この総人口には香港とマカオ、それに外国人は含まれていない。前年比では85万人の減少だったが、中国の人口減少は実に61年ぶりのこと。1980年ごろから実施した‟一人っ子政策”の影響が大きい。たとえば22年の出生数は956万人で、前年比106万人の減少だった。この出生数は49年の建国以来、最も少ない。ピークだった16年に比べると約半分、その減り方の激しさに驚かされる。

政府は‟一人っ子政策”を撤回、16年には‟二人っ子政策”に転換。さらに21年には3人目の出産を認めることにした。しかし効果はほとんど出ていない。その原因は、多くの人々が「子どもは一人でいい」と考えるようになったこと。その背景には、教育費の高さがあるとも言われている。国家権力が強大な中国でも、無理に子どもは増やせないようだ。

その一方で高齢化ガ進み、22年末時点で65歳以上の高齢者は全人口の14.9%を占めた。平均年齢は現在38歳だが、47年には50歳に近づく見込み。そして今後10年間で2億3400万人が定年退職、生産年齢人口は9%減少する。ところが現時点でみる限り、若年層の失業率は20%にも達している。このため都市部と地方の間だけではなく、都市部での貧富の格差も大幅に広がってしまった。

生産年齢人口の減少は生産・消費の両面から、経済を強く圧迫する。社会保障費も増大するが、それを負担する若者の人口は減る。すでに3人の現役世代が1人の高齢者を支える構造になっているが、今後は若者の負担がさらに急増する。政府に対する不満も拡大しかねない。なにやら日本の状況とそっくりだ。しかし中国の人口は日本の11倍。それだけに問題も大きく、対処はきわめて難しいと考えられる。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -385.89円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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