経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-06-24 07:21:08 | SF
第4章  錬 金 術 と 太 陽 光

≪38≫ 人工の光線 = 「この話は絶対にオフレコだぞ。マーヤも承知しておけ。本当は話したくないんだが、賢人会の議長から『話しておくように』と、わざわざ指示があった。なんで、あのウラノス博士がこんなことを言うのか、私には解らない」

不満そうな口ぶりで、シュベール博士が訥々と喋り始めた。名指しされて、マーヤも緊張の面持ちで聞いている。
「われわれが発見した新金属ダーストニウムは不思議な力を持っていて、少量を混合するだけで鉄と金とニッケルなどを融合させてしまう。この新しい合金は素晴らしい強度と強い磁性を帯びるから、これを使って高速道路の路面で太陽光発電をしていることは、もう知っているな」

シュベール博士の顔が、いちだんと引き締まった。こちらも思わず身を乗り出す。

「ところがダーストニウム合金には、唯一の弱点があるんじゃ。それは、ある特殊な光線に当たると、例の魔法の力を瞬時に失ってしまうことなんだ。だから、この光線を照射されると、発電設備が破壊される。自動車も磁力を失い、走行できなくなる。
マーヤ君、君の体内にも微量の新合金が使われていることは知らんだろう。神経回線の接着用に、電導率の高いこの金属が使われているんだ。だから、もし光線Xが天から降ってくると、ロボットは直ちに機能しなくなってしまうだろう」

――それは大変だ。ところで、どんな光線なんですか。

「それは言えない。ただ有難いことに、この光線は自然界には存在しない。あくまで人工的な光だとだけ言っておこう。でも、ちょっとした知識と技術があれば、誰でもこの光線は作り出せる。そこが怖ろしいところなんじゃ。

要するに、この光線が発射されると、わが国のインフラは破壊される。それどころか、気象のコントロールもできなくなるだろう。君も知っている宇宙バリア。あれもダーストニウム合金の細い線で造られている。その強力な磁性の吸着力と反発力を利用して、人工衛星から投網のように発射して広大な網を空間に広げるわけだ。これも人工光線が注がれると、破れてしまう。すると気象のコントロールができなくなり、この国は厳しい自然に曝される」

シュベール博士はやれやれという表情で、こう締めくくった。「ダーストニウムと人工光線の話は、だから国家機密なんじゃ。おそらく知っている人は10人もいないだろう。それなのに何で、地球人の君に教えるのか。ウラノス議長はとても思慮深い人だから、何かを考えているんじゃろうが」

                             (続きは来週日曜日)

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