経済なんでも研究会

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景気低迷の元凶は 貿易の大赤字 (下)

2023-01-27 08:05:39 | 貿易
◇ ‟バラ播き”では何も改善しない = 22年の貿易赤字は、ほぼ20兆円。ちなみに21年は1兆8000億円弱の赤字だった。したがって仮に22年も21年並みの赤字で済んだとすれば、18兆円ものおカネが国内にとどまった計算になる。その大半が設備投資や人件費、あるいは消費に回れば、それだけ景気は押し上げられたはずだ。しかし現実には18兆円ものおカネが、余計に流出してしまった。いまさら泣き言を言ってみても始まらない。

問題は22年の貿易環境が長期化し、巨額の貿易赤字が定着する可能性があること。専門家の多くは「少なくとも23年は大赤字」と予測している。こんな大赤字が何年も続けば、日本人の購買力が海外に吸い取られて、日本経済は衰弱してしまう。だから少しでも赤字を減らす工夫と努力が大切だ。しかし政府は電気・ガス料金やガソリン代の補助に明け暮れ、根本的な対策をとっていない。

エネルギー・資源・食料の輸入を出来るだけ減らすには、自給率を上げるしかない。再生可能エネルギーや原子力の利用、海底資源の開発、食料の増産。こうしたことに、政府は真剣に努力しているのだろうか。また円安が輸入物価を押し上げ、輸入代金を増大させている。円の対ドル相場が100円に上昇すれば、輸入物価は3割ほども安くなる。

だが政府には、日本のエネルギー構造を根本的に改革しようという意識がない。日銀も円高にしようとは考えない。いまは政府と日銀が一緒になって、貿易の大赤字に貢献しているようにみえる。たとえば政府による節電の呼びかけ。いまは「電力不足に備えるため」だが、これも「エネルギーの輸入をできるだけ減らすため」に変えるべきだ。とにかく‟その場しのぎ”の対応ではなく、構造を改善する努力が何よりも肝要だ。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -32.26円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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