経済なんでも研究会

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効き目が薄い 引き締め政策 / アメリカ (下)

2023-04-26 07:54:26 | アメリカ経済
◇ カネ余り状態が解消しない = アメリカでは政策金利の急速な引き上げにもかかわらず、エネルギーや食品を除いた物価の上昇が続く。その一因は、人手不足で賃金が上がったことに求められる。また将来のインフレ期待が弱まらないためだという説も強い。さらに基本的には、カネ余り状態が少しも解消していないことが原因だと考えられる。

FRBは昨年6月から、金融の量的引き締めも実施している。保有している国債や住宅ローン担保証券を毎月950億ドルずつ市場で売り戻し、資金を吸収する操作だ。しかし、それまでの緩和政策で市中に放出した資金量は膨大。まだその1割程度しか吸収し切れていない。たとえば市場でリスク感が高まると、資金の多くはMMFにいったん逃避する。MMFというのは短期国債などで運用する投資信託。その残高は現在、5兆2800億ドル(約70兆円)もある。

その一方で、利上げの副作用は確実に現われ始めた。住宅ローンの上昇で不動産価格が低落、消費者ローンの上昇で小売りが低迷、中小企業のカネ繰りも苦しくなった。そこへ金融不安の影響で、銀行の融資態度が急に厳しさを増す。景気の先行きに対する見方は、ますます慎重になってきた。物価高と不況が共存するスタグフレーションを警戒する声も強い。

量的引き締めがまだ不十分だから、カネ余り状態は解消しない。豊富な資金が市中に滞留しているから、株価の腰は強い。悪材料が姿を消すと、すぐに上がる。しかしFRBとしては、利上げや量的引き締めを続けなくてはならない。その気配が強まると、株価は下がる。上値は重い。なんとも矛盾に満ちた状況だが、これが現実なのだろう。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +26.55円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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